186 Reply リトルドリーム よしむら MAIL 2002/09/27 08:46
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「はぁ…はぁ…」
男は広い荒野の中を一人、彷徨っていた。
目はかすみ、足はフラフラ、腹も減っている男の体力は
もう限界に達していた。
「ちくしょう…俺も…ここまでか…」
ついに力尽きた男は地面に倒れ、そのまま意識が薄れていった。


目が覚めると、男は簡易ベッドの上で
静かに横になっていた。
「…ここは…どこだ?」
「言っておくが天国ではないぞ」
男が声のした方に振り向くとそこに白衣を着た男性が立っていた。
「私はアイン、この村で医者をしている者だ。
君は荒野で倒れていた所を発見されてここに運ばれてきたのだ」
「そうか…俺は生きているのか…」
「命に問題はないが、かなり衰弱していたみたいでな。
しばらくはここに入院してもらう事になるぞ」
「あぁ…わかった…」
「ところで、君は何者かね?そしてどこから来たのだい?」
「俺は…ナラク。王都から…ずっと旅してきた…」
「王都から…そりゃまた遠い所から来たもんだ。
まぁせっかくだし、しばらくここでのんびりしていきな」
「うむ…恩にきる…」
その時、病室の外から少年の声が聞こえてきた。
「アインさーん!」
「おっと…失礼」
アインはナラクに断りを入れると病室のドアを開けて
外にいる少年に話しかけた。
「おぉ、君か。いいよ、入ってくれ」
アインが促すと先程の声の少年が病室に入ってきて、
ナラクに話しかけてきた。
「あぁ、よかった。目が覚めたんですね」
「君は…?」
「あ、ボクはカイです」
「はぁ、それで俺に何の用が…?」
「ナラク君、荒野で倒れていた君の第一発見者がこの子なんだよ」
アインの説明でナラクはなるほどと納得した。
「おぉ、そうだったのか、申し遅れた、俺はナラク。
カイ君だったっけ?ありがとう、おかげでなんとか助かったよ」
「い、いえ…ボクはたまたま通りかかっただけでしたんで…
気になって様子を見に来たんですが無事でよかったです」
「ははは…」
と、二人が話していた所にアインが不意に入り込んだ。
「カイ君、このナラク君は王都からずっと旅してきたんだよ」
「王都から?それはすごいですね」
「だろう?せっかくだしいろいろと旅の話を聞かせてもらってはどうかな?」
「え!?」
「いいんですか!?」
アインの話にナラクは動揺し、カイは目を輝かせた。
「別にかまわんよ、なぁナラク君?」
アインに話を振られてナラクはやれやれと溜め息をついた。
自分の命を救ってくれた者の頼みとあれば断るわけにもいかないからだ。
「わかった…だがあまり期待しないでくれよ」
「はーい」
そう言いながらもカイの表情はとても嬉しそうだった。
「では私は他に仕事があるから一旦失礼するよ。
何かあったら呼んでくれたまえ」
アインはそう言って病室を出ていき、あとには
ナラクとカイの二人が残された。
「じゃえーと、何から話そうかな…」


3日後。
「と、まぁそれでどうにか解決した、というわけだ」
「凄いですねー…」
あれからカイは毎日ナラクの元を訪れ、彼の話を聞いていった。
カイはとても楽しそうに聞いてくれたので
ナラクもいろいろな話をカイに聞かせていた。
「ところでナラクさん。体の方はどうですか?」
「うむ。もうほとんど回復したよ。この分なら明日には
もう退院出来るとアイン先生が言っていた」
「そうなんですか。あの、それでしたらこの後ボクの家に来ませんか?」
「カイ君のお家に?」
「えぇ、ここのすぐ近くなんで…どうですか?」
「う〜ん…でも一応俺は入院してる身だからなぁ…」
「いいよ、別に」
「「うわっ!」」
いつの間にやらアインが二人のそばに立っていたのに
気付いてナラクとカイは驚いて声をあげてしまった。
「アイン先生…いつからそこに…」
「ハハハ、細かい事は気にしない。うん、外出許可は出すよ」
「そんな簡単に決めてしまっていいのですか?」
「いいんだよ、事実君の体はもうほぼ全快してるんだし。
ただ用がすんだら一応ここに戻ってきてくれよ」
「わかりました、ありがとうございます。
では行こうか、カイ君」
「はいっ」

