365 | Reply | しちりの法則.2 | よしむら | 2004/03/26 11:15 | ||
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「それがああしてこうで…こうなって…」 いつも通りの授業が行われている教室。 その中に太助とシャオの姿もあった。 太助はいたって普通に授業を受けているが、シャオの方は昨日の出来事が頭から離れず、どうも上の空である。 <回想>――――――――――――――――――――――――――― 「ただいまー」 「あーら、お帰り」 “鉛筆”を“剣”に変える能力者との対決を終えた太助達が家に帰るとそこに待っていたのはウェーブのかかった長い髪とメガネが特徴的な一人の女性であった。 「あ…米田さん!?」 「太助様、お知り合いなのですか?」 「あぁ…俺の担当神候補だ。米田さん、どうしてここに?」 「初陣を終えた太助君の様子をちょっと見に来ただけよ」 「神候補…?」 「あぁ、シャオ。まだ詳しい事情を話してなかったね。これから話すから聞いてくれ」 そこでシャオは神を決める戦いについて聞かされた。 100人の中学生が神候補から与えられた能力を用いて戦い、最後まで勝ち残った者の担当が神になるのだと。 「バトルのルールは単純よ。相手を気絶させれば勝ち、気絶したら負けとなり、能力は失われるわ。そしてこの戦いにおいて重要なのが“才”の存在なのよ」 「“才”?」 「“才”ってのはわかりやすく言うと才能ね。人間はそれぞれいろんな“才”を持っているわ。そしてどんな“才”を持っているかでその人間の人生はほとんど決まってしまうと言っても過言ではないわ」 そう言って米田はモニターの付いた小さな機械を取りだした。 「なんですか?それ」 「これは天界の最新式モバイルよ。ほら、これが太助君の“才”リスト」 米田はモバイルのモニター部分を太助達に見せつけた。 そこには太助の持っている“才”が一覧として表示されていた。 我慢の才、持久力の才など…ちなみに女子に好かれる才なんてのもある。 「この戦いには“才”の数と種類も重要になってくるわ。その点では七梨君は見込みあると思ってね、それに太助君自身の身体能力もなかなかのモノだし。それで私がスカウトしたのよ」 「そ、そうなんですか?」 「うん、キリュウの試練を受けてる時にいきなり現れてね」 「キリュウさんの…じゃあ」 「あぁ…私もこの戦いの事は前から聞いていた」 いつの間に現れたのかキリュウが横に座って話の中に入ってきていた。 「そうだったんですか?私の知らない間にそんな事が…」 「こういう事は主殿が話すべきだと思って今まで黙っていた、なのに主殿、今まで話していなかったとは何をしている」 「わ、わりぃ…」 <回想終了>――――――――――――――――――――――――――― 「守護月天…守護月天!この問いの答えは?」 「えっ!?あっはいそのっ」 呼ばれている事に気付いて慌てて返事をするシャオ。 しかし上の空で話をほとんど聞いていなかったシャオにまともに答えられるわけもなく。 「どうした…ぼーっとして。いつもの君らしくもない」 「す、すいません…」 と、その時学校のチャイムが授業の終了を告げた。 「おっともう時間か。じゃあ今日はこれまで」 学校が終わって、太助とシャオは揃って自宅への帰路についていた。 「シャオ、さっきの授業ほとんど聞いてなかったろ?」 「あぅぅ、すいません…」 「まぁいいって、なんだったら俺がノート見せて…」 「てめぇかぁ!七梨太助ってのはぁ!!」 「誰だ!?」 突然二人の前に学ランを着込んだちょっと柄の悪そうな少年が現れた。 「お前だな?昨日中村を倒した奴ってのは!?」 「中村…?あの剣の能力者か?」 「やっぱりてめぇか…いや、中村を倒した事自体は別にかまわねぇんだ。あいつはいつか俺がつぶすつもりだったからな。だがてめぇも能力者であるなら…ここでつぶしとかねぇとなぁ!!見せてやる!俺の能力は“爪”を…」 「“リボン”を“ゴム”に変える能力!!」 バチコーン!! 「んがっ!!」 言い終わるより先に、太助の能力が発動して一発で少年を倒してしまった。 ちなみに彼の名は権造寺鶴太郎というのだがもう終わってしまったのでどうでもいい。 <再び回想>――――――――――――――――――――――――――― 「どうしてですか…」 「え?」 「どうしてそんな危ない戦いに参加したんですか!太助様!?」 「それは…」 「“空白の才”よ」 答えようとした太助を遮って米田が話し始めた。 「空白の才?」 「そう、それがこのバトルで優勝した能力者に与えられるの。実際に戦うのは彼らなんだから彼らにもメリットがあって当然でしょ?」 「なんですか、その空白の才って…?」 「この空白の才にはね、自分の好きな“才”を書き込む事が出来るのよ。“才”の数や種類が人生において非常に重要だってさっき話したでしょ?それを手に入れればそれこそ自分の思い通りの人生を送れるってわけなのよ。どう?」 「つまり、そいつがあれば…シャオ、君を救えるかもしれないんだ」 「え?」 不意につぶやいた太助の言葉に一瞬シャオは驚いた。 「シャオを救う方法…いまだに具体的な事は何一つわかってないんだ。そこで今回の話を聞いてね…少しでもシャオを助けられる可能性があるのなら賭けてみる価値はあるって思ったんだ」 「そんな…私のためにこんな危険な戦いに参加するなんて!」 「危険な事なら試練で慣れっこさ。いいんだ。俺が自分でやるって決めたんだ」 「主殿がこう言う以上…私ももう何も言わん、事の成り行きを黙って見守るだけだ」 「キリュウさんまで!」 不安そうな表情のシャオに太助は明るい声をかけた。 「なーに、大丈夫さ、俺だって伊達にキリュウの試練で鍛えちゃいないよ。きっと勝ち残ってみせる」 「でも…」 「任せとけって」 そう語る太助の目は決意に満ちていた。 こうなるともはや誰が何と言おうと意志は変わらないだろう。 「シャオちゃん、太助君はこう言ってるんだし、あなたも応援してあげなさい。あなたの応援があれば太助君もやる気出ると思うし」 米田は優しい声でシャオにそう答えた。 そして誰にも聞こえない小さな声でぽつりとつぶやいた。 (そう…誰だって好きな人のためには頑張れるものなんだから…) <回想終了>―――――――――――――――――――――――――――― 少年を倒し、リボンを結び直す太助にシャオは心配そうに話しかけた。 「太助様…」 「大丈夫だよシャオ。心配するなって」 太助は昨日と同じ、明るい声でそうシャオに答えるのであった。 その夜、学校の宿直室では。 「…なーんかあたしだけ話から置き去りにされてるような気が…」 カップラーメンをすすりながらルーアンは一人ぼやいていた。 後書き 太助担当の神候補は女性にしました。 原作では女性の神候補がいないので。 |
373 | Reply | 才… | 空理空論 | URL | 2004/04/17 15:03 | |
cc9999 | ||||||
シャオならば「ぽけぽけの才」なんてありそーだなーとか思ったり。 才で守護月天の宿命をやぶれるとかなるんなら、 才ってのはかなり神がかり的な力だなあ、とも思いますが、 それはそれとsちえ、どういう展開見せてゆくのかを楽しみにしてます。 |
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