123 Reply LookingFor短編(その14) 空理空論 MAIL URL 2002/03/10 01:31
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『いつまでも生きられない』
※愚か者は
戦いから身を守れば
いつまでも生きられると思う
だが、槍は容赦しても
寄る年波は容赦しない


「あたしゃ頭が悪いからねえ。いひひひひ」
暗闇の奥で極月奈津江が笑っている。
前に立っている客はそのあまりの不気味さに、怒っていたその表情を強張らせた。
だがしかし、すぐに憤怒を顔に表す。
「何を言ってるんだ。つまりは分からず屋だと言いたいのか?」
「そうじゃないさ。…いや、そうかもねえ。いひひひひ」
「ったく、付き合いきれん…帰るよ」
説得を、いや文句を言う事を諦めた客はくるりと踵を返した。
やってられない、という気持ちがそこかしこからにじみ出ている。
そんな客に対して、極月はひらひらと手を振った。
「またおいで」
「二度と来ないよ!」
振り向かずに客は怒鳴って返した。
店内に居たもう一人の客人の横をすりぬけて、足早に店を去ってゆく。
それをじっと見ていた睦月は、ふうと息をついた。
腕組みをしているその表情からは、呆れの意志しかとれない。
「もうちっと商売人らしくしなよ」
「何を言ってるんだい。あたしゃ売れない占い師さ」
にやりと笑う極月の顔からは、ちっとも気にしていない様相が見てとれた。
先ほどの客は、欲しい品を注文してもらおうと店主に言い寄ったのだが、
当の店主は占いを勧めるばかり。
何度抗議しても変わらないそれに、ついに業を煮やしたのであった。
“頭が悪いからねえ”と言ったのは、
客の“なんで同じ言葉しか繰り返せないんだ!”という言葉に対してである。
「冗談もほどほどにしないと、智子ちゃんまで来なくなるよ?
ただでさえ今も自分からは来ないってのに」
「おやおや、それは困ったねえ。いひひひひ」
困ったと本人は言ってはいるが、顔はほとんど困ってない様に見える。
別に彼女は客に来て欲しくないわけではない。
言わば、自分の好きな様にやりたいという意志表示が強いだけなのだ。
「けどねえ、睦月さん」
「なんだい?」
「言ってるあんたもあたしと同じじゃないのかねえ?いひひひひ」
「…ま、違いない。あははは」
「いひひひひ」
睦月自身の商売方法もかなり個人欲が強い。
もっとも、この二人に限らずこの街には我が侭さんな店主は何人か居るのだが…。
店の容貌その他でトップクラスに目立つ極月の店は、
客の文句の数もトップクラスであったりする。
だから、後どれくらい店がもつかなどという問題は最悪のはずなのだが…。

<おしまい>



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○後書き:合ってるようで合ってない。合ってないようで合ってる。
多分そんな話です。(なんでこんな面倒な話が多いんだろう)
斜め後ろに深く考えないとつかめないかも。
124 Reply Re:LookingFor短編(その14) グE MAIL 2002/03/11 11:13
cc9999
やっぱりというかなんというか、極月さんの
店って人気ないんですね。
なんか不気味そうな雰囲気だしねぇ。
睦月さんの店、一般的にマニアと呼ばれるような人に
人気がありそうな気がするんですが
いかがなものでしょうか?
(掘り出し物とか眠っていそう)

では
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