212 Reply こいのはなし よしむら MAIL 2002/11/12 08:20
003300
「ふぅ、ご馳走さん」
「太助様、お茶をどうぞ」
「サンキュ、シャオ」
昼飯を食べて満腹になった俺は
シャオの入れてくれた茶を飲みながら今日どうするかを考えていた。
特に今日は何も予定がない。
キリュウも出掛けてていないし。
まぁ、要するに暇なのだ。
「たー様ぁん、今日はルーアンと一緒に遊びましょお♪」
これは論外として。
さぁ、どうしよっかなぁ。

ピンポーン

と、そこで玄関のチャイムが鳴った。
誰だ?休日にわざわざウチを訪ねてくるようなヤツは?

…心当たりがありすぎるな。

あぁ今日も平穏には過ごせないのかと半ば諦めながら俺は玄関に出向いた。
「はいはい今開けるって」
ぼやきながらドアを開ける。

「はぁい、太助君♪」



………誰?



俺の予想した人物の誰でもない、全く知らない女の人だ。
しかもけっこう美人…いやいや、そうじゃないだろ俺。
「ひさしぶりねぇ、会いたかったわよっ」
女の人は俺に駆け寄るとぎゅっと抱きついてきた。
って、おい!
いきなりそんな嬉しい事を!いや違う!
こんな所誰かに見られたら!
「あぁーーーーーーーーっ!!あんたたー様に何してんのよっ!!」
言ってるそばから見つかった!
しかもかなり危険度高いヤツに!
「あんた誰?邪魔しないでくれる?」
女の人はいきなり出てきたルーアンにきつい一言を浴びせた。
いや、早く離してほしいんですけど。
「むぅー…許さないわよっ、陽天心召来っ!」
こらーっ!
一般人の前で能力を使うなぁーっ!
「行けーっ!」
陽天心化した靴が大量に襲いかかってきた。
ていうか俺まで巻き添えくらってるぞ!
痛い痛い!
「一体どうしたんで…きゃあっ太助様っ!」
騒ぎに気付いてやって来たシャオがこの状況を見て驚いていた。
「太助様が危ない!ここは…来々車騎!」
待て!
いきなりそんな攻撃力の高い星神を出すなっ!

ドカンッ!!

