スレッド No.126


[126] うぐぅ道中記
投稿者名: よしむら
投稿日時: 2001年4月8日 10時20分
「うぐぅ…ボクパートナーが欲しいんだよ…」
月宮あゆのそんな一言が今回の発端であった。
「いきなり何言ってんだあゆあゆ」
「うぐぅ…ボクあゆあゆじゃないよ…
そうじゃなくて…パートナーだよ。
Kanonのメインキャラにはみんな
パートナーとなるサブキャラがいるんだよ。
AIRのメイン3人にだって…
うぐぅ…ボクだけピンだよ…」
「ピンなんて業界用語を使うな、うぐぅのくせに」
「うぐぅ…ボクうぐぅじゃないよ」
「うぐぅと言った後じゃ説得力がないぞ」
「うぐぅ、祐一くんいじわるだよ…」
あゆと祐一の変なノリの会話が今回も繰り広げられていた。
ちなみにピンとは1人という意味である、まる。
「ふむ…それなら探しに行くか?」
「探すって…」
「幸い心当たりがなくもない。とにかく行ってお前の
相方にふさわしいかどうか確かめるんだ」
「うんっ、がんばるよっ」

「うぐぅ…ここどこ?」
「隆山という地方だ。鶴来屋という大旅館があることで有名だ」
「Kanonの舞台って北国だよね?どうやってここまで来たの…」
「そういう事はわかってもつっこまないのが大人の常識だ」
「うぐぅ…」
「さてターゲットは…いたぞ。あの子だ」
祐一とあゆの目の前を1人の少女が駆けていった。
頭のてっぺんではねた髪が特徴的だ。
「柏木初音。鶴来屋の柏木4姉妹の末女で
あんなナリだが立派な高校生だ」
「祐一くんそんなのどうやって調べたの…」
「トップシークレットだ。さぁ、あゆ、行って話しかけてこい」
「え、い、いきなりそんなこと言われても…」
「行けぇっ!」
「うぐぅ!!」
ばたんっ
祐一に後押しされ初音を追いかけようとしたものの
いきなりすっ転んでしまい、地面に豪快に顔をぶつけるハメになった。
「うぐぅ、痛いよ…」
「情けないぞあゆあゆ、この程度で泣き言を言うとは」
「うぐぅ、祐一くんが無理矢理押すからだよぉ…」
「あの…大丈夫ですか?」
「え?」
派手に転んだあゆを見かねて初音の方から
話しかけてくれた。結果オーライ。

「それじゃ救急箱持ってくるから待っていてくださいね」
「ありがと初音ちゃん」
初音に鶴来屋に案内されたあゆと祐一は
客間で一息ついていた。
「うぐぅ、初音ちゃんってすごくいい子だね。
なんだか友達になれそうだよっ」
「それはよかった。俺も連れてきた甲斐があったというものだ」
…何…千鶴…お姉ちゃん…
「ん?祐一くん、何か聞こえてこない?」
きゃっ…また料理なんて…
「そういえば…聞こえるな…」
…ダメだよ…そのキノコは…
「なんなんだろう…」
…やだっ…味見なんて…いやぁぁぁぁぁ…
「…あゆ、のど渇いたろう。ちょっと飲み物でも買ってくるわ」
「うん、ありがと祐一くん」
そう言って祐一は急ぎ足で鶴来屋から出ていき
早足で遠ざかっていった。
しばらくしてうぐぅの遠吠えが聞こえた気がしたが
無視を決め込む事に大決定。

「うぐぅ…ひどいよ祐一くん…」
「お前なら大丈夫だと信用しての決断だ」
「うぐぅ…だって…あの初音ちゃんがあんな大暴れして…
エルクゥの力を思い知らされたよ…」
「まぁ済んだ事は忘れようじゃないか。
次のターゲットはこの高校にいる」
次に2人はとある高校の校舎へと足を踏み入れた。
「今度は大丈夫だよね…」
「心配するな。もうすぐ…ほら来た」
校舎の廊下の向こうからモップで床を掃きながら
耳カバーをつけた少女が走ってくるのが見えた。
「とぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「うぐぅっ!?」
どごんっ!
耳カバーの少女とあゆが見事に衝突し、2人は廊下に倒れこんだ。
祐一はちゃっかりよけて無事である。
「うぐぅ…痛い…」
「はわっ!?ご、ごめんなさい、私ったらまた
人間の方にご迷惑をかけてしまいました〜すいません〜」
「うぐぅ…君だれ?」
「HMX−12、通称マルチ。来栖川重工が作り出したメイドロボだ」
「祐一くん…だからそれどうやって調べてるの…」

「はわ〜。月宮あゆさんですか。どうもはじめまして〜」
「うぐぅ、マルチちゃんだね。よろしく」
バス停へと向かいながら話し込んでいるあゆとマルチ。
なんていうか、似てる。どこがと聞かれるとほぼ全部。
2人の衣装を入れ替えてもさほど雰囲気が変わらないんじゃなかろうか。
と、祐一がいろいろ妄想を膨らませていた。
「あっ、セリオさ〜ん」
バス停に近付いた所でマルチが待っていた女性に
手を振って呼びかけた。
「お待ちしてましたマルチさん。バスの到着予定時刻まで
あと2分30秒です」
バス停にいたのは理知的な顔をした少女であるが
耳のカバーが彼女もメイドロボであることを物語っている。
「うぐぅ、この人誰?」
「セリオさんといって一応私の妹にあたるんですが
私よりずっと高性能でなんでも出来ちゃうんですぅ〜」
「HMX−13セリオです。よろしくお願いします」
「ボクは月宮あゆだよっ。よろしくねっ」
「それで聞いてくださいセリオさんっ。
私ったらお掃除してる時にあゆさんにぶつかってしまって〜
どうして私はこんなドジなんでしょうか〜」
「マルチさん…」
セリオは黙ってマルチの頭に手をのせると
ゆっくりとなで始めた。
「は、はわ〜」
「心配はいりません。失敗するのは人間らしい証拠です。
失敗から学ぶ経験がよりマルチさんを人間らしくなさるんです」
「あう〜〜セリオさ〜ん」
「泣かないでください、マルチさんに泣き顔は似合いません。
あ、バスが来たようですね。では、あゆさん、私達はこれで失礼いたします」
「うん…バイバイ」
マルチとセリオを乗せたバスを見送って
あゆと祐一は立ちつくしていた。

