スレッド No.167


[167] 虎賁の大(?)冒険
投稿者名: 龍瞳映幻
投稿日時: 2001年6月26日 18時44分
虎賁の大(?)冒険
 
作:言霊乱舞&地滅天創 
 
それはひとつ(?)の地震から始まった。
ここは七梨家。いつものようにシャオがキッチンで夕食を作ってる最中だ。
その時!!
グラグラグラ・・・・・・
かなり大きな地震が七梨家を襲った。
その瞬間シャオは反射的に、ソファーに座って食事を待っている太助のもとへ駆け寄った。
「太助様!ご無事ですか。」
「だ、だ、大丈夫だから早く離れてくれ。」
いつものようにシャオの誤解で抱きしめられる・・・もとい、
守られている(?)太助。
ここまではたしかにいつもどうりなのだが・・・。
「シャオ、今のはただの地震だって。
 心配しなくても俺は命を狙われたりなんてしないからさ」
「そ、そうでしたね。すみません・・・・あ、お料理が・・・」
どうやらシャオは夕食の支度を投げ出してきたようだ。
ちなみに今日は麻婆豆腐、青椒牛肉糸、栗米湯、鍋貼餃子というメニューである。
実に食べごたえがありそうだ。
それはともかくキッチンに戻っていったシャオ。
その時・・・!
「きゃあーーーーーーーーー!!」
「どうしたんだシャオ!」
驚いて太助もキッチンに駆け込んだ。
「お豆腐がグチャグチャになっていますぅ〜。」
「さっきの地震で落ちたのか。こんなにグチャグチャじゃあ食えないよな。
 仕方ないから新しいの買ってくるか。」
「すみません。あっ、じゃあ星神に頼みます。地震の後片付けもありますし、
 こういう時こそ危険ですから。」
「いや、その、買い物ぐらい俺が行ってくるよ。」
「そうですか。でもせめてこの子達だけでもお願いします。
 天明らかにして星来れ、来々、八穀、璃珠。」
シャオは良い豆腐を選ぶために八穀を、連絡がとれるように璃珠を出した。
「分かった。じゃあ行ってくるよ。八穀、よろしくな。」
八穀はコクリと頷いた。
{璃珠もいるでし〜。}
璃珠も言ってはみたものの(言うというより念じる?)、
やはりというか当然というか、太助には届かなかった。しかし・・・、
「あのさシャオ、前から思ってたんだけど、
 璃珠の言ってることは俺には分からないのかな。」
「はい、この子は伝心の能力を持っていますから、伝えることを他人に
 知られないように喋れないようになっているんです・・・。あっ!」
シャオはなにかを思い付いたようだ。
「来々、虎賁。この子が璃珠の言いたいことを教えてくれますわ。」
「月天様、またおいら璃珠の保護者ですか。」
なにやら虎賁は不満があるようだ。
だが、やはりシャオには逆らわなかった。
「璃珠、ぼうずになにか言いたいことがあるときはおいらに教えるんだぞ。」
{はいでし。}
「財布も持ったし、よしっ、行くか!」
「いってらしゃいませ。気をつけて下さいね。」
 

 
少々いざこざがあったが、太助達は『スーパームサシ』に着いた。
「豆腐、豆腐、豆腐、あった。八穀頼むぞ。」
太助は八穀を手に乗せたまま、豆腐の前で立ち止まった。
その時!
「キラーン!!」
八穀の目が光った。その視線の先にあるものは・・・・、
「今日は湯豆腐にするか、それとも冷や奴にするか、ブツブツ」
他人の袋の中に入っている豆腐だった。
「いや、あれはやばいだろう。ほかにないのか?」
八穀は食材を盗んで来たこともあるほどなので、一応太助は注意した。
{太助しゃまはどうしてあれをとらないでしか?}
璃珠が虎賁に絵で伝えた。そして虎賁はそれを太助に伝えた。
「なぁぼうず、なんで一番いいのをとらないんだ?」
ピクッ。その言葉に太助は顔をひきつらせた。
この時代のことはシャオが全て教えたとばかり思っていたのだ。(八穀を除く。)
「あ、あはははは・・・・、まあ家に帰ってから教えてやるよ。」
璃珠達は少し不満そうだったが、長くなりそうだったのでひとまず太助は
その話題から逃げることにした。
太助は知らないが連れてきた星神達は皆、盗み(強盗?)をしたことがあるので、
盗む危険性も十分にあった。
なにはともあれ豆腐を選びレジに向かった。
「75円になります。」
太助はお金を渡した。
離珠がそれを物珍しそうに見ていたので、太助は少しだけ説明した。
「ここの物を持っていくにはこれと交換しないといけないんだよ。」
{そうなんでしか。難しいでしね。}
離珠はよく理解できなかったようだがそのまま店を出た。
そのころレジにいた店員は必死に笑いを堪えていた。
太助は気づかなかったようだが、離珠に説明している時の太助は
『人形に話しかける妙な少年』にしかみえなかったのだ。
 