「ぎゃーーーーーっ!!」



あちこちボロボロになりながらやっと落ち着いた所で俺達はリビングに集まっていた。
「…で、誰ですか?」
一番の疑問を俺は女の人に尋ねた。
「えー、私の事忘れちゃったの?お姉さんさみしーぞー」
俺に親しげに話しかけてくる様子にルーアンは表情を険しくする。
うぅ、怖い。
「いや、マジでさっぱり身に覚えがないんですが」
「しょーがないなぁー。私は魚里恋、よろしくね太助君♪」
「うおさとれん…」
名前を聞いてもやっぱり知らない名前だった。
「で、恋さん…でしたっけ。何か用ですか?」
「ん、ひさしぶりに太助君の顔見たくなって♪」
その言葉にさらに表情を険しくするルーアン。
今のルーアンを例えて言うなら……般若?
「懐かしいなぁ、この家に来るのも凄くひさしぶりだわ」
はて…こんな人がウチに来た記憶はないんだが…
「そういえばさ、太郎助さんどうしたの?今でも旅してるの?」
親父の事も知っている?
ますます何者だこの人。
「あぁ…親父は相変わらずあちこち飛び回ってる。ここ数年は帰ってきてない」
「そっかぁ…てことは太助君今までずっと一人だったんだ…」
「いや、最近はその…一人じゃなくなったというか…」
俺はちらりとシャオの方を見る。
シャオは至ってマイペースに話を聞いていた。
「そういえばこの子達誰なの?」
恋さんの質問を受けてシャオが自己紹介を始めた。
「初めまして、守護月天シャオリンと言います。もう一人は慶幸日天ルーアンさんです。
あと今日は出掛けてますが万難地天キリュウさんもいます」
それを聞いた恋さんは興味深そうにシャオとルーアンの二人を見つめていた。
「ふぅん…さっき一人じゃなくなったって…もしかして太助君、この子達と一緒に住んでるの?」
「え…えぇ…まぁ…」
「…驚いたわ。まさか太助君がこんな女たらしになっていたとは」
「なんでそうなるーーーーーっ!!?」
「そうとしか考えられないわ。太助君たらこの若さですでにプレイボーイの素質を…」
「誰がプレイボーイだぁーっ!」
「太助様、プリンボールってなんですか?」
「俺に聞くな!あと間違いすぎだ!」
「たー様、あたしとシャオリンとキリュウで…3股をかけてたの?」
「違うわぁっ!お前も暴走するなぁっ!」
ああもう、連続でボケられるとつっこむ方も大変なんだぞ!
「いいのよ、気にしなくて。要するに太助君は寂しかったのよね?」
「は?」
何言い出すかな恋さん。
「3人もの女の子を連れ込んでの欲望にまみれた生活…
でも太助君を責める事は出来ないわ。
全ては寂しさを紛らわしたいという気持ちの反動が太助君をこんなプレイボーイにしたのね」
なんだ欲望にまみれた生活って。
あといい加減プレイボーイはやめろ。
「違う、違うんだ。別にナンパとかして無理矢理連れ込んだわけじゃないんだ」
「じゃあ何?」
「…まぁその…全ての原因は親父にあったりするんだが…
でももうそんなことはいいんだ。
確かに一人でここに暮らしていて寂しかったよ。
けど今はシャオがいる。
ルーアンやキリュウもいる。
みんなが来てから俺の生活は変わったんだ。
俺にとっては家族も同然なんだよ。
だから…今はもう大丈夫なんだよ。
少なくとも恋さんが考えてるような不健全な生活はしてないから」
よし、なんとか言い切ったぞ。
「太助様…」
「たー様…」
シャオとルーアンが笑顔でこっち見てる。
…もしかして、俺二人がいる前でめっちゃ恥ずかしい事言った?
「…そっか、そうなんだ…」
一方の恋さんはちょっと寂しそうだ。
「どうやら心配無用だったみたいね」
「はい?」
「実はね、私このままこの家に住み着くつもりで来たんだわ。
寂しい生活をしてるであろう太助君のためにね。
でも私の出る幕はないみたい。
こんな可愛い家族が3人もいるんならね」
「恋さん…」
「太助君、この子達を大切にしなきゃ駄目よ。
あなた達二人も太助君をよろしくね♪」
「はいっ」
「当然よ」
素直に返事をする二人。
どうやら丸く収まったのかな?
「それじゃ私はもう帰ろうかな」
そう言って恋さんは立ち上がった。
「えっ、そんな。もう帰られるんですか?
まだキリュウさんにも会ってないのに…」
「太助君が信用してるなら大丈夫でしょ。
キリュウって子にはあなた達から伝えといて♪」
呼び止めようとしたシャオに恋さんはそう答えリビングを出た。
そうして玄関に降りた時、不意に恋さんが小さくつぶやいた。
「この水槽…まだ置いてあったんだ」
玄関横に置いてある水槽の事だ。
「あぁ、今は金魚飼ってるんだ。
前に飼ってた鯉が死んでからほったらかしだったけどシャオがお祭りで金魚取ってきて」
「……へぇ、前は鯉を」
「うん。元々親父が飼ってたんだけど、親父が出てってからすぐ死んじゃった。
…あの時は長いこと泣いたなぁ俺」
「そう…それじゃ私はこの辺で…」
そう言って恋さんはドアを開け、
「あ、最後に太助君」
「何ですか?」
「覚えててくれたんだ。ありがと♪じゃね」
「え?」
それだけ言い残して恋さんはドアを閉めた。
「覚えてたって…?それに鯉…?」
意味がわからず一瞬立ちつくす俺。
「…恋さん!?」
そしてはっと気付いた俺は慌ててドアを開けて外に出たがもう恋さんの影も形も見えなかった。
「恋さん帰るの早いですね」
いや、そうじゃないぞシャオ。
もしかして恋さんは…いやまさかそんな。
でも精霊がいたんだし、そういう可能性も…
「まぁ帰ってくれてよかったわ。これ以上ライバル増えたらたまんないもんね」
この期に及んでルーアンはいつも通りだ。
でも…それでいいか。
これが今の俺の日常だ。
この日常を…みんなと一緒に大切に過ごしてしていかなくちゃな。
そうだろ?恋さん。
「よし、3人でどこか遊びに行くか」




後書き
このネタを考えたのは2年以上前。
私の作風がまだ初期だった頃の物です。
そのため初期の雰囲気があちこち残ってるのではないかと。
あぁ、オリキャラ出したのひさしぶりだよホントに。
恋さんの正体は想像通りです。
詳しい事は1巻参照。
名字の魚里は見たまんま。
名前は「鯉→こい→恋」ぐわ、安直。
217 Reply こいさん… グE MAIL 2002/11/13 20:45
cc9999
こいさんがもしシャオたちがいないときに来ていたら
それこそ欲望にまみれた生活を・・・。(<コラ)
しかしずいぶんぶっ飛んだ性格でしたね。
ひょっとして太郎助とさゆりさんの生活を見てああなったのでしょうか(爆)
227 Reply 久々にこういうキャラみたかも 空理空論 MAIL URL 2002/11/25 00:08
ff6666
キャラってのはオリキャラ(この話の場合は違うけど)のことですね。

冒頭とか、TVアニメ調?なんて感じでしょうか。
(とりあえず陽天心と星神と、ってな辺りが)

恋さんの正体に関して、なるほど…と納得しました。
っていうか、2年以上前ということは、
あの頃の月天二次創作達を色々と思い出しますね…
なんて感慨にひたってみたり。

それにしても、途中がなんかぎすぎす(別の意味で)してるのは…
でもまあ、そういう名前なんだし(?)
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