カイに連れられ、ひさびさに外に出た
ナラクは村の中を見回してみた。
小さな村だが人々に活気があり、とても平和な光景に
ナラクは自然に笑みがこぼれていた。
「いい村だな…ここは…」
「ここは田舎ですから、平和なだけが取り柄ですよ」
ゆっくりと村の中を歩いていた、その時。
「よ〜ぉ、カイじゃねぇか。お前こんな所で何してんだ?」
不意に後ろから声をかけられ、振り向くとそこに
ちょっと体の大きな少年が全身汗だらけで立っていた。
カイはちょっと苦笑しながら相手の少年に話しかけた。
「や、やぁギル…今日もトレーニングなの?」
「おぅよ。未来の大戦士たる俺様は
日々のトレーニングを欠かさねぇんだよ」
「戦士?君は戦士を目指しているのか?」
少し気になったナラクはギルと呼ばれた少年に尋ねてみた。
「おぅよ、俺様は将来この村を出て、ナッシュみてぇな
もの凄く強ぇ大戦士になってやるんだ」
「ナッシュ…」
その名前にナラクは一瞬顔が強張った。
「10年前、王都で起きた反乱を沈めた戦士ナッシュ…
男ならああいう強くてかっこいい人間になりてぇよな!」
「そ、そうかい…」
ナラクは苦笑して、ギルの話を聞き続けた。
「ところで、あんた誰だ?この村の者じゃねぇみてぇだが?」
ようやくギルはナラクの存在に疑問をぶつけてきた。
「あぁ、この人はナラクさん。この前荒野に倒れてたのを
ボクが見つけて、今アインさん所の病院で世話になってるんだよ」
ギルの質問にカイが代わりに答えてフォローしてくれた。
「ふ〜ん…不細工なツラしてんな」
「ちょっ、ギル!失礼だよっ!」
「ハハハ、んじゃ俺はトレーニングに戻るんでな、あばよっ」
言うだけ言ってギルは二人の前から走り去っていった。
「ごめんなさいナラクさん…あいつギルって言うんですけど
口が悪くて…ボクもちょっと苦手なんです…」
「そ、そうかい…カイ君も苦労してるな…」
「と、とにかく行きましょう。ボクの家もうすぐそこですから」

「それじゃ上がって下さい。狭い家ですけど…」
「うむ。おじゃまするよ」
ようやくカイの家に着いたナラクは椅子に座って少し休んでいた。
「あっ、ちょっと待ってて下さいね」
そう言ってカイは一旦部屋を離れ、
しばらくして何やら数枚の紙を持って戻ってきた。
「あ、あの、これボクが書いた小説なんです」
「小説?」
「はい、ボク趣味でこういうの書いてまして…
実はナラクさんから聞いた話とかも少しネタにしてるんで
もしよかったらどうかなと思って…」
「へぇ、そうなのか。どれ、ちょっと読ませてもらおうか」
そうしてナラクはカイの執筆した小説に目を通した。
あいにく小説はまだ未完ではあったが、なかなか楽しい内容であった。
何度も書き直した跡が真剣に書いた事を物語っている。
「うん、けっこう面白いよ。
すごいねカイ君、将来は小説家にでもなるの?」
「いえ、そんな大それた事は考えてないです。
本当にただ単に趣味でやってるだけで…
でも今書いてるそれは前から書きたかったもので、
これだけは完成させたいなって思ってまして…」
「へぇ〜…」
「で、でも、他の人から見れば、ボクの目標なんて凄くちっぽけで…
何の自慢にもならないし…将来大きくなっても何の役にも立たないですけど…」
「別にいいじゃないか」
「え?」
「どんなに小さな目標だろうと、それはカイ君が自分でやる、って決めたんだろ?
だったらそれは立派に君の『夢』だ」
「ボクの…『夢』?」
「そうだ。だから人からなんと言われようと気にするな。
君の信じたやり方でやればいい。君の人生だ、君が決めろ」
「あ…ありがとうございますっ…!
ボク…頑張ってこの小説最後まで書ききってみせます…」
「あぁ…頑張れよ…」
ナラクはカイの頭を撫で、優しく微笑みかけた。

