LookingFor短編(その7)

『思慮』

※用心深い客は
食事によばれたら口をつぐみ
注意深く耳を傾ける
耳をそばだて目をこらす
賢明な人はこのように
まわりに気くばりする

「こんばんわー。」
「いらっしゃい、よく来たね。さあ上がりたまえ。」
今日あたしは、卯月さんに招かれて夕飯を戴きに来た。
あの卯月さんが呼ぶなんてなんて珍しいのかしら!!
でも、気になる事がある・・・。
けどとりあえずは・・・。
「おじゃましまーす。」
家の中へと入らせてもらって、席につく。
卯月さんとあたしのみの分が用意されてる所をみると、奥さんは留守の様だ。
「妻は今晩同窓会に行ってるものでね。
一人で食事するのもなんだと思って呼んだわけなんだが・・・来てくれてありがとう。」
なるほど、そういう理由で突然呼んだってわけなんだ。
今更ながらに告げてる事に申し訳なさそうな卯月さんだったけど、
あたしは慌てて首を横に振った。
「いえいえ、そんな。あたしこそ呼ばれて嬉しかったですから。」
「そうかね?まあともかく食事を始めようか。」
そしていただきますを告げて始められるディナー。
けれどもあたしは、家に入った時に気になる事があった。
それが影響し、話し掛けてくる卯月さんにも無言で頷いたりするのみ。
食べながらも周囲に注意を配り、きょろきょろそわそわ。
そんな変な様子に気付いた卯月さんは、首を傾げながら尋ねてきた。
「どうしたのかね?智子ちゃん。私の家はそんなに落ち着かないかい?」
「あ、い、いえ、そうじゃなくて、その・・・。」
「・・・そういえば以前、誰かの食事に誘われてる時に師走に捕まったそうだね。」
「は、はあ・・・。」
よく知ってるなあ。あの後あたしが如月さんにうっかり言っちゃったのが原因かな。
「心配しなくとも、今晩は二人だけだ。だから気兼ねなくくつろいでくれたまえ。」
「・・・ありがとうございます。」
普段固い雰囲気がある卯月さんだけど、
いざお客さんに接する時はこうも柔らかなんだな、ってのを凄く感じた食事だった。
来てよかったあ。

<おしまい>



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○後書き:く、苦しい話だ・・・。
それはさておき、ようやく卯月さんのキャラが立ってきたかな?なんて。
早く全員のキャラっての固めないといけないなあ。
(師走さんの立場って結構悪い?)
2001・2・27
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