185 Reply ぱらさいとが〜る よしむら MAIL 2002/09/25 09:01
003300
それはある日の深夜の事だった。
「ここでいいよ、降ろしてくれ」
「うむ。気をつけて帰れよ」
天崎克也(あまさき かつや)は大学の友人である
桂丸京一郎(かつらまる きょういちろう)に誘われて遊びに行き、
その帰りに彼の車で駅まで乗せてもらったところである。
「じゃあな、桂丸」
「ではまた学校でな」
桂丸と別れた克也はその足でどうにか間に合った
終電に乗って自宅への帰路についた。

「ふぅ…楽しかったけど、疲れたなぁ…」
自宅近くの駅で降りた克也は帰る途中で
公園に立ち寄ってベンチで休んでいた。
(もう…大学に入って1年経つのか…)
現在克也は大学2年。
この近くのアパートに下宿して通っている。
さすがにもう慣れたものだが、
今日みたいに派手に遊んだ帰りはどうしても疲れてしまうものだ。
(なんかジュースでも飲もうかな…)
そう思ってベンチから立ち上がり、
自動販売機に向かおうとした、その時。
ガサッ…
「цц…」
「!?」
突然、草むらから一人の女の子が現れた。
女の子はドレスのようなちょっと派手な服を着ていたが
あちこち破れてボロボロですっかり台無しになっていた。
「な、なんだ!?あんた、大丈夫か!?」
克也は慌てて女の子に駆け寄ったが
女の子はかなり弱っているらしく、フラフラと足取りがおぼつかない。
「おい、しっかりしろ!」
「та…лр…」
「なんだ!?何が言いたいんだ!」
「же…сцкете…」
克也は必死に呼びかけたが女の子は謎の言葉を発するだけだった。
(くそっ、外国語か!?何言ってんだか全然わからねぇ!)
女の子の青いセミロングの髪が少なくとも日本人ではないことを物語っていた。
(とにかくこのままじゃまずい!なんとかしねぇと!)
思い立った克也はすぐに女の子を抱えて、猛ダッシュしていった。

バタンッ!
「と、とりあえず、あんたここで休んでろ!」
大慌てでアパートに帰った克也は
乱暴にドアを開けるとすぐさま女の子を
出したままだった布団に寝かせた。
「すぐに救急車呼んでやるからな!」
克也はそう言うと急いで電話に飛びついた。
(えーと、救急車は確か119だったよな)
受話器を手に取り、いざダイヤルボタンを押そうとしたその時、
グイッ。
「うわっ!」
克也はいつの間にか起きあがっていた女の子に突然押し倒されてしまった。
「な、何するんだ…って、えぇっ!?」
女の子はいつの間にやら、着ていたボロボロのドレスを脱ぎ捨てていた。
ようするに、一糸纏わぬ裸だった。
「え!?え!?え!?」
あまりの展開に克也は動揺しまくっていた。
「сфяяу…」
女の子は何か言っていたがやはり克也にはわからなかった。
そうこうしてるうちに女の子は克也のシャツを強引に脱がしていった。
(ま、待て待て!?まさかそういう事か!そういう事やっちまうのか!?)
克也の頭が混乱しまくってるうちにとうとう克也は
上半身裸にされてしまった。
「お、俺はまだ心の準備がぁっ!」
「бо…」
何かつぶやきながら、女の子の手が克也のお腹に触れたその時。
ズブッ!
「いっ!?」
女の子の手が、克也の体にとけ込むように入り込んでいった。
手だけでない、女の子の頭から体、胸までも
どんどん克也の体に入り込んでいく。
「あぐっ、ぐぐっ、がががっ!」
克也は体内に女の子が入ってくる奇妙な感覚に襲われていた。
そして、最後に女の子の足が全部入り込んだ瞬間、
克也は気を失った。


翌朝。
「う…うぅー…んー」
克也は部屋の中で目を覚ました。
「…なんで俺上半身裸なんだ…?」
しばらく寝ぼけて頭の整理がつかなかったが
「あ、そうか…」
と、すぐに昨晩の出来事を思い出して身震いした。
「昨日のアレはなんだったんだ…
いきなり現れた女の子が…俺の体の中に…」
すぐにお腹を触ってみる、が何もおかしな所は見つからない。
「…そうか、夢か、昨日疲れてたし、夢に決まってるよな、ハハハ」
「夢じゃないぞ」
不意に、すぐ近くから女の声がした。
「こっちだ」
振り向くと、昨日の女の頭が、生えていた。
克也の肩のあたりから、にょっきりと。

「ぎぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁ」



「とりあえず…あんた何者だ?」
ようやく落ち着いてきた克也は話を切り出した。
今、克也は上半身裸のまま仰向けに寝転がっていて、
女の子は肩からお腹に移動して上半身までを出している。
寝転がった克也のお腹から、女の子の上半身が生えている形になった。
相変わらず女の子は裸だったのでとりあえずTシャツを着せた。
「私はティス、パラト星フュージョン国の王女だ」
「王女…いや、それ以前に…宇宙人!?」
「まぁ、この星の者であるそなたから見ればそうだな。
私は先日、宇宙船でちょっとばかり宇宙へ遊びにでかけたのだが…
途中で燃料が残り少なくなってしまってな、星へ帰れなくなったのだ。
やむをえず、私はなけなしの燃料でこの星に降り立ったというわけだ」
「ほぉ、で、それと俺の体にくっついたのとどう関係するんだ?」
「パラト星にはパラトエアという特別な気体がある。
我々パラト人はそのパラトエアのエネルギーで生きている。
だからパラトエアのない所…よその星とかだと生きていけないのだ」
「なるほど…それで?」
「普通パラト星から出る時はパラトエアを詰めたボンベを持っていくのだが…
私はすぐ帰るつもりだったから用意していなかったのだ。
幸いこの星の環境はパラト星に似ていたので
すぐに死ぬわけではないがそれでも長くはもたん…
この星の時間で24時間が限界だったのだ」
「…んで?」
「だがパラト人には一つ特別な能力があったのだ。
それは他の生物に乗り移る能力だ。
他の生物の体に入ればそこからエネルギーを得て
パラトエアなしでも生きていけるのだ」
「…それってつまり寄生じゃねぇかっ!」
「私はこの星に降り立ったはいいがそこは山の中でな、
道に迷ってしまって山から降りたらもう深夜になっていた」
「それでボロボロだったのか、あのドレス」
「いい加減私の体も限界でな、どうしようと考えていた所に
そなたが通りかかった。これ幸いとばかりに私はそなたと接触し、
勝手ながらそなたに乗り移らせてもらった。
そなたは命の恩人だ、礼を言う」
「あ…あのなぁ…俺は滅茶苦茶ビビったんだぞ…」
「すまんな、説明したかったが言葉が通じないので、
やむをえず強行手段に至ったのだ」
「アレ?そういえば今はあんた普通に喋ってるな?」
「あぁ、乗り移った時に言語形態を読みとったのだ。
どうだ?そなたと話していて何かおかしい所でもあるか?」
「いや、ない…」
「そうか、それはよかった」
にっこりと微笑むティス。
(う…可愛い…)
克也はこんな状況ながら少しドキッとしてしまった。
「それで、こんな事になって、これからどうすんだ?」
「それなんだが…星から迎えがくるまでここに置いてはもらえぬか?」
「な、なんじゃとーっ!」
「さっきも言ったが私はこの星では
誰かに乗り移らないと生きていけないのだ。
こうして会ったのも何かの縁だと思って
しばらくそなたの体を貸してほしいのだ」
「だ、だからって…」
「頼む、星から迎えが来た際には必ず礼もするから」
「け、けど…」
「頼む〜」
ティスは上半身を倒して克也に顔を近付けて頼み込んだ。
「うぅっ…」
ちょっと克也は迷っていた。
奇妙な能力を持ってはいるが、このティスという女の子はけっこう可愛い。
そんな女の子が半裸で懇願してきたとあっては気持ちも揺らぐというもの。
「この通りだ〜」
上半身を倒してほぼ克也と密着したティスの胸が
シャツ越しに克也の胸に押しつけられる。
多分本人は意識してないんだろうけど。
(ぬぉぉぉぉ!こいつ、けっこうでかいっ!)
克也はこの時ばかりは男の習性を呪った。
「わ、わかった、わかったから!」
「おぉ受けてくれるか!ありがとう!えーと…」
「お、俺は克也。天崎克也だ」
「そうか、克也か、ならば私の事はティーと呼んでくれ。
その呼ばれ方のほうが気に入ってるのでな」
「そ、そうかい…よろしくな…ティー」
「うむ。よろしく、克也」

こうして克也は、体の中に女の子を住まわせることになった。
「…大丈夫かなぁ…俺…」



後書き
「ちょっとHなラブコメが書きたい」
それだけの理由でこんなネタ書き上げました。
前から書きたかったネタなんですが設定を考えるのに
凄く苦労しました。
一応続きは考えてますが、次はいつになるかわからんです(汗)
せっかくネタもまだあるんだし、いつかまた書いてみたいですね。
187 Reply ふと… 空理空論 MAIL 2002/09/28 12:55
cc6600
思い出したのが寄生獣。
あれとは随分と異なる寄生の仕方ですが(笑)
実際問題こういう状況になって、果たしてまともに対応できるかどうかですが、
多分無理っぽい気がします(笑)
一体どんな生活を送るんでしょうね、彼と彼女は。
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