94 | Reply | 未来日記 第4話 空に思う | 須坂稔 | 2001/12/31 23:53 | ||
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とあるホテルの一室、太助は1人窓の外を見ていた。特に何か考えている訳でもなく、ただ窓の外に見える暗闇を見つめていた。そうやって暗闇を見つめているうちに、いつしか彼は数日前のことを思い出していた。 その日、太助達は家族でとあるテーマパークへ行こうとしていた。だが当日、母親が急に体調を崩してしまい、中止しようかと思ったが彼女が自分のことは気にしなくてもいいと言ったので太助と一那の2人で行くことになった。 「私がママの分まで楽しんでくるからね。」 と一那が言う。 「じゃあ、行って来るよ。」 と太助が言う。そして彼女に見送られて2人は家を後にする。そこで待つ運命も知らずに。 1時間ほどかかって2人はそのテーマパークに着いた。 「やっと着いたー。」 一那が嬉しそうに言う。 「とりあえずあのジェットコースター乗りに行こう、パパ。」 「じゃあ、行くか。」 と言いながらジェットコースター乗り場に向かう2人。2人がそれに乗れたのは20分ぐらい後のことだった。 「大丈夫、パパ。」 一那が太助のことを心配そうに見ながらたずねる。あの後一那が絶叫系の乗り物ばかりに乗ったため、今太助は死にかけ状態である。 「大丈夫だよ、一那。」 と答える太助。その後、 「昔に比べればね。」 と一那に聞こえないように小声で付け加える。 「そろそろお昼だしご飯食べ行こうか。」 この一那の提案に、 「そうだな。」 と太助も承知する。 食事を取り終えた2人はとりあえず近くにあったミラーハウスに行くことにした。 「わー、あたしやパパがいっぱい映っている。」 と普通に感動する一那。それに対し、 「それにしても出口は一体どこなんだ。」 とつぶやく太助。ちなみに2人は10分近くここにいたりする。 「左は行ったから右かな。」 そう言いながら右の道を行く2人。しばらく歩いていたそのとき、 「な、何だ。」 「きゃーっ。」 不意に足下の床が抜けて落下していくような感じを受け、思わず悲鳴をあげる2人。そして2人の意識は次第に薄れていった。 「・・・そして気がついたらこの世界に来ていた。」 とつぶやくように言う。 「まさか、もう未来に戻れない何てことは・・・ないよな、多分。」 窓の外の暗闇が彼の心を弱気にさせているのか、つぶやくように弱音をはく太助。と、不意に頬に冷たさを感じ、太助は我に返る。 「何ぼーっとしているんだ、太助。」 太助が振り向くと、缶ビールを太郎助が缶ビールを持って立っていた。 「いや、別に。」 「なあ、親父。」 「ん、何だ。」 「俺達本当に戻ることが出来るのかな。」 と太助がつぶやくようにきく。 「俺達がここに来た原因が門(ゲート)かどうかなんて分からないし、それにそれ自体が本当にあるのかさえ・・・」 「じゃあ、あきらめるか。」 「な、何言って・・・」 「門(ゲート)が本当にあるのか分からないから、未来へ戻るのをあきらめるか、と聞いているんだ。」 「そんなわけないだろ。未来へ戻れる可能性があるならばそれにかけるまでだ。」 その太助の主張に、 「でもさっきお前は門(ゲート)が本当にあるのか分からないって言っていなかったか。」 と聞く太郎助。 「それはその、ちょっと弱気になっていただけで・・・」 「まあいいや。お前がそう思うならそれでいい。それはそうと、一杯やらないか。」 缶ビールのふたを開けながら言う太郎助に、 「じゃあ、そうするか。」 そう言いながら缶ビールを手に取る太助だった。 翌日、目を覚ました太助が外を見ると澄みきった青空が広がっていた。 「綺麗な青空だな。」 と思わずつぶやく。 「・・・ごめんな、また心配かけて。」 と太助はぽつりとつぶやく。今は離れた場所にいる自分の妻に向かって。 「だけど、だけど、必ず戻ってくるから、俺は。」 そう静かに言う太助だった。 そして2人は旅だった。未来へ戻る方法を探すために。 未来日記 第4話 空に思う 完 未来日記 第5話へ続く <後書き> 前話から約2ヶ月半ぶりの新作です。 今回は2人がどうしてこっちの世界に来たかを書いてみました。 それと、ゲートについて説明しておくと、現代と未来という2つの空間をつないでいるもので、太助達はそれに巻き込まれたと思ってもらって結構です。 とりあえず今年中に書けて良かったです。 それじゃあ、また。 |
95 | Reply | とるべき道は一つ | 空理空論 | URL | 2002/01/02 14:07 | |
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某漫画からの台詞を引用したタイトルですが…。 何が何でも未来に戻らなくちゃ、ですね。 たとえ方法があるかないかわからなくても。 太助の強い意志というものを感じたです。 続き、頑張ってください。 |
104 | Reply | 父子 | ふぉうりん | URL | 2002/01/29 08:01 | |
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この父子のやり取りって、どことなく淡々としているような・・・ それとも、父が達観しているのだか・・・・私のきのせいでしょうか? でもね、全体としては奇麗にまとまってると思いました<偉そう。 次回も楽しみにしております。 では。これにて |
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