[44] 授けて 慶幸日天! 第一話
投稿者名: ふぉうりん (ホームページ)
投稿日時: 2001年1月18日 15時46分
黒天筒。その筒、心清き者覗きし時、陽光見出すことできれば「慶幸日天」無限の幸福が得られるであろう。
父さんには何も見えなかったぞ、父さんはすっかり汚れてしまっているよ。っはっはっは
太助「はっはっは、じゃねーよ」
父さんは、その筒がお前を幸せに導いてくれることを願っている
太助「幸せねがってるくらいなら帰って来いよ・・・」 などと、言いつつも、一応覗いてみる・・・・まぶしい? 光? 太陽の光?
ピカー!!
ル 「お呼びになりました? 御主人様」
授けて 慶幸日天!
第1話 黒天筒からこんにちわ!
現れたのは露出部分の多い異国の服を纏った、妙齢の美女だった。 太助「・・・・!!!」 驚きのあまり声が出ない。 ル 「私は慶幸日天ルーアン。主様に幸せを授けるのが役目の太陽の精霊よ。新緑のように歳若き主様、御名前は?」 太助「し、七梨 太助 と言います」 ル 「七梨 太助・・・じゃあ たー様 ね!」 太助「たーさま!?」 あまりにも唐突に呼び名(あだ名か?)を決定されて、素っ頓狂な声を上げる太助。 ル 「ねぇ、たー様? お年頃の男の子の幸せって言ったら・・・うふふふふ(はーとまーく)」 前傾姿勢でテーブルに乗り出し、ずずいっと迫ってくるルーアン 太助「い?」 太助は背筋の凍る思いと身の危険(?)を感じ、ずるずると後ろへ後ずさる。
ずいずいずいずい、ずるずるずるずる、カタッ
太助の手が部屋の隅の棚に触れた。もう後がない。 ル 「幸せにしてあげるわよ〜。なーに、恐いのは最初だけだから、お姉さんに任せなさい。うふふふふふふ〜(はーとまーく)」 太助「・・・・・」 太助は半ば涙目になりながら、ふるふると首を横に振っている。しかし、当のルーアンは、そんな事気にも留めていない。 ル 「覚悟なさいよ(はーと)じゃ、行くわよ(はーと)」 太助に飛びかかるルーアン。太助は避けられなかった。
ガタン ガタガタ カラン ゲジッ
ル「あいたっ!!」 ルーアン達が暴れたせいで、棚が揺れ、落下物がルーアンの頭を直撃する。彼女は自分に何が当たったのかとソレを手に取って見る。 ル 「これからってところだったのに・・・何よこれ? 絵? ちょっと違うみたいね」 ルーアンが手にしていたのは、1枚の額に入った写真だった。 太助「ああ、それか、写真だよ。写真も知らないのか?」 ル 「少なくとも、私の居た時代には無かったわよ。ところでたーさま、いまの年号何?」 太助「年号? 西暦2000年だよ」 ル 「西暦2000年ねぇ・・・私の眠っている間に随分と文明が発達したものね」 太助「ところで、おねーさん」 ル 「あら、ルーアンって呼んで(はーと)」 太助「・・・・」 ル 「じゃないと返事しないわよ」 太助「・・・ルーアン。何時までこの格好のままなの?」 ルーアンは押し倒した太助の上ののしかかったままの状態だった。 ル 「貴方が望むなら、何時までも(ハート)」 太助「重たい、ととっと退いてくれ」 ル 「失礼ね」 プイとすねて。頬を膨らますルーアン。
テーブルの上で二つの湯のみが湯気を上げている。(勿論太助が煎れた、主なのに・・・)向かい合った2人の前にあるのは、茶菓子と1枚の写真。それらを手にしながら、ルーアンは言葉を紡ぐ。 ル 「ねえ、たーさま これは何時の「写真」なの?」 太助「え? これ? 何時だったけかな? 多分10年位前だと思うよ」 それは、今をさかのぼる事10年以上前のこの家にある唯一の家族写真だった。 ル 「ああ、じゃあこの小さい子がたー様? 昔から可愛いかったのね」 これ見よがしに、昔の自分を誉められると流石に少し照れる。 太助「ほっといてくれ」 ル 「あら? 怒った? 所でたー様、貴方のご家族は?」 太助「・・・・・旅、・・・旅に出てる」 ぶっきらっぼうに、ボソッと少し険のある声で答える太助。ルーアンは太助の喋り方で自分が失言を犯したことに気が付いた。 ル 「聞いちゃいけなかったかしら。ごめんなさいね」 太助「いや、いいんだ。ウチの連中が長い間旅に出ててるのは事実だしね。ルーアンが謝るような事じゃ無いよ。今のは俺の言い方が悪かったんだ」 ル 「優しいのね。たー様」 急に改まって、優しさを帯びた笑顔で言葉を紡ぐルーアン 太助「よせよ。改まって、照れるじゃないか」 頭を掻いて照れ隠しをする太助。
暫くいて、太助の身の回りと現代についてのレクチャーとが済むと、ルーアンはこう言った。 ル 「大体この時代については理解したわ。ところでたー様、何かリクエストある? なるべくなら、貴方の希望に添えたいんだけど・・・」 太助「うーん、急に言われてもなぁ・・・俺の幸せねぇ・・・」 ル 「あらあら、欲がないわねぇ。そんな事だと私が勝手に考えちゃうわよ?」 太助「え?」 先ほどの記憶が蘇り、顔色を変える太助。 太助「それはちょっと困るかなぁ・・・」 ル 「そんなこと言わないで、さっきみたいのが貴方の好みじゃないって事は解ったから、初めては好きな娘が良いのね?」 太助「ル・ルーアン!!」 顔を真っ赤にして叫ぶ太助。お年頃の少年には少々刺激の強い冗談だ。 ル 「うふふふふふ(はーと)」 なんだか振りまわされっぱなしな太助であった。
あとがき こんにちわ、ふぉうりんです。 かつて空理さんとメールで、「ルーアンが最初に来るネタを思いつきました」と私がのたまわったことが事の発端でした。 言ってしまえば原作の1話と7話のミックスです。 「ルーアンが偽者だ!」とかいう抗議は受け付けません(爆) ではでは |
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