371 Reply 時を越えて… プロローグ 遠い月光 須坂稔 2004/04/10 21:16
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     時を越えて… プロローグ 遠い月光

 彼は夜空を見上げていた。夜空には月が浮かんでいる。
 昨日までは手を伸ばせば簡単に届く位置にあった月。だが、今はどんなに手を伸ばしても届かない位置にある。
 彼は後ろを向く。後ろのベッドでは彼の娘が眠っている。
 眠る前までずっと泣いていたのか、彼女の目の周りには涙の跡が残っている。
「無理もないか。俺だってまだ…」
 そうつぶやくように言った。

「そろそろ時間だけど、まだ来ないな」
彼は時計を見ながらそうつぶやくと、辺りを見回す。だが、彼の探している人物は現れない。
 その時、不意に後ろから抱きつかれた。驚いて、後ろを見るが、抱きついてきたのが自分の娘だと分かると、
「全く、いきなり抱きつくなって何度も言っているだろ」
 そう言いながら、彼は娘の頭を優しくなでる。
「えへへ、お待たせ、パパ」
 そう言って父親に微笑む。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
 そう言って先に行く娘とそんな彼女を追いかける父。

 今回の目的地、デパートに着いた2人。
「で、何を買うつもりなの、パパ」
 そう父に尋ねる娘に、
「それが、まだ完全には決めていないんだ」
 そう言って苦笑する父。
「まあ、いくつか候補はあるんだが、どれにするかはここで決めようと思っていたから」
 父は不安げな表情を浮かべる娘にそうフォローすると、彼女と共にデパートに入った。

「さてと、どっちにしようかな」
 2つの商品を見比べてどっちを買おうか悩む父。
「どっちでもいいから早く決めちゃいなよ、パパ」
「じゃあ、お前はどっちがいいと思う」
 突然父にそう言われてしばらくとまどっていたが、
「あたしはこっちがいいと思うな」
「じゃあこっちにするか」
 と言って娘が選んだほうを買う父。
「じゃあ、後は何か食べて帰ろうか」
「うん」
 2人が進もうとしたとき、不意に何かが崩れるような音がした。
「今の音何だろう」
 娘が不安げに言ったその時、突然2人の足下の床が抜けた。
 その瞬間、彼は目の前が急に光り出すのが分かった。
 だが、その正体を考えるまもなく、2人の意識は途絶えていった。

     時を越えて… プロローグ 完

<後書き>
 みなさま、たいへん長らくお待たせしました。(え、待っていないって。そんなこと言わないで下さい)
2001年12月31日を最後に止まっていた「未来日記」がタイトルも変わって復活しました。
 ちゃんと止まることなく完結させる(つもり)なので、最後まで見守ってやって下さい。

 父娘はまだ明かしていませんが、誰なのかはすぐに分かりますよね。(笑)
それじゃあ、また。

PS:七梨太助君、誕生日おめでとうございます。
375 Reply 久方の… 空理空論 MAIL URL 2004/04/17 15:29
cc6600
随分と久しぶりですね…
(という気も実はしなかったりしたり<どっちやねん)
娘の行動が可愛いですね。
冒頭の部分と、つなぎの部分とで、展開がこの先どう見せられてゆくのか、
少し伺えたりしますが…。ともあれ、先を楽しみにしてます。
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