「…うぐぅ…マルチちゃんすでにパートナーがいるよぉ」
「うかつだった…あんな優秀な相方がいたんじゃ
あゆあゆごときでは太刀打ちできん」
「うぐぅ…ボクごときって…」
「こうなったら最後のターゲットだ」
そう言ってやってきたのは「塚本印刷」と書かれた
小さな建物の前だった。
「ここの娘、塚本千紗ならきっとお前のパートナーになれるはずだ」
祐一はドアを開けて建物の中へと入っていった。
「にゃっ、いらっしゃいませ〜」
出迎えたのは随分と幼い容姿の少女だった。
「祐一くん、この子が千紗ちゃん?」
「そうだ。これでも一応高校生だぞ」
「…祐一くん、なんだかそっち系ばかりターゲットに選んでない?」
「気のせいだ」
聞くだけ無駄と思ったあゆはまわりで動いている
大きな機械の方に注意を向けた。
「ところでこれって何してるの?」
「にゃー、マンガを印刷してるんですー。
うちは同人誌の印刷屋なんですよー」
「うぐぅ、そのわりには紙が真っ白だよ?」
「にゃっ!?」
慌てて千紗が印刷された紙を手に取った。
「にゃーーーー!!印刷ミスですにゃー!!
最初からやり直しですにゃーーー!!」
「うぐぅ!それは大変だよっ!
ボクも手伝うから頑張ろうよっ!!」
「お、おいあゆ。お前じゃ手伝うどころか
足引っ張るのが関の山…」
祐一が止めるのも聞かずあゆは印刷の機械を
あれこれいじりだした。
ボンッ!
「うぐぅ!?なんか機械が煙吹いてるよぉっ!?」
「にゃー!うちの印刷機がーーーー!!」
「……」
許せあゆ。ぽつりとつぶやいた祐一は逃げるように
その場を後にした。

「和樹大丈夫?」
「瑞希か…いや、今回の修羅場もなかなか大変だったんでな」
「全くよくそんな無茶出来るわよね…ところで新刊は?」
「もうすぐ千紗ちゃんが持ってきてくれるはずなんだけど…」
「うぐぅーーーー!!どいてどいてぇーーー!!」
「へ?」
どごんっ!
「ぐはぁっ!」
突然突っ込んできた台車に激突して和樹は大きく撥ねられた。
「うぐぅ…ごめんなさい…」
「ど…どなた?」
いきなりやってきた見知らぬ少女を見る和樹。
その少女は塚本印刷のエプロンをしているが。
「うぐぅ…ボク月宮あゆだよ…千紗ちゃん家の機械壊しちゃって
弁償のかわりに働くことになったんだよー」
「そ、そうか…」
「とにかく、これ。新刊届けに来たよっ」
「あ、ありがとう…」
和樹に新刊の同人誌を渡した時、向こう側から千紗が呼びかけてきた。
「あゆさ〜ん、こっちもお願いしますにゃー!」
「今行くよーっ!!うぐぅ、台車がとまんないよっ!!」
走り去るあゆを見て和樹は静かにつぶやいた。
「…なんか千紗ちゃんがもう1人増えたような…」

とりあえず、あゆのパートナー探し、ある意味成功。
いいのかこんなので。


後書き
猛烈にKanonが書きてぇという衝動に襲われ、
突発で書いたのがこの作品。
そのわりには痕だったりToHeartだったり
ラストはこみっくパーティーだったりと節操ないです。
ていうか他社の作品だぞ、許されるのか。
しかしあゆを書くのは面白かったです。
あゆのセリフってホントに半分以上に
うぐぅが絡んでくるんだなぁと実感。
あゆといえばうぐぅ、うぐぅといえばあゆ。
書いてて楽しかったです。

[127] ふふふぅ
投稿者名: 空理空論 (ホームページ)
投稿日時: 2001年4月8日 21時38分
様々ありありですね(とはいえ、
名前くらいしかわからないというのはなんか辛い<笑)
ピン、つってもなゆちゃんや秋子さんがもう1人にあたるんじゃないのか?
とか思ってしまうのですが。
(更には珍しく北川もイベントに参加したりしてるし<笑)
なんにしても、無事パートナーがみつかったという祝福をあゆあゆに。

[128] 面白かったです。
投稿者名: ふぉうりん (ホームページ)
投稿日時: 2001年4月14日 02時26分
笑わせて貰いました。
たのしかったです。
言われてみれば あゆぐぅは
ピンでしたね。でも一人でも十分濃いし・・・(笑)
でも、土地できなものが・・・というか葉っぱの国?
隆山温泉は避暑地に向いてる北国説もあるので
Kanonの町の近くにあるのは有りなのでは?
(そういう問題じゃない?)

残りは明らかに都内っぽいでフォロー無し(爆)

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