328 | Reply | ワレモノ | !マーク | 2003/11/03 12:35 | ||
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初夏のある暑い日のこと。 「まただ・・・また何か送られてきた・・・」 太助は送られてきたそれを見てつぶやいていた。 送ってきたのはやはりあの人物。 太助はもう、彼の父に対して諦め始めていた。 こういう面倒なことがあるときに限って人はいなかったりする。 ルーアンは休みだというのに呼び出しをくらって学校に行った。 キリュウは暑さでダウン中である。 那奈は那奈でまた何処かに行ってしまって、家にはいない。 というわけで、太助はシャオと二人きりでリビングにいるのだが・・・ 『ワレモノ。』 太助はテーブルの上にあるそれをしきりに気にしていた。 もし精霊が出てきた場合、この家にいる者は六人となり、 騒がしさ上昇→シャオと二人きりになれる時間減少、さらに近所の人からの苦情が増加 の形式が成り立ってしまう。 そこで今までの反省(?)を活かしまず包装の上から形を探ろうとしたが、御丁寧にも四角い箱に入れられていて、それはかなわなかった。 「太助様、箱開けないんですか?」 不意にシャオが声を発した。 それでようやく覚悟が決まったのか、太助は行動を起こした。 「・・・開けるか。」 どのみち開けないわけにはいかないのだ。 決心した彼はその箱を思い切って開けた。 すると出てきたのは、いつものように手紙と、日常よく目にする物。 それは真っ白な急須だった。 太助は安堵した。ひとまず精霊は出てきそうにない。 それはシャオを見てもわかることだった。 しかし彼女は期待していたのか、残念そうな顔をしていたように見える。 「太助様、早速これでお茶いれてみますね。」 「うん・・・ありがとう。」 太助はさっきのシャオの顔のことを考えていた。 シャオがお茶をいれにキッチンに行ってしまったので、手伝おうかとも思ったが、手紙に目を通しておくことにした。 キリュウの時はそれを見逃して不意打ちをくらった分、割と丁寧に。 「ニイハオ太助。 父さんは相変わらず中国を旅している。 こないだは山で遭難しかけて(中略) ・・・でその廟の老人からお土産に急須をいただいた。 何でも大変縁起のいい物らしい。 ・・・というわけでお前に送ることにする。 幸せを願っているよ。 はっはっは。」 だいたいこんな感じの内容だった。 「・・頭痛い・・・。」 無理もない。 「太助様大変です!!」 シャオがいきなりキッチンから走り出てきた。 「どうしたんだ?そんなにあわてて・・・。」 太助はシャオを落ち着かせるように言った。 が、シャオはひと言で言うと『うりゅう』って感じの顔だ。 「急須が・・・」 「急須が?」 「底無しでした!」 「・・・」 「とにかくこれを見てください。」 と、渡されたのはさっきの急須。 「・・・底が割れてる。」 真っ白な急須の底に、薄紅色の割れ目がついている・・・と確認したその時!!! 眩い光が空に向かって放たれた!!! (しまった!また○天シリーズ!!?) 時すでに遅し。 使者のような服装の、真っ白な髪をした女の子が座っていた。 しかもその子は般若の面をつけていた。 「はじめまして。終わりました。」 いきなりその子は訳のわからないことを言った。 こんな言葉を般若面で言うのだから不気味である。 「!・・・失礼しました。貴方が私の御主人ですか。 私は論義の精霊、婆提舎天(ばだいしゃてん)。 名を夏杏(かきょう)と申す者です。」 と思ったら、いきなり真面目に話し始めた。 (論義って・・・?) 「・・・カキョウさん? 私たちもしかして会ったことありませんか?」 「ええ。ありますよ。」 シャオの問いに答えたカキョウはようやくお面をはずした。 「以前貴女が仕えていた御主人の国に使者として行った時に少しだけお話をしましたね。 お久しぶりですシャオリンさん。」 カキョウはシャオに対して微笑んだ。先程のお面とのギャップがすごい。 「!夏杏さん!?わぁ、なつかしいですぅ。」 「ふふふ・・・ほんとにそうですね。」 「それにしても急須から出てくるなんて驚きました!」 「でしょう。この優天急須(うてんきゅうす)はあまり人に知られていないですからね。」 「そうなんですか・・・」 「それよりもシャオリンさんは誰に仕えているのですか?まさか・・・」 「ええ。太助様は四人の精霊の御主人様になるんです。 守護月天の私と、慶幸日天のルーアンさんと、万難地天のキリュウさんと、婆提舎天のカキョウさんの四人で協力してがんばりましょうね。」 「・・・ええ。」 「・・・よろしくな、カキョウ。」 「・・・よろしくお願いします、御主人。」 「ところでカキョウは・・・」 太助がカキョウに問いかけようとしたその時、階段を降りる足音が聞こえてきた。 「シャオ殿、麦茶は・・・ってカキョウ殿!?」 キリュウがリビングに入りながら言った。 「お久しぶりですねキリュウ先生。」 先生と呼ばれて、キリュウは顔を真っ赤にしながら・・・ 庭に逃げた。 「お待ちくださいキリュウ先生!!」 追いかけるカキョウ。 「どうしてここにカキョウ殿がいるのだ!?それに先生と呼ぶな。」 「なにゆえそれほど嫌がられるのですか?」 カキョウは人の話を聞かない。 「そ・・それは・・・」 と、キリュウは短天扇を大きくした。 「空に逃げるつもりなのですか。それだけはさせません!!・・・仙天縛!!!」 対してカキョウはさっきの急須を投げた。 ずんっ 急須は逆さまになりながら巨大化して、キリュウを短天扇ごと捕まえた。 「何をするのだカキョウ殿!」 「申し訳ありません、キリュウ先生。しかし先生は私が飛べないのを知っているはず。ひどいではありませんか!?」 「ううう・・・ん?」 が、キリュウはあっさり急須の底の割れ目から出てきてしまった。 「あ・・・」 カキョウの手から般若の面が落ちた。 つづく あとがき はじめまして。 もともと急須だけの話にするつもりだったのに何故かこんな話に。 いろいろとかぶってるな・・・と思いつつも投稿してしまいました。すいません。 !マーク (←エクスクラメイションマークマーク) |
329 | Reply | なかなかに大変そう | 空理空論 | URL | 2003/11/05 23:21 | |
ff6666 | ||||||
初めまして、ですね。 (“エクスクラメイションマークマークさん”と呼ぶのがよろしいのでしょうかね? って、表記としては“!マークさん”ですが) 急須と聞けば一番に思い出すのが茶都美なのですが、 カキョウはカキョウで般若の面がえらく印象的です。 いきなり“終わりました”は凄いなあ…(笑) あと個人的にツボだったのが、“キリュウ先生”です。 そうかあその手があったかあ(謎)といたく気に入りました。 続き、頑張ってください |
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