300 Reply 山本少年探偵団 ファイル1 魔術大騒動(前編) 須坂稔 2003/09/02 03:13
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     山本少年探偵団 ファイル1 魔術大騒動(前編)

 少女が目を開けると辺り一面は暗闇だった。
(今日も同じか)
さも当然とばかりにここの中でつぶやく。
 少女は再び瞳を閉じる。いつか自分にも助かる日が来る、また光を見ることのできる日が来る、それだけを信じて。

 ある休日、山本たち探偵団の3人は駅で待ち合わせをしていた。そんな3人に1人の少年が駆け寄ってくる。
「すいません、待ちましたか」
その少年、浅岡匠が3人に聞く。
「うーんとね、8分26秒待ったよ」
「わざわざ時間計ってんじゃねえ」
と何分待ったか秒単位で言う森と、それにつっこむ納。そんな2人を無視して、
「浅岡君、ちょっと地図見て」
そう言って山本は匠に地図を見せる。
「とりあえず君はこっちの方を探してくれる」
「あ、はい」
「じゃあ本が見つかったら電話してね。僕たちも見つかったら電話するから」
それだけ言うと山本は自分の担当する方へ向かって歩いていった。
「あの、2人とも、山本さんもう…」
そう言いながら匠は森たちの方を振り返るが、いつの間にか2人の姿も消えている。そして匠自身も担当する方へ向かって歩き出した。

 山本たちが探偵団を結成後、3人にきた依頼は雑用的なものがほとんどであった。
 そして今回の依頼も今までと同じだった。依頼主は魔術研究部で、内容は部で使う古本の捜索の手伝いである。

 これで何件目だろうか、山本はある古本屋に入った。
 店の中をまわっていると1冊の本が目に入った。棚から取り出して、その本とポケットから出した写真とを見比べる。写真に写っている本と今手にしている本が同じなのを確認すると彼は1度本を戻し、古本屋を出ると携帯電話で連絡を入れる。
 約1時間後、納、森とともに1人の少年が姿を現した。
「本が見つかったって本当」
と聞く匠に、
「はい」
と答える山本。
「見つけてくれてありがとう」
そう言って少年は古本屋に入っていった。彼女が入っていった後、
「これで今回の依頼は解決だな」
と納がつぶやくように言った。

 そしてこの依頼が今回の事件の発端となる。

 それから数日後、森と納はで廊下を歩いていた。2人が廊下を曲がろうとしたとき、曲がり角の向こうから人影が飛び出してきて、森にぶつかった。
「ちょっと危ないじゃないの。いきなり飛び出して…」
文句を言おうとした森だったが、飛び出してきた人物に見覚えがあることに気づく。
「アンタ確かこの前…」
そう言いかけたが、手に妙な感触を覚え、見ると赤黒い血がついていた。このことに思わず絶句する森。が、すぐに我に返ると、
「納、この子保健室に連れて行くわよ」
「分かってる」
そう言って納は男子生徒を担ぐと森とともに保健室に向かっていった。

「止血もしたし、とりあえずは大丈夫よ」
保健医のその言葉にほっと胸をなで下ろす2人。そのとき、保健室の扉が開いて山本と彼に肩を担がれた女子生徒が姿を現す。
「あれ、お前も怪我人連れてきたのか」
と聞く納。その時、女子生徒がベッドで寝ていた男子生徒を見て、
「匠、大丈夫」
と言いながら男子生徒の方に駆け寄る。
「泉音。ああ、何とか」
そのとき、扉が開いて林先生が姿を現した。
「永田さん、それに浅岡君も」
そう言うと林先生はしばらく黙っていたが、
「悪いけど、ちょっと席をはずしてもらえないかしら」
と言う。その言葉に従って保健室を出る4人。特に用事もないので山本たちはそのまま家に帰った。

 翌日の放課後、山本たち3人は林先生に呼ばれて、とある教室に来た。山本がドアをノックすると、
「どうぞ」
と声がしたので、3人はドアを開けて教室に入る。そこには、林先生のほかに保健室で昨日会った2人もいた。
「これでみんなそろったわね」
と林先生が言う。
「それで、一体話って何ですか、林先生」
「あなたたちに頼みたいことがあるのだけど、とりあえず昨日の事件の話からするわ」
「昨日の事件が先生の頼み事に関係しているんですか」
「そう思ってもらってかまわないわ」
そう言って林先生は昨日の事件について話し始めた。

     山本少年探偵団 ファイル1 魔術大騒動(前編) 完


<後書き>
 また書いてしまいました。(笑)
今回はマ学3人娘(森ちゃん、カナちゃん、林先生)を活躍させる予定なので、男子たちの影は薄いです。
(7月20日はカナちゃん、8月15日は森ちゃん、8月28日は林先生の誕生日ですし)
 最後にこの話の世界観及び、魔術研究部について簡単に説明しておきましょう。

 この世界において魔法は存在します。
ただし、それが使えるのは少数で、使えるのも炎を出すとかの簡易魔法ぐらいです。

 魔術研究部
 その名の通り、魔法について研究する部です。
ちなみに結構伝統があったりします。

それじゃあ、また。
301 Reply 8分26秒は506秒 空理空論 MAIL URL 2003/09/04 00:18
cc9999
もしかしてカウントしてたのでしょうか(笑)

怪我がついてまわってる辺り、ちょっと穏やかじゃないですね。
魔術研究といえば色々浮かびますが…
どういう内容の研究かを楽しみにします。
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