354 Reply しちりの法則 よしむら 2004/01/04 21:45
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「太助様ー」
「ん?」
 ある日の放課後、学校の玄関を出て帰ろうとしていた太助の元にシャオが近付いてきた。
「これからお帰りですか?でしたら一緒に帰りませんか?」
「あぁいいよ」
「あと…帰りにスーパーに寄っていいですか?今晩の夕食の材料を買いたいので」
「うん、わかった」
「たー様ぁぁぁ」
 そこへ猛ダッシュで近付いてくるルーアン。
 ハートマークなんぞ振りまきながら今にも抱きつく勢い。
「ルーアン先生」
「ぐえっ」
 しかし別の先生に襟の後ろを掴まれ、あまり可愛くない声をあげてしまう。
「ルーアン先生は宿直でしょう、これまでさぼってた分これからしばらく連チャンで入ってもらいますからね」
「いやーん、たー様ぁ」
 襟の後ろを掴まれたまま連行されていくルーアン。
 ドナドナが似合いそうだ。
「さて行こうか」
「はい」
 と、歩き出そうとしたその時。
「あぶねぇーっ!」
 遠くから男子生徒の叫ぶ声。
「ん?」
 振り向くと野球のボールが太助に向かって飛んできていたのだ!

ボスッ!

 ボールは太助の顔に当たる寸前で何かに弾かれ、そのまま地面へと力無く落下した。
「あ…た、太助様っ!大丈夫なのですか!?」
「うん、大丈夫。当たってないからさ」
 太助は髪の後ろを束ねていたリボンを“結びなおしながら”そう答えた。
「ごめんなさい!こういう時こそ私がしっかりしなくちゃいけないのに…」
「いいってそんなことは。それより早く行こうよ」
「は、はい…」
 落ち込むシャオを励ましながら、太助はシャオを引き連れ校外へと駆け出していった。
 一方で、ボールを取りに来た男子生徒はその様子を見ながらつぶやいていた。
「何もなくて良かったけど…さっきは何が起こったんだ?」


 スーパーで買い物をすませた二人は真っ直ぐ自宅へと向かっていた。
 すでに日は暮れかけ、空は赤く染まっている。
「太助様、ごめんなさい…」
「シャオ、まだ学校での事気にしてるのか?もういいって、すんだ事なんだからさ」
「でも…私守護月天なんですよ?こういう時こそ、私が太助様をお守りするべきなのに…」
「だから気にしすぎだって、守護月天だからってそんな…」
「おい」
 と、その時二人の前に一人の少年が現れた。
 どこか別の学校の制服に身を包んだその少年は太助を睨み付けている。
「七梨太助ってお前だな…」
「そうだけど…?」
「そうか、そんじゃ…遠慮はいらねぇな!」
 そう言うと少年は突然太助に走り寄ってきた!
 その手にはいつの間にか一本の剣が握られている!
「くたばりやがれっ!」

ドゴン!

「うわっ!」
 太助は咄嗟の判断で剣の攻撃をかわした。
 かわされた剣は後ろの壁に当たって大きな傷をつけている。
「太助様大丈夫ですか!?…あなた一体何を…」
「待てシャオ!」
 少年に憤慨するシャオを制して太助が話し始めた。
「とうとう来たか…お前が能力者か!」
「そうだ。俺は近所にいる能力者を探し回ってようやくお前を見つけたのさ。見ろ!」
 少年は手に一本の鉛筆を持っているのを見せるとそれが一瞬にして剣に変わった!
「俺の能力は“鉛筆”を“剣”に変える能力!喜べ、お前がこの能力で葬られる第一号だ!」
 再び襲いかかってくる少年!
 その剣は確実に太助を狙っている!
「くっ!」
 太助は今度もなんとかかわして少年から距離をとった。
「ははは!どうした、逃げてばかりじゃ何にもならねぇぞ!」
「太助様!こうなったら…」
 シャオが支天輪を取り出そうとした時、
「大丈夫だ!これくらい俺が何とかする!俺がやるって決めたんだ!」
 太助はそう言うと、髪を束ねていたリボンを解いて手にとった。
「見せてやるよ…俺の能力…」
「ふん、何をする気かしらんがその前に斬る!」
 少年は三度、太助に向かって斬りかかってきた。
 しかし次の瞬間、太助は大きな声で叫んだ。
「“リボン”を“ゴム”に変える能力!」

バチィーン!

「ぐべっ!」
 ゴムに変化したリボンが伸びて少年の顔面を思いきり叩いた!
 油断していた少年はまともにくらってそのまま気を失った。
「勝った…」
 リボンを元に戻し、満足そうな太助。
 一方のシャオは何が起こったのか全く理解出来ないでいた。
「え…あの…太助様…今のは一体…」
「ごめんシャオ、別に隠してたわけじゃないけど言うタイミングなくてさ…」
 呆然として言葉が出ないシャオに太助はやや申し訳なさそうに答えた。

「とりあえず初陣は勝利したみたいね」
 その様子の一部始終を屋根の上から見ていた女性はうんうんと頷いた。
 そしてその後ろにはキリュウの姿もあった。
「米田殿…これがそなたの言っていた戦いか?」
「そうよ。100人の神候補が一人の中学生を選んで能力を与え、戦わせる。そして最後に勝ち残った者の担当が…次の神になるのよ」
「神を決める戦い…か」
「さぁて…太助君、戦いはまだこれからよ…頑張ってもらうからね」


続く



後書き
バグ夫くん以外ではひさしぶりの新作です。
最近の私のお気に入りマンガ「うえきの法則」のクロスオーバーに挑戦です。
太助の能力は悩みましたがリボンをどうしても使いたいなぁという事でこうなりました。
ゴムにしたのはワンピの影響ですが(笑)
355 Reply 予想は当たり 空理空論 MAIL URL 2004/01/07 01:26
cc9999
何にかけたタイトルかと考えてたら…やはり植木の法則でしたか。
(途中までしか読んでなくて現状どうなってるのかまったく知らない私ですが)
続く、というのは少々予想外でした(爆)
相変わらずよしむらさんらしい展開にバトルに、今後も読ませていただこうと思います。
どんな能力が飛び出すやらを楽しみに。
ところで…ゴムももしかして?とか思ってたらやはし…(笑爆)
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