161 | Reply | もう1つの出会い | 須坂稔 | 2002/08/21 03:08 | ||
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その日流れたメロディーは 出会いを奏でるプレリュード でもそのプレリュードは ずっと前にも流れていたことを 知る者はいない その日、太助は那奈と公園に遊びに行った。 「広い公園だね、お姉ちゃん。」 と言う太助に、 「そうだな。」 と答える那奈。 「よーし太助、キャッチボールやろうぜ。」 「うん。」 そして2人はグローブをはめると離れた位置に立って向かい合う。 「よし、行くぞ。」 そう言いながらボールを投げる那奈。太助はボールを取ると、那奈に投げ返す。 しばらくの間普通にキャッチボールをしていたが、 「よーし、今度は少し強く投げるぞ。ちゃんと取れよ。」 そう言って那奈は少し勢いをつけてボールを太助に投げる。が、ボールは太助の頭上を越えて遠くへ飛んでいってしまった。 「悪い、強く投げすぎた。」 「本当だよ、お姉ちゃん。」 そう文句を言いつつもボールを取りに行く太助。 ボールを取った太助はついでにトイレに行くことにした。 トイレから出てきた太助は戻る途中で1人の女の子が泣きながらベンチに座っているのを見かけた。太助はしばらく立ち止まって考えていたが、その女の子に近づくと、 「どうしたの。」 と声をかける。 「ママとはぐれちゃったの。」 とその女の子は涙ぐみながら答える。 (迷子か・・・) どうしようかと考えたその時、 「太助、何やっているんだ。それとその子は誰なんだ。」 といつの間にか那奈が来ていた。 「どうしたの、お姉ちゃん。」 「お前がなかなか戻って来ないから様子を見に来たんだよ。で、その子は誰なんだ。」 と聞く那奈に太助は事情を説明する。 「そういうことか。」 と那奈は納得するとその女の子の方に向き直り、 「お嬢さん、お名前は。」 と聞く。その話し方に太助は思わず引くが、 「アイハラカオリ。」 その女の子は特に引くこともなく自分の名前を告げる。 「で、ママとはいつごろ、どのあたりで離れたのですか。」 「・・・ちょっと前に向こうの方で・・・」 そう言いかけたとき、 「カオリ、どこにいるの。」 とその女の子の名を呼ぶ声がした。 「あ、ママだ。」 とその女の子は泣きやむのをやめてうれしそうに言う。 「よかったね、お母さんが見つかって。」 「うん、お姉ちゃん達ありがとう。じゃーね。」 と言ってその女の子は母親の所へ駆けだしていった。 「じゃああたし達も行くか、太助。」 「うん。」 そして2人もベンチから離れていった。 「そう言えばさ、お姉ちゃん。」 「何だ。」 「さっきの子になんであんな変な言い方したの。」 「ああ、あれか。いや、ちょっと知り合いが女に話しかけるときの話し方をまねしてみたんだけど、やっぱ変だったな。」 「うん、変だったよ。」 と那奈の言葉をあっさり肯定する太助に、 「なんだと。」 そう言ってこぶしを振り上げる那奈。そして思わず逃げる太助。彼はしばらく走った後立ち止まると後ろを振り返り、 「アスレチック広場までどっちが先に着くか競争だよ。」 と言うとそのまま走り出した。 「おい、それはずるくないか。」 そう言って那奈はあわてて走り出した。 七梨太助と愛原花織 その日2人は確かに出会った だが時の流れの中に それは葬られていく そして2人が再び出会うのは それから7年後のこと もう1つの出会い 完 <後書き> 7ヶ月半ぶりの物書きです。 とりあえず当駅でおなじみ(?)、メロディーシリーズ番外編です。 太助7歳、花織6歳。そんな2人が昔出会っていたら、な話です。 現実は太助と那奈の話っぽい気もしないことはないですけど。 それじゃあ、また。 |
166 | Reply | おお、おもろい! | 空理空論 | URL | 2002/08/27 01:19 | |
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率直な感想はタイトルそのものです。 メロディー奏でてならではのお話である点もいいですが、 何より那奈姉さんが楽しく活躍してらっしゃいますし(笑) こんな時もあったのだなぁ、としみじみ思ってしまいました。 |
172 | Reply | Re:もう1つの出会い | グE | 2002/08/28 16:51 | ||
cc9999 | ||||||
素直に面白い設定だと思いました。 ほんとにこんなことあったかもなぁ・・・とか思ってしまいました。 |
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