[215] 未来日記 第2話 今と現代の相違点
投稿者名: 須坂稔 (ホームページ)
投稿日時: 2001年7月31日 02時23分
七梨家に戻った3人は靴を脱いで家に上がる。 「じゃああたし、こいつに家を案内するよ。」 と言って一那を連れて家の奥の方へ行く那奈。そのとき、 「ただいま戻りました、太助様。」 とシャオの声が聞こえてきた。 「ああ、お帰り、シャ・・・」 と太助は振り向きながら言い、そのまま固まった。そこにはシャオだけでなくなぜか太郎助の姿もあった。
「おい、何でいるんだよ。あいつと一緒に未来へ戻る方法を探すんじゃなかったのか。」 と小声で太郎助を問いつめる太助。 「安心しろ。お前に土産を渡したらさっさと消えるからよ。」 と言って鞄から箱を取り出すと太助に渡す。太助が受け取りそれを開けると、そこには1枚のやや古びたコインが入っていた。 「何だよ、これ。」 「俺が少し前に掘り当てたヤツだ。財布にでも入れておけばお金が貯まったりしてな。じゃあ俺はもう行くぜ。」 と言って立ち上がると、太郎助は家を出ていった。 「ったく何なんだよ。」 と言いながらもらったコインをのぞき込んだりして、異常がないかを確認する太助。何もないことを確認すると、 「とりあえず○天シリーズ関係ではないようだな。」 と言ってほっとするとコインをポケットにしまう太助。だから何なんだよ、○天シリーズというのは。 「あれ、親父もう行ったのか。」 と言いながら一那を連れて那奈が戻ってきた。 「ああ。」 と答える太助。さらに、 「あれ、お父様は。」 と今度はお茶を持ってきたシャオが聞く。 「ああ、親父ならもう出ていったぜ。」 と太助が答える。シャオはその時初めて一那の存在に気づく。 「あの、こちらの人は・・・」 「ああ。親戚の子なんだけどしばらくの間家で預かることになったんだけど、いいかな。」 「私は構いません。」 とシャオ。とその時、 「ただいまー・・・って・・・」 との明るい声とともにルーアンとキリュウが入ってきた。だが、一那を見てルーアンの表情が変わる。 「誰なの、その子。ま、まさか、あんた達・・・」 「ちょっと待て、ルーアン。何か勘違いしていないか。」 と太助が言う。 「何てね、冗談よ冗談。あ、たー様怒っちゃいや。」 「呆れているんだよ。」 と太助がつぶやく。 「で、誰なのこの子。」 「親戚の子で、しばらく預かることになったんだよ。」 と那奈が説明する。 「ふーん。あたしはルーアンよ、よろしくね。」 「キリュウだ。」 「シャオリンです。シャオと呼んでください。」 「七梨一那です。よろしくね、シャオお姉ちゃん、ルーアンお姉ちゃん、それにキリュウお姉ちゃん。」 とお互いを紹介し合う4人。 「暑いので私は上にいかせてもらう。」 と言ってキリュウは2階へ上がっていった。そしてルーアンやシャオも自分の部屋に戻っていった。
「そういえばこいつどこで寝るんだ。」 と太助がお茶を飲みながら那奈に聞く。 「あたし達の部屋でいいだろ。」 と那奈が答える。 「お前はそれでいいか、一那。」 と聞く太助に、 「うん、いいよ。」 と答える一那。 「よし、これで決まりだな。」 と言って那奈はお茶を飲み干した。
そして夜、太助と一那は寝る用意をしていた。ちなみに那奈はまだ眠くないとか言って下にいる。 「ねえ。」 「何だい、一那。」 「一緒に寝てもいいかな。」 「あ、ああ。」 と太助。それを聞いて一那は太助のベッドに潜り込む。 「最初はあたし不安だったんだ。いきなりこっちに来てうまくやっていけるのかって。」 一那はつぶやくように言った。 「え。」 「でも家の感じはほとんど変わっていないし、パパも那奈おばちゃんもあたしの時代の2人と同じくらい優しい人でよかった。」 その一那の一言にしばらく太助はしばらくの間黙っていたが、不意に、 「なあ、一那。」 と口を開いた。 「何。」 「俺はあいつの代わりにはなれない。でも、出来る限りのことはするから・・・」 「うん。ありがとう、パパ。」 と一那。それから数分、2人は眠りに落ちていた。 「ふっ、なんだかんだ言ってあいつもいい父親やっているじゃないか。」 ドアの外から2人の会話を立ち聞きしていた那奈がそっとつぶやく。彼女は2人を起こさないようにそっと部屋に入る。寝ている2人の布団を直すと、 「お休み、2人とも。」 そう寝ている2人に言って自らも眠りについた。
未来日記 第2話 今と現代の相違点 未来日記 第3話へ続く
<後書き> 大体2ヶ月半ぶりの第2話です。 ちなみにタイトルの今というのは一那にとっての今、つまり未来を示しています。 つまりは、一那にとっての未来と現代の相違点と言った感じです。
それと一那は基本的に太助と那奈しかいないときには『パパ、おばちゃん』と呼び、他に誰かいる場合は『太助お兄ちゃん、那奈お姉ちゃん』と呼びます。 ちなみにこの話の舞台は7月の夏休み間近だと思ってください。 では、第3話でお会いしましょう。 それじゃあ、また。 |
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