364 | Reply | 山本少年探偵団 エクストラファイル1 牛泥棒 vs. 探偵一家 | 須坂稔 | 2004/03/26 01:46 | ||
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山本少年探偵団 エクストラファイル1 牛泥棒 vs. 探偵一家 山本はふと目が覚めた。時計を確認するが、まだ起きる時間ではない。 とりあえず再び寝ようとする山本。だが、その時、彼はふと胸騒ぎを覚える。 その正体を確かめるべく、ベッドから起きあがって家中を見回るが、特に異常はない。 「ということは外かな。それともただの気のせいか」 結果が校舎の方であることを祈りながら山本は玄関から外に出る。 周りの様子を見ながらしばらく歩いていると、不意に誰かとぶつかる。 不審者が入ってきたのかと思い、思わず身構える山本。が、 「何だ、茂雄じゃないか」 その一言を聞いて、ぶつかったのが父だと知り、思わずほっとする山本。 「どうしたの、父さん。こんな夜中に」 そう聞いてみる山本。 「牛がいなくなった」 あまりにも意外な言葉が返ってきて、思わず言葉を失う。 「どういうこと」 話を聞いてみると、父も自分と同じように胸騒ぎを覚えたので、牧場を見に行ったところ、牛が3頭いなくなっていたことに気付き、発信機を頼りに行方を追っていた所だったらしい。 「とりあえず私は牛を追うから、茂雄は母さんに連絡してくれ」 そう息子に指示すると、山本父は車を追うために全速力で走り出した。 息子の知らせを聞いた山本母はすぐに車を走らせる。 「茂雄、ナビ頼むわよ」 そう言って息子に発信機を渡す山本母。 「分かった」 そう言って発信機を受け取る山本。 「で、牛は今どの辺にいるの」 「今、◇□通りを直進しているよ」 「わかったわ」 息子の報告に、車のアクセルを踏み、スピードを上げる山本母。 走り続けること約10分、山本たちの目の前に1台のトラックが現れた。 「母さん」 「何、茂雄」 「牛はあのトラックに乗せられているみたい」 「本当なの」 「うん」 「どうやら牛泥棒にあったみたいね」 そんな会話をしていると、携帯電話のベルが鳴る。 山本が電話に出ると、父の声が聞こえてくる。 「あ、父さん」 『お前たちの方は状況はどうなっている』 そう聞かれて、とりあえずこれまでの経過を父に報告する。 『そうか。私も1分ほどで追いつくからそれまでにトラックを止めてくれ、と母さんに伝えてくれ』 「わかった」 そう言って電話を切る。山本が電話を切ったのを知ると、 「父さん何だって」 そう母が聞いてくる。それに対し、父の言っていたことをそのまま伝える山本。それに対し、 「わかったわ。振り落とされないように気をつけなさいよ、茂雄」 とだけ言うと山本母は車のスピードをさらに上げる。 山本たちの車がトラックの前方に出るやいなや、山本母はハンドルを左に切る。 突然横の車が飛び出してきた事に驚いた牛泥棒がトラックを急停止させたのを遠目で確認すると、車を止める。 「おい、いきなり飛び出してくるなんて危ねえだろうが」 牛泥棒たちが車の窓から顔を出すと、当然のように文句を言ってくるが、山本はそれを完全に無視して、メガホンを取り出すと、 「あなた達が我々の牧場から牛を3頭を盗んだことは分かっています。速やかにコータローを返して投降しなさい」 と呼びかける。この際、なぜコータローなのかと言うことは気にしないでおこう。 「な、何のことだ」 自分たちがやったことがばれて思わず動揺する牛泥棒たち。 「とぼけても無駄です。速やかにコータローを返して投降しなさい」 「な、何か証拠でもあるのかよ」 牛泥棒が最後の抵抗を試みるも、 「残念だけどうちの牛はみんな発信機がついているんだよ」 別の方向からその抵抗をうち砕く声が響く。 全員が声の方向をした方を向くと、なぜか輝いていた。その輝きの中からゆっくりと最後の抵抗をうち砕いた人物、山本父が姿を現す。 「畜生、投降なんかしてたまるか」 そう言って車を発進させようとするが、車は少しも動かない。 「悪いけど君たちのトラックはもう動かない。私がそうしたからな」 その一言に、自分たちには投降以外の道がないことを悟った牛泥棒たちだった。 「それにしても、運のない泥棒だよね」 警察からの帰り道、山本がふとつぶやく。 「そうね。なにせ…」 いったん言葉を止めると、意味ありげに笑う。 「『牛飼い探偵』の家に泥棒にはいるなんて」 「頼むからその呼び名はやめてくれ。」 「別にいいじゃない。その呼び名、結構似合っているんだし」 「君は名付け人だからいいけどさ…」 おもわずためいきをつく山本父。それに気がついたのか、 「あ、朝日が昇ってきたよ」 あわてて話題を変える。確かに、山本母の言うとおり、朝日が昇り始めていた。 「今日も新しい1日が始まるな。よし、家まで一気に行くぞ」 その一言に、車のスピードを上げて答える山本母であった。 山本少年探偵団 エクストラファイル1 牛泥棒 vs. 探偵一家 完 <後書き> この話を書くきっかけは、少し前の空理さんとの牛泥棒云々のやりとりです。 その時に山本君だったらこうするだろうなと書いたものを、具体化させ、さらに山本一家に総出演してもらいました。 探偵兼牧場主の父、神業的なドライブテクニックの持ち主の母、そして山本君と、楽しく書けました。 それじゃあ、また。 |
372 | Reply | うしー | 空理空論 | URL | 2004/04/17 14:58 | |
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「牛がいなくなった」という一言がかなり衝撃的だったように思います(山本君的に) なんつーか、家族の様相がたっぷり伺えて楽しかったですね。 コータローと直接名前出してるところとか、輝いてるところとか。 ああ、山本家はこうじゃなくっちゃなあ…なんて納得してしまいました。 |
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