 
“ぐ〜〜”
帰宅路で太助のお腹が鳴った。
「あははは、ちょっと急ごうかな。お腹空いちゃって・・・。」
‘シャオの作った麻婆豆腐たのしみだな’などと思いながら太助は走り出した。
{太助しゃま〜!落ちしょうでし〜!}
「うお〜っとっとっと。」
太助の走る勢いで落ちそうになる離珠と虎賁。
ちなみに八穀はというと、なんとお箸でバランスをとりながら平気な顔をしていた。(笑)
離珠は太助に止まるように言うため、虎賁を突っついた。
{虎賁しゃん、虎賁しゃん。}
「おっ、おう。まかしとけ。」
虎賁は思いっきり息を吸い込んだ。
「ぼうず!!このままじゃ落ちる、止まれー!!」
太助は虎賁の声に気づき、ピタリと止まった。
「ごめんごめん、気をつけなきゃな。」
そういって今度は歩き出した。
太助が全力疾走したおかげで、もう七梨家の見える所まで来ていた。
{ふう、危なかったでし。}
離珠は一安心した。しかし、太助が止まった瞬間に起こったある出来事に、
気付く者は一人もいなかった。
 

 
「ただいま〜。」
「おかえりなさいませ太助様。みんなもごくろうさま。」
そう言ってシャオは豆腐を受け取った。
「お腹ペコペコだよ、シャオ。」
「まあ、いそいで作りますね。」
シャオは急ぎ足でキッチンに入っていった。
太助はと言うとテーブルの椅子に座ってシャオを眺めていた。
たとえ疲れて腹がへっていてもシャオから目を離さないのは、
さすがと言うかなんというか・・・。
{太助しゃま、お店のこと教えてくだしゃいでし〜。}
なにはともあれ太助は星神たちとの約束をさっぱり忘れていた。
離珠が太助の足元で跳ねているのは、
さっき聞きそびれたことを聞くためである。
しかしすでに椅子に座って足元など見ようともしない太助に合図を送るのは、
喋れない離珠にとっては至難の業だった。
{そうでし!こんな時こしょ、虎賁しゃ・・・?}
離珠は虎賁に再び助けを求めようとしたのだが、肝心の虎賁が見つからない。
{虎賁しゃん、虎賁しゃん、何処にいるでしか〜。}
離珠がどんなに捜しても虎賁は見つからなかった。
「太助様、できましたよ。」
シャオが出来上がった料理を持ってきた。
「おいしそうだなぁ、いただきま〜す。」
慌てふためいている離珠にはまったく気付かず、
二人はテーブルに並べられた料理をおいしそうに食べ始めた。
{シャオしゃま〜〜大変でし〜〜、虎賁しゃんがいないでし!}
「えっ?」
離珠から送られてきたテレパシーを受け取るなりシャオは箸を止めた。
「ん?シャオ、どうかしたのか?」
突然動きが止まってしまったシャオを不思議に思って、
太助は食べるのをやめて聞いてみた。
「虎賁がいなくなってしまったそうなんです。」
「いなくなった?」
シャオはこくんとうなずいた。
「何処を捜してもいなかったと離珠が言っています。」
「離珠が捜しただけか。じゃあ俺達も探してみよう。
 離珠が捜したって言ってもこの部屋だけだろ。」
「そうですね。私は一階をさがしますので、太助様は二階をお願いします。」
太助とシャオは一階と二階に分かれて虎賁を探すことにした。
「それじゃあまずは・・・っと、その前にシャオ、
 八穀と離珠は支天輪に戻しておいたほうがいいんじゃないか?
 虎賁みたいにいなくなったら大変だからな。」
「分かりました。」
シャオはまず八穀を支天輪に戻した。次に離珠を戻そうとしたが離珠は嫌がった。
{離珠も虎賁しゃんを捜すでし。}
「でも・・・、それじゃあ小さな隙間とかは離珠に任せるわ。」
「えっ、シャオ・・・・。」
大丈夫かな?というような顔で太助はシャオを見た。
そんな太助の心配を察してシャオが言った。
「大丈夫です。離珠なら伝心で場所が分かります。」
「そっか。じゃあ離珠もがんばろうな。」
{はいでし!}
 

