352 Reply 月物語 星物語 須坂稔 2004/01/04 14:48
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     月物語 星物語

 同窓会の会場で、太助とシャオは後ろから声をかけられた。振り返ると、彼自身もよく知る3人の人物がいた。
「どうしたんだ、3人そろって?」
「ああ、ちょっと太助くんたちに言いたいことがあって」
「言いたいこと」
「うん。この後太助くんの家で2次会やるんだって」
 と言う乎一郎に、
「は、今なんて?」
 思わず聞き返す太助。
「だからこの後太助くんの家で…」
「ちょっと待て、乎一郎」
 乎一郎を止める太助。
「そんな話一言も聞いていないぞ、俺は」
「そりゃそうだろ、俺たちも10分ほど前に計画して今初めてお前に言ったんだから」
 そうあっさり答えるたかし。
「ああ、そう、わかったよ」
 どうせ何を言っても無駄だろう、そう思った太助はため息をつきながらも許可を出す。
「ありがとよ、太助。じゃそういうことだから」
 そう言うと、たかしと乎一郎は去り、2人の前には何かを言いたそうな顔をしている翔子だけが残った。
「何だよ、何か言いたそうだけど?」
「悪いな、2人きりの所を邪魔するみたいで。でも、まあ、いつものことだしあきらめろ。じゃあな」
 そう言って去っていく翔子の一言に思わず顔を真っ赤にする太助と、
「別に2人きりではありませんけどね、太助様。那奈さんもいますし、それに…」
 微妙にずれた発言をするシャオだった。

 太助は台所で2次会のための料理を作りはじめようとしていた。ちなみにシャオは那奈たちと別の場所にいる。
(えーと、俺たち3人とあいつら、どうせあの3人も来るだろうから…)
 作る量を心の中で計算する。
 太助が料理を作り始めてからしばらくして、
「太助様、私もお手伝います」
 との声に振り向くと、エプロン姿のシャオが立っていた。
「手伝ってくれるのはうれしいけど…」
「那奈さんが太助様を手伝ってこいって」
「そうか。じゃあ、これを作って欲しいんだけど」
「はい」
 そう言って料理を作り始めるシャオ。
 好きな人とこうやって一緒にいられる、それだけで幸せを感じる2人だった。

「ま、こんなもんかな」
 2人が最後の料理を作り終えたとき、玄関のチャイムが鳴ったので太助がドアを開けに行く。
 彼がドアを開けると2次会を計画した3人、太助が来るだろうと予想した3人、そして予想外の1人、計7人がいた。
「なあ、何でお前らまで来ているんだ?」
 3人以外にも誰かが来ることは予想がついていたが一応そう聞いてみると、
「もちろんたかし先輩のいるところあたしあり、ですから」
「ここで2次会やるって遠藤君たちが言っていたじゃない。だったらあたしがいないと始まらないでしょ」
「翔子殿が誘ってくれた」
「翔子さんたちに無理矢理連れてこられました」
 それ相応の答えがかえってきた。
「ああ、そう。まあいいや、入れよ」
 そう言って7人を家に入れる太助だった。

「えーとこれから、2次会を始めたいと思う。わかっているとは思うが、あまり大騒ぎしないように」
 この太助の一言で2次会は始まった。
 ぱくぱくと料理を食べはじめる者、お酒で大騒ぎしない程度に盛り上がる者、静かにお酒を飲む者、参加者たちはそれぞれに2次会を楽しんでいる。
 2次会の開始からしばらくして、太助はこっそりとリビングを出た。出ようとしたときに、
「おーおー、シャオちゃんと2人きりになりたいんだ」
 と彼をからかうような声が聞こえてきたが、無視することにした。

 2階の自分たちの部屋で太助は静かに戸をノックするが、返事はこない。そっと戸を開けると、椅子に座ってこっくりと船を漕いでいるシャオの姿があった。
「眠っちゃったのか」
 そう言いながら隣を見ると、自分とシャオの娘、一那がベッドで眠っている。おそらくシャオは娘を寝せてそのまま自分も眠ってしまったのだろう、と太助は判断する。
 眠っているシャオにそっと毛布を掛けると、太助は部屋を出ていく。
「また来るよ」
 と言い残して。

 部屋を出てから数分して、太助は部屋に戻ってきた。いや、下に行くことができない状況だったため、ここに戻らざるを得なくなったと言った方が正しいだろう。
 彼が部屋に入ると、シャオはまだ眠っていた。そんな彼女を見つめる太助。しばらくして、シャオが目を覚ますと、目の前には太助の顔。
「あ、た、太助様」
 寝顔を見られていた、それを知ったシャオの顔が一瞬で真っ赤になる。そんな彼女を見て、
(かわいい)
 と正直太助は思う。そんな彼女を見る度に太助の胸に彼女に対する愛しさが募っていく。
「どうしたんですか、太助様?」
 太助がさっきから自分を見つめ続けている事に気付きシャオは夫にどうしたのかとたずねる。
 それに答えるかわりに彼は妻を抱き寄せ、彼女の唇に自分の唇をそっと重ねた。

     月物語 星物語 完


<後書き>
 まずは最初に一言。
須坂の話はブレイド版の設定を一切無視します。
よって、ブレイド版ではどうこうのツッコミはいっさい通用しません。

 さて、この『2004年度須坂稔1・4物語』ですが、
つっこむべき所はさりげなく登場している一那ちゃんでしょうか。
 話を見た方はわかるかと思いますが一那の母親はシャオです。

 なお、この時一那は1歳、太助たちは21歳。
つまりは太助たちが20歳の時に一那が生まれています。(ちなみに太助たちは学生&できちゃった結婚 いえ、そういうイメージが浮かんできたもので)

 また、今七梨家にいるのは太助とシャオ、那奈(彼女は一時的に帰ってきているだけですが)だけです。
ルーアンなど他のメンバーの設定はこれの番外編を書いたときにでも公開ということで。
それじゃあ、また。
353 Reply いくつになっても… 空理空論 MAIL URL 2004/01/04 18:10
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いや、書くならば“いつになっても…”でしょうかね。
何年経っても変わらない関係でいる太助達が、なんだか羨ましかったりします。
ずっと続けて同じような時間を過ごしてきたってことなんでしょうかね。
それと、相変わらずの優しい雰囲気の中の、太助とシャオがよい〜、です。
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