19 Reply さずけて慶幸日天! 第9話 『海へ行こう?』 ふぉうりん MAIL URL 2001/09/27 07:41
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 夏・・・例えこれが書かれているこの時期が、秋に深まる9月下旬であろうとも、作中は夏なのである(断言そして余計な文章)

 ピンポーン

七梨家のチャイムが鳴った。

 ガチャ

「どちら様ですか? って、なんだ山野辺じゃないか、どうした?」

「なんだで悪かったな。二人とも暇か? 海行こうぜ! 海! 家ん中にいつまでも閉じこもってると、体腐っちまうぞ?」

「海ねぇ」

 太助はどことなく年寄りくさいリアクションをとった。

「厳密には、お前のことは誘っちゃいなんだけどね。ルーアンのことだから、多分お前も引っ張られてくるだろ? もう、二人でワンセットだと思って諦め半分で誘っただけだ」

「へいへい、そうですか。お優しいことで、まっ、いいさ。ルーアン呼んでくるから、上がって待っててくれ」

「はいよ」

 翔子は七梨家のリビングに通された。



「あまたせ。って、今日はなんの用かしら? 翔子ちゃん」

「あれ? 七梨から何も聞いてないの?」

「聞いてないわよ。私はたー様から『山野辺が来たぞ』としか言われてないから」

「ったく、あいつ気が利かねぇなぁ。ならもう一回言うまでだ。これから海に行かないか?」

「海ねぇ」

 翔子は七梨と同じリアクションで返すなよ。心の内でつっこみを入れた。

「で、海で何するの?」

 ルーアンの言葉に、翔子は前のめりにこけた。

「泳いだり、遊んだりするの。本当に知らないのか?」

「ああ、そういえばテレビでそういうのやってたわね」

「そうそう。これからそこに行かないか? って、あたしが誘ってる訳」

「わかったわ。でも・・・」

「あ? 七梨か? 心配しなくても、あいつも一緒に連れてくよ」

「そうじゃなくてね。私、持って無いのよ」

「何を?」

「その・・・水着」

 ルーアンは少々申し訳無さそうに言った。翔子は少し困ったような顔をしたが、突然立ち上がり、

「よし! じゃあ、これから買いに行こう」

 ルーアンの手を引っ張って外に出ようとした。

「お茶が入ったぞ。って山野辺、もう帰るのか?」

「いや、ちょっと買い物にな、ルーアンを借りてくぞ」

「別に、いいけど・・・」

「え!? たー様、酷い」(「ルーアンは物じゃないんだぞ!」って止めて欲しかったのに・・・・)

「止めて欲しかったのか? って買い物だろ? 行って来なよ」

「でな、七梨、あたし達が戻って来たら海に行くからな、準備しとけよ」

「あっ、結局行く事になったんだ」

「どうせ、暇なんだろ? たまにはあたしに付き合えよ。な?」

「別にいいけど。必要そうな物の準備くらいはしておくよ」

「おう、じゃあ行って来る」

 そうして、ルーアンは半ば引っ張られて行くような形で翔子と買い物に出掛けて行った。

「まるで嵐か台風だな」

 太助は苦笑しながら言った。太助の頭に中には『翔子台風』という謎の言葉が過り、密かに彼の笑いツボを刺激していた。



 で、デパートの水着売り場

「これなんか、どうだ?」

 翔子が一枚の水着を手に取ってルーアンに勧めた。

「うーん」

 ルーアンはイマイチ乗り気ではなかったので、反応もイマイチだった。

「これじゃ、いつまで経っても決まらないな。しょうがないなぁ」

 そう言って、翔子は思案を閃かせ、そしてルーアンの耳元で言葉を告げた。

「なぁ、ルーアン。七梨がルーアンの事を見直すような、飛びっきりの水着を選ぼうぜ。な(ハート)」

 まるで悪魔の囁きだった。

 その言葉がルーアンの心の炎を一気に燃え上がらせたのは言うまでもない。




「ただいまぁ♪」

 御機嫌なルーアンと、それとは対照的に、疲れたような顔した翔子が、七梨家に帰って来た。

「おかえり。ルーアン、なんだかすっごい御機嫌だな」

「うふふふ(ハート)」

「山野辺、お前ルーアンに何を吹きこんだ?」

「別にぃ」

 明らかに嘘である。

「ホントか? 山野辺、なんだかお前、疲れてるみたいだけど・・・」

「あたしはただ、海の楽しみ方をちょっと教えただけだよ。そしたら、ルーアンのバイタリティに引っ張られちゃってね。この様だよ」

 苦笑しながら答える翔子。結局、あれから2時間以上ルーアンの水着選びに付き合わされたのだ。自業自得とは言え。少々気の毒かもしれない。

「ねぇ、たー様、早く海に行きましょ! ね?」

「ああ、わかったわかった。今日はもう遅いから明日な。山野辺も今日は無理だろ?」

「ああ、無理っぽい。それと少し休ませてくれよ」

「いいけど、なんか食ってくか?」

「そういえば昼も食ってなかったなぁ、御馳走なっていいのか?」

「昼過ぎて戻って来なかった時点で、なんとなくこうなりそうな気がしたからね。適当に準備してたんだ」

「ああ、わるいな、七梨」

「ねぇ、海は?」

「「明日!」」

 二人に怒鳴るように言われて、しゅんとなるルーアンだった。



10話へ続く



あとがき
 いわずともがな、原作4話のパロディですね。ここまで辿り付くのにどれほど掛かったことか・・・でも、まだ肝心の海には行ってないし(苦笑)
 今回はリハビリのように書きました。何故って? 大分期間が空いてしまった為です。今回は・・・あんまり面白くないですねぇ(オイ)
 海に行く為の布石だと思ってください。ルーアンには、シャオの女御みたいな力はありませんからねぇ。必然的に水着の話が持ち上がってしまいました。おかげで、また挿絵とかを書かなきゃいけないようなきがしてきました(自業自得)

10話の構想(というほどのものではありませんが)は出来上がっているので、割りとすぐに完成するかも知れません。ではこれにて
20 Reply うみうみうみうみ〜 空理空論 MAIL URL 2001/09/29 22:54
cc9999
前半やる気のなかった連中は後半バリバリですね。
…なんて、太助はあれだけど。
(つーかあれはやっぱじじくせえ<笑)
さりげに翔子さんがキツイこと言ってる感がなきにしもあらず。
でも2人の元気のもとですな。
(いや、翔子さんがノリ気にさせたってことか)
読んでて楽しいです。10話、とっても楽しみにしてますよ♪
21 Reply Re:さずけて慶幸日天! 第9話 『海へ行こう?』 グE 2001/10/01 15:37
cc9999
・・・いったいどんな水着にしたんだ。
(かなりきになる)
原作どおり太助は海に言ったら
どきどきしっぱなしなんだろうなぁ・・・.(笑)
原作と違って翔子が太助と,ルーアンとの中を盛り上げようという気は
ないだろうからストーリーがだいぶ変わりそうで楽しみです♪

では
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