 
その頃虎賁はと言うと・・・水の中を必死に泳いでいた!?
時をさかのぼること数十分前、
「ぼうず!!このままじゃ落ちる、止まれー!!」
「ごめんごめん、気をつけなきゃな。」
{ふう、危なかったでし。}
「うわ〜〜〜〜〜〜!?」
”ボトッ”
この時じつは虎賁だけドブの中に落ちてしまったのである。
(もちろん太助達は気付かなかった。)
その時はまだ水がなく、ドブの底にたまった土がクッションになって助かったのだが、
その衝撃で気絶していたのだ。
そして、さっき水が流れてきたことによって意識を取り戻したのだった。
「うわ〜〜〜〜!おいらは球技専門なんだ〜!水泳は専門分野外なんだから、
 ちょっとは手加減しろよな作者!」
<この作品の作者は今後の展開の都合により、手段を選ばないことにしたのです。>
「おい、なんだよそれ!うわ〜〜〜〜〜!」
ついに虎賁は力尽きて流されてしまった。
 

 
「虎賁、虎賁。出てきなさい。」
「お〜い虎賁。出てこいよ〜。」
{虎賁しゃ〜ん、何処にいるでしか〜。}
「まったく虎賁は何処にいるんだ?」
どうやら太助達は虎賁を見つけられなかったようだ。
当然虎賁はまだ外にいる。
そのことにいち早く気付いたのは太助だった。
「もしかして豆腐を買って帰る時どこかで落ちたのかな?」
「えっ!?」
シャオは落ち着かない様子で太助を見た。
{しょう言えば帰り着いてしゅぐに捜したのにいなかったでし。}
「そんな・・・。」
「とにかく今度は外を探そう。『スーパームサシ』までの道を捜せば見つかるはずだ。」
そう言って太助達は外を探し始めた。
実に素早い対応だ。日本の警察に爪の垢を煎じて飲ましてやりたいくらいに。
 

 
現在虎賁のいる場所、それは・・・川!
ドブで水に流され、ついに川まで来てしまったのだ。
だが不幸中の幸い、なんとか岩(虎賁にとっては岩だが、実はこぶし程度の石ころ)
にしがみつき川の真ん中あたりで止まっていた。
海まで流れていたらどうなっていたことやら。
<しかし、作者としてはここで助かってもらう訳にはいきません。>
「ん?今なんか声が聞こえたような・・・。」
そんなことを思いつつ虎賁は周りを見まわした。
すると、突然黒い物体が虎賁に向かって大量に押し寄せてきた。
「な、な、な、なんだ〜〜!?」
その黒い物体とは・・・魚だった。
無論、鰯程度のものだが虎賁にとっては鮫同然だ。
「うわ〜〜!食われる〜〜!」
魚の群は虎賁を餌と認識し、向かってきたのだ。
虎賁もにそれが分かったらしく、岩の上に登って窮地を脱した。
だが、魚の群れは諦めることなく虎賁の周りに集まってきた。
虎賁大ピンチ!!
「ちくしょうー!なんでおいらがこんなめに遭わなきゃなんねーんだよー。
 月天様〜、おいらこのまま食われちまうのかなぁ。」
だが、虎賁が弱音をはいたその時、奇跡は起こった!!
魚たちが一斉に虎賁から離れていったのだ。
「ど、どうなってるんだ?」
虎賁は周りを見回して不思議に思った。
しかし、その謎はすぐに解けた。
「いや〜、大漁大漁!今日は絶好調だな!」
なんとこんな時間に川釣りをしている人がいた。
その餌に寄っていったと言う訳だ。
都合が良すぎる様な気もするが・・・。
「と、とにかく助かった。今のうちに逃げよう。」
虎賁は急いで岸まで泳いでいき、それから走って道路までたどり着いた。
その数秒後、虎賁は道路から瞬時に姿を消した。
まさかいつの間にか虎賁は、瞬間移動を覚えていた?・・・・、なんて事はあるはずがない。
いったい虎賁はどこに・・・。
「なんでだよ〜〜〜!?なんでこんな穴が・・・!?」
そう、今度はマンホールのふたの隙間に落下したのだった。
そしてその時、虎賁の後ろでなにかが鳴いた。
「チュー、チュー、チュー。」
虎賁は恐る恐る後ろを向いた。
「・・・・・・・・・・!?」
虎賁は叫ぼうとしたが言葉にならなかった。
もちろんハムスターやピカ○ュウなどがいた訳ではない。
虎賁の後ろにいたのは、お腹を空かせたドブネズミの大群だった。
そして次の瞬間、七梨家を中心とした『町内一周マンホール杯虎賁争奪戦』が幕を上げた。
「ぎゃ〜〜!もういやだ〜〜!!」
 