それからしばらくカイと一緒に他愛のない話をし、
その後仕事から帰ってきたカイの両親に挨拶して、
ナラクはついでに夕食もご馳走になっていた。
「それではそろそろ病院に戻ろうかな…
いろいろありがとうな、カイ君」
「は、はい。あの…ナラクさん、明日はもう退院するんですよね?」
「そうだな、もう問題なく動けるしな」
「退院したらその…どうするんですか?」
「また旅に出ようと思ってる。
いつまでもこの村にいるわけにもいかないんでな」
「そう、ですか…」
そう言うとカイはがっくりと肩を落とした。
わかりやすいリアクションにナラクはふぅっと息をついた。
「まぁ、明日一日ぐらいならいいだろう。
よかったら村の案内でもしてくれるかな?」
「あっ…は、はいっ!わかりました!
明日はボクが村を案内しますから!」
「そうか、それじゃ明日はよろしくな」
こうしてこの日はひとまずカイと別れて
ナラクは病院に戻っていった。

そうして翌日。
「うむ。もう大丈夫だ。退院おめでとさん」
「いろいろありがとうございました」
「これからはあまり無茶をしないようにな」
アインに最後の診察を受けたナラクは治療費を払って
ようやく退院の許しが出た。
そうして病院から出たナラクを一人の少年が出迎えた。
「ナラクさん、退院おめでとうございます」
「カイ君、何も病院の前で待ってる事はないんだが」
「いや、なんか…待ちきれなくて」
カイはやや恥ずかしそうに笑って見せた。
「そ、それじゃ行きましょうか」
「あぁ、頼むぞ」

ナラクはカイの案内の元、村の中をあちこち歩き回った。
小さな村なのでさして見る所もないのだが
それでもカイは懸命にナラクを案内した。
途中公園に立ち寄った時には、たまたま旅の芸人が来ていて
二人は芸人の漫才で大笑いをした。

ひとしきり笑った後二人は村一番の食堂に入って食事をとっていた。
「さっきの、チャップ&リンでしたっけ?すごい面白かったですね」
「あぁ、それにあの二人の漫才はかなり洗練されている。
これまでかなりの場数を踏んできたのだろうな」
ようやく二人とも食べ終わった時、カイが昨日の小説の紙を取りだした。
「あの、ナラクさん…ボクあれから小説の続き書いてみたんです。
まだまだ未完ですけど…せっかくだしどうですか?」
「ほぉ、いいね、読ませてもらおうか…いや、ちょっと待って。
その前にトイレ行ってくるよ、ここで待っててもらえるかな?」
そう言ってナラクは一旦席を外し、カイは一人椅子に座って待ち続けた。
「よぉカイ、お前も来てたのか」
そこに、モグモグとパンを口いっぱいに頬張った
ギルがカイに話しかけてきた。
「ぎ、ギル…君もここに?」
「おぅよ、トレーニングしてたら腹減ってな。
ん…お前何持ってんだ、それ?」

