17 Reply 空気と星(冒頭) ユウ 2001/09/25 00:29
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秋。年度毎に来る台風も過ぎて、そろそろ肌寒くなった頃だった。
つい2.3日前までランニングや半ズボンさえ着ていたと言うのに、
俺達の通う鶴が丘中学でも衣替えを待たずにブレザーを着込む生徒が大半で、すっかり秋の風情となっていた。
俺も今日はタンスの奥から引っぱり出した薄茶のボタンダウンシャツにブレザー、
その上から濃いめのジャケットと、…「若年寄り」なんて呼ぶやつもいたが…ほっといてくれ。
まぁ、中にはお馴染みの熱い奴が「俺の根性はこんっくらいの風に負けないんだぜぇ!!」とかいって
半そでを着、その後盛大なくしゃみをしていたのもお約束で。
とりあえず、ああまたこの季節になったんだなーなんて柄にも無く風に吹かれてみたりするわけだ。
・・・・でも。
「太助様ぁ!すごいですねぇ、昨日まであんなにあったかかったのに」
「ああ、台風一過で雨も続いたしな。」
今年は、いつもとは違うことも沢山ある。
「寒く無い?シャオ」
「いえ。翔子さんから秋のお洋服の絵ま…えっと、カタログ!みせて頂きましたから」
?えま……?あ、絵巻……って言おうとしたのかな、もしかして。
おお、なんか久しぶりに聞いたぞこーういーの(笑)
どうも時々カタカナにしどろもどろになるのか、一生懸命に言い直すシャオに
俺は聞き流す振りをして続けた。こんなところもなんか可愛いな、なんて思ったりして。
「そっか。山野辺にはなんかいつも助けられてんなー。それ選んだのもアイツ?」
「はい!きっと似合うって言って下さったんですけど…」
シンプルだが感じの良いカーディガン。
指定の上着は今日は着ていなかったようだ。
「うん。俺は好きだよ」
「! よかったぁ、ありがとうございます。あとで翔子さんにお礼言わなくちゃ」
「そーだな」
窓からふいと風が吹き込んだ。
シャオの色のうすい、光を浴びると時折銀のようにも見える長い髪が、音も無くそれに従う。
頬にかかる幾つかを、無造作に後ろへ流す動作にどきりとした。
・・・いつからか。
そうしたシャオの動作にどぎまぎする自分がいるのは確かではあったのだが。
それはとても幸福で幸福で、そして一陣の焦りみたいなものまでもたらしていたのもまた事実。
・・・・って、俺ちょっとナイーブすぎだっつの。
うー、秋になったからってさー、ははははは…イカン、これじゃキリュウの試練に負けそうだ…
パァンッと自分の頬を叩いて気合いを入れる。
隣でシャオがビックリしていたがまぁ、この際それは見なかった振り。
ぃよっし。

「よっしゃ!今日は晩御飯作り、俺も手伝う!」
「ええ?!た、太助様?」
実は何も考えない内に出た言葉だったが、言った後でなんか良い案だった気がしてそのまま続けた。
晩飯作り。
そーいや一人暮らしの頃はこれでもごくたまーーーーーーに自炊とかしてた身だし。
うん。七梨家オリジナル料理とかならなんぼかマシになるだろうし。
っていうか腹減ったな…。ああ、こういう時はアレとかアレとか食べたくなるんだよ!
そうしたらごく自然にシャオはもちろん、ルーアンとかキリュウとかみんなに食べてもらいたくなったんだ。
「シャオ、今日は一緒に買い物行かないか?俺、ちょっととっときのがあるんだけど」
「とっとき…?」
「そう、とっとき」
ふっふっふ。
なんかすごく楽しくなって来た。
「秋、だからですか?」
「そうそう。旬って奴だな。かーさんとか親父に教えてもらったんだけど。
その…シャオの作るメシにはかなわないんだけどさ、良かったら皆で食わない?」
「皆って」
「いつものやつら誘って、どう?」
「はいっっ!!!私、一生懸命お料理しますねっ」
凄く、嬉しそうな笑顔で返された。
いつもはなんかみんなで騒いでて2人きりってことがないって思う事があるけど
(…っつーかいつもか?)
たまには俺から誘ってみても良いかななんてね。
シャオが嬉しそうだから、
いいと思うんだ。

・・・・かく言う俺もかなり楽しみ、かな。やっぱり。

「たすけーーー!!!!シャオちゃぁぁーーーんnッ!!」
「七梨せ〜っんぱ〜〜いッv」
「シャオちゃん、太助くーん」
「アンタ達じゃまよっっ、ああん、た〜様〜〜〜♪♪」

ドドドドドドドーーーッッッッ

・・・そら来た。
煙りを巻き上げて接近して来るいつもの集団に、俺はちょっとばかりの苦笑と、
シャオはもうウキウキした特上の笑顔で、

「今日家で夕食食うやつーー!」
「是非いらして下さいねッ」
「もちろん、材料持ちでな。」

さて、どうなることやら。



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初めての投稿ですね。宜しくお願いします。(ぺこり)
実はこういった小説を書くのも初めてでして、
(しかも突発)不安な要素アリアリなんですが…(^^;)
うーん、ちょっと異色かな。ややシリアスssの予定であります。
シャオちゃんと太助君メイン。起承転結のあまりない、なんてことは無いお話です。
よていはみてい〜〜〜(汗)


18 Reply ほのぼのぼの 空理空論 MAIL URL 2001/09/26 11:39
cc6600
初めましてっ、投稿どうもです。
季節感たっぷりのほんわかしたお話ですね。
なんつうか、そこはかとなくというか、なんとなくというか、
直接じゃなく自然と漂ってくる雰囲気が見事です。
太助君の喋りっぷりが見事。実にテンポよくって、見入っちゃいました。
秋・・・食欲の秋・・・お料理・・・
はてさて、どんなものができるのやら?楽しみにしております。
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