 
「ちくしょう。虎賁はいったい何処に行ったんだ。」
太助達はいまだに虎賁を捜していた。
「太助様、もう諦めて帰りましょう。太助様がこんなにボロボロになってしまって・・・。」
シャオの言う通り太助はもうボロボロだった。
太助は虎賁を捜すためにドブに入り、池に入り、林に入り、まさに『たとえ火の中水の中』
という状態だったのだ。
このままでは太助が倒れてしまうと思い、そう言いだしたのだ。
「分かった。今日はもう帰ろう。でも、俺は明日も捜す。
 シャオの、そして俺の・・・大切な家族なんだから。」
「太助様・・・。」
結局今日は帰ることになった。
「離珠、もう戻って。」
{・・・はいでし。}
 

 
太助達は家についた。しかし・・・、
「・・・・・・・・・・・・・・。」
太助もシャオも30分ほど言葉を発していない。
そしてその沈黙を破ったのは、意外にもシャオだった。
「太助様、お茶入れましょうか?」
「えっ、あ、うん。」
なんとも曖昧な返事をする太助。
だがシャオは、気にすることなくキッチンに入っていった。
『気にしなかった』と言うより、気にする余裕すら無かったようだ。
「虎賁・・・。いったい何処に行ってしまったの?」
そう呟きながらシャオは急須にお茶の葉を・・・、
と思ったらなぜかその隣にあった小麦粉を・・・、
“ドボッ”
・・・シャオは自分の過ちに気付いていないようだ。
そのままお湯を注ぎ、太助のもとにそれを持っていってしまった。
「ブフーーー!?」
「キャーーー!太助様、どうなさったんですか?」
案の定お約束の場面に突入してしまった。
飲む前にお茶にとろみ(?)があることに気が付かなかった所を見ると、
太助もかなり精神的ダメージを受けているようだ。
「すみません。急いで作り直してきますね。」
そういってまたキッチンに入っていった。
今度はどんな飲み物を作ってくるのか、少し楽しみな気もするが・・・。
シャオはお茶(小麦粉湯?)をすべてこぼした後、お茶の葉を取る・・・のではなく、
今度はサラダ油取り出した。これはかなりきついぞ。
(いや、けっして『作者の一人がマラソンの後のどが渇いて、
 間違って飲んでしまったので経験済み』などと言うことはありません。)
シャオがサラダ油を急須に入れようとしたその瞬間(とき)、
「あち〜〜〜〜!!熱い熱い熱い熱い熱いあつ〜〜〜い!!」
「まあ、虎賁の声が聞こえる気がしますわ。
 こんなにはっきり聞こえる耳鳴りなんてはじめてですぅ〜。」
もちろんこれはシャオの耳鳴りなんかではない。
虎賁は本当にすぐ近くにいた。
そしてシャオもすぐにそのことに気付くことになる。
“ピョコン”
虎賁は流し台から姿を現した。
そう、虎賁は下水管をつたって家に入ってきたのだ。
「月天様!」
「虎賁!」
そして、二人(?)は泣きながら再会を喜んだ。
 

 
「あっ、太助様にも知らせなきゃ。」
シャオは虎賁を肩にのせたまま、太助のもとに走っていった。
「おいらはぼうずに振り落とされたんだけどな。」
虎賁は少々愚痴っていたが顔は笑っていた。
「あら、太助様ったら・・・、もう眠かったんですね。」
そう言ったシャオの前には、ソファーで眠っている太助の姿があった。
「なんでい、せっかくおいらの冒険談を聞かせてやろうと思ったのによう。」
「しかたないわよ。太助様、さっきまで必死に虎賁のことを捜してたから疲れてたのよ。
 それにもうこんな時間だから・・・。」
そう言ってシャオは時計を見た。すでに時計は11:30を指していた。
「私たちもそろそろ寝ましょう。」
そう言ってシャオは自分の部屋に戻っていった。
去り際に太助に毛布を掛けて・・・。
そして、シャオ達が部屋に戻った後、太助は寝言でこう呟いた。
「虎賁・・・。」
 