「ふぅー…さっぱり」
トイレで用を足したナラクは
すっきりした顔でカイの元へと戻ろうとしたその時。
「やめて、やめてよぉっ!」
「カイ君!?」
カイの悲痛な叫びを聞いて慌ててナラクはテーブルに戻ると
そこに昨日のギルとかいう体の大きな少年が
カイの持ってきた小説の紙を踏みつけていた。
「これからナラクさんに読んでもらうんだよっ!」
「将来小説家になる気もないくせに
趣味で書いた小説を読んでもらうだぁ?
ちょっと調子よすぎるんじゃねぇのか?
お前の道楽なんかに付き合ってられねぇんだよ」
ギルは紙を靴でグリグリと踏んでグチャクチャにしながら
なおもまくしたてた。
「いいか!?夢ってのは大戦士を目指す俺みたいな、
世界を動かし歴史に名を残す、でっかい野望の事を言うんだよ!
お前のようなチンケな目標は夢とは言わねぇんだよ!!
たいした夢も持ってねぇくせに生意気な事を言うんじゃねぇよ!!」
ギルは持っていたドリンクを小説の紙にボトボトとこぼしていった。
「俺は夢も持たずに妥協して現実的に生きる人間にゃなりたかねぇ…
そんなのは自分に自信のもてねぇただの臆病者だからな!」
ガンッ!
「ぎゃっ!」
突然、後ろから殴りかかってきたナラクにギルは大きく飛ばされた。
「小僧…黙って聞いてれば…調子よすぎるのはそっちじゃないのか!!」
そう叫んだナラクの顔は今までの温厚な態度からは想像も出来ぬ程、
怒りに満ちあふれていた。
「いてて…やったな?オッサン。先に手ぇ出したのはそっちだから
ここでぶっ飛ばされても文句はねぇな?言っとくがこれでも俺は
戦士の修行を積んでるんだ。ヘタな大人よりよっぽど強…」
ドガッ!
「がはっ!?」
ギルが言い終わるより早く、ナラクが間合いに入って
思いきりギルの顔面を殴り倒した。
そのあまりの早さにギルは反撃する事が出来なかった。
ギリッ!
「ぎゃああーっ!!」
ナラクは倒れたギルの腕を掴んで思いきり捻った。
その激痛にギルは思いきり泣き叫んだ。
「生意気言ってるのはお前だ…人の夢を笑うお前に…
夢を語る資格なんざねぇ!このままこの腕へし折って
戦士になれねぇ体にしてやろうか、あぁん!!?」
「ぎゃああ――――――――――――っ!!!」
「ナラクさん!やめて下さい!!」
ナラクがギルの腕をさらに捻った時、
カイが慌ててナラクを止めに入った。
「もういいです!じゅうぶんです!
それ以上したらホントにギルの腕折れちゃいます!」
「止めるな!こいつはお前の夢を踏みにじったんだぞ!」
「それでもギルの腕折っちゃダメですよっ!
ギルはホントに小さい頃から戦士になるっていつも言っていて…
ナッシュみたいな戦士になるのがギルの夢なんです!
ギルの夢を奪わないであげてください!!」
「…くっ…カイ…」
カイの説得にようやくナラクはギルの腕を離した。
「うわっ…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その途端、ギルは顔を涙と鼻水でドロドロにしながら
大慌てで逃げ去っていった。
「…優しいんだな、君は」
「ギルは確かにちょっと嫌なヤツですけど…
あれで戦士になるって夢だけは本物なんです。
そこだけはボクも素直に凄いって思ってますから」
「あ、そうだ。小説…」
ナラクは床に落ちた小説の紙を拾い上げたが
靴の泥汚れとこぼしたジュースでとても読めたものではなかった。
「ひどい有様だな…」
「でも今日持ってきたのは昨日新しく書いた所だけですから…
昨日の分だけ書き直したらすむことです」
「そうか…不幸中の幸いってとこか…」
と、そこへ。
「お客様…店内で騒ぐのはやめて頂きたいのですが…」
「あ」
食堂の店員が冷たい視線で話しかけてきた。
まわりの客もナラクを非難の目で見つめている。
ナラクはここが食堂だという事をすっかり忘れていたのだ。
「す、すまん…みなさんお騒がせしました。いくぞカイ君」
「は、はい…」

「ナラクさん…もう村を出てしまうんですか?」
「あぁ、あんな騒ぎを起こしてしまった以上
もうここにはいられないだろう。すまんなカイ君、
巻き込んでしまって。しばらくあの店には行きづらくなるだろう?」
「いえ、ボクの方こそナラクさんに嫌な思いさせちゃって…
ごめんなさい…」
「俺はいいんだよ、どのみち今日村を出る予定ではあったんだし。
そうだ、カイ君」
「なんですか?」
「君の書いたあの小説…いつか完成したら、
見せてもらいにまたこの村に来てもいいかい?」
「えっ…?」
一瞬、呆然とするカイ。
だが意味を理解した瞬間、カイは満面の笑みを浮かべた。
「も、もちろんですっ!きっと来て下さいっ!!
ボク、絶対に面白い小説にしてみせますからっ!」
「あぁ…」
そうして、ナラクはゆっくりと村の外に向かって歩き始めた。
「ナラクさーん!本当に!本当にありがとうございましたーっ!」
背中に向けて叫ぶカイにナラクは振り向かずに手を上げて
「じゃあな」
と一言つぶやき、去っていった。


「ふぅ…村からけっこう離れたなぁ…」
1時間後。ナラクは村を離れた荒野の岩影で一休みしていた。
「さて…次の街までけっこう距離があるなぁ…」
「こりゃしばらくは野宿ですかね?」
「そうだな…って、何者!?」
突然何者かに声をかけられナラクは辺りを見回した。
すると岩の上に意外な人物が座っていた。
「アイン…先生?」
「体の調子はよさそうですね?」
「先生…病院ほったらかしにしていいんですか?」
「田舎の医者はヒマなんですよ」
アインは悪戯っぽく笑い、話を続けた。
「それで、これからどうするおつもりですかな?ナッシュ君?」
「!!?」
その言葉にナラクは思いきり動揺した。
「な、なにをおっしゃるやら。私はナラクという者で」
「村のみんなは気付かなかったみたいですね。
無理もありません、そんな汚い格好してればね。
私も気付くのにちょっと時間がかかりましたよ」
確かにナラクの姿は10年前のナッシュとはかなりかけ離れていた。
老けてもいたし、身なりもボロボロ、
何よりナッシュであった頃の存在感というものが完全に消えていた。
「10年前、反乱を鎮圧し王都を救い、その後行方をくらました伝説の英雄が、
名前を偽り、そんな汚い姿になってまで、どうしてこんな辺鄙な村に?」
「俺は…別に戦士になりたかったわけじゃない。
家は代々戦士の家系だったから…
戦士になったのはただ単に家に決められただけなんだ…
10年前の反乱を沈めて俺はみんなに英雄扱いされた…
確かに多くの人を救えたのは嬉しかったよ。
でもそれは他人に決められるままに生きてきた
俺の巡り合わせが良かっただけだ。
俺はもう…人生を他人に決められるのは嫌だったんだ…」
「それで王都を出たんですか…なるほど。
英雄も人の子、というわけですか」
「あれからずっと旅してきたけど…情けない事に
この歳になっていまだにやりたい事ってのが見つからない。
ただ…不思議と後悔はしていない。
つらい事なんて腐る程あったけどそれでも
自分で決めた結果なら納得出来るんだ。
人の人生なんてそれぞれだ。
夢に向かって頑張るヤツもいれば
現実的に無難な生き方をするヤツもいる。
そのどっちを選んでもいい。
大事なのは自分の意思だと、
あの村でそれを改めて感じたよ」
「…そうですか」
アインはそうつぶやいて、岩の上から降り立った。
「私はもう村に戻ります。いつかあなたが本当の自分の生きる道を
見つけられる事を祈ってますよ。ナラク君、道中気をつけてな」
「あぁ。ありがとう…先生も達者でな」

そうして、再びナラクは自分の意思で歩き出した。
いつか本当に、自分の道を決めるために。


おしまい。




後書き
今回のテーマはずばり、「夢」。
こんな真面目なテーマ性を含んだ作品は
私も初めてでございます。
「どうしたよしむら、熱でもあんのか!?」
とか思った奴、豆腐の角で頭ぶつけて死んでください(爆)
それはともかく、今回の作品は私なりの人生観を語る内容にもなりました。
実を言うとカイのモデルは何を隠そう私です。といってもほんの一部ですが。
昔私が長編連載した時の経験がこの話のきっかけとなりました。
おかげでその辺の語りはわりとすんなり書けましたね。
大変だけど頑張って書きました。
たまにはこんな真面目な作品書くのもいいものですね。

ちなみにこの作品、思いつきで某作品と同じ世界にしました(笑)。
ほら、あの二人の名前が出てるでしょ?
188 Reply 空理空論 MAIL 2002/09/28 12:56
003300
漫才、二人、という文を読んですぐさまチャップ&リンが浮かんできて、
続きを読んだら即その名前が記されてて、という事が今回のあたりでした(謎賞)

夢ってのはかなえるのはやっぱり難しいと思いまして、
特に他との接触を要するものである限りは、
それ相応の“評価”というものが存在することを認識しなければなりませんね。
特に小説家というのならば、他人に評価を求めるものでもありますし…。
大変でしょうけど、頑張れることが一番です。ふぁいとっ。
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