 
次の日、太助は二度寝を試みた。
というのも、太助を起こしたのが虎賁だったからである。
「ふっ、虎賁が夢にまで出てくるなんて。」
つまり現実逃避である。
「おいおい。」
こんな調子で七梨家の朝は始まった。
もちろん虎賁はすぐに太助をたたき起こしてこれまでのことを説明した。
「朝ご飯ができましたよー。」
ついでにシャオの一声で太助は完全に目が覚めた。
これで事件は全て解決したかに見えたのだが・・・、
“トゥルルルルル、トゥルルルルル”
「はい。あっ、翔子さん。」
「シャオ、そっちは大丈夫か?」
「えっ?」
「洪水のことだよ!こ・う・ず・い!」
「あの〜、どこが洪水になって・・・!?」
シャオは外を見て唖然となった。
そして硬直したまま受話器を落としてしまった。
町じゅうが洪水で大パニックになっていることにシャオは今まで気付いていなかったのだ。
「た、太助様、大変です!家の周りが海になっていますぅ〜!」
「どうしたんだシャオ、朝早くからそんなにあわてて。」
そう言う太助も虎賁が帰ってきたと知ったとき、大声を上げていたという。
それはさておき、太助もシャオの後ろにある窓を見て驚いた。
「これはいったい・・・。昨日の雨、そんなに激しかったかな?」
「これはきっと水攻めです。早くここから逃げましょう。」
「それはないと思うけど・・・。」
太助がシャオを落ち着かせるためどういえばいいか考えていると、
虎賁がぽつりと爆弾発言をした。しかも原爆並の・・・。
「もしかしたらおいらのせいかも。」
「えっ!?」
シャオと太助は大きく見開いた目を虎賁に向けた。
「じつは・・・、」
虎賁はネズミに追いかけられている時のことを話した。
その話を掻い摘んではなすと、ネズミたちは意外に足が速かったので、
追いかけにくいように下水管の細くなっている部分をいろんなもので塞ぎながら逃げていた。
そして今、そのせいで町中のほとんどの下水管が詰まっている状態だと言う。
つまり虎賁の言う通り、この洪水は虎賁が引き起こしたものなのだ。
「お〜いシャオ、大丈夫か?」
七梨家には今、受話器から聞こえてくる翔子の声だけが響いていた。
というわけで、この虎賁の大冒険は七梨家にいる者だけの記憶に封印されたのだった。
 
-
 
 
エピロ〜グ兼あとがき(?)
 
洪水のあった日、二人の神様が地に降り立った。
一人はこの世界を、桜野みねねの作品をもとに作り上げた神「地滅天創{ちめつてんそう}」。
もう一人は、この世界を育てた神「言霊乱舞{ことだまらんぶ}」。
作者の二人に似ているのは気のせいだろう。
これはその二人の会話である。
地滅天創:「あ〜あ。ぐちゃぐちゃじゃねーか。」
言霊乱舞:「まったくですね。」
地滅天創:「お前の育て方が悪いからこんな馬鹿みたいな災害が起こるんじゃねーか?」
言霊乱舞:「なに言ってるんですか。あなたの作った世界だからこんなことになるんです。」
地滅天創:「なんだと〜。お前が『この土地は地震が少ないからこの時代で一つ大きなやつを』
      なんてことしたのが原因だろ!」
言霊乱舞:「それは当然のことです。だいたいこの前『川釣りをしよう』なんてこと言って
      あんな大きな魚を川に大量に放したのはだれですか?」
地滅天創:「ギクッ・・・いや、お前があんな町なかの下水道で実験用ラットなんか
      飼ってるのがいけないんだ」
言霊乱舞:「うっ・・・お言葉ですが私の実験用ラットがあんなに攻撃的になったのは、
      あなたが時々“猫を入れる”なんて悪戯をするからであって・・・」
災害の被害を減らすために来た神様がけんかを始めてしまいました。
こんな世界では、きっとこれからもこんな事件が繰り返されることでしょう。
「おい。」
えっ、ああ、太助君ですか。ごくろうさまです。
「私たちはこれからどうなるんですか?」
あっ、シャオリンさん。そういえばこの後のこと考えてなかったな。
「まさかこのまま終わるつもりかよ。ちゃんと解決していけよ。」
うわっ、翔子さんまで!
「ちゃんと解決してくれるんだよな?あたしを怒らせると地獄を見ることになるよ。」
あ、あはははははは・・・。では、ごきげんよう。
「こら、まて〜!!」

[173] とても面白かった♪
投稿者名: 空理空論 (ホームページ)
投稿日時: 2001年6月28日 08時49分
大変そうだけどなんかほのぼの。
みゅう、久々にそんな作品を見た気がするよ〜(嬉しい)
臨場感あふれる虎賁の冒険話読ませていただきました。
色々悲惨だったねえ、ほんと。ちっちゃいのはやはり辛い?
しかしながら、無事に一人で帰って来れたというのはさすが虎賁ってことでしょうか。
更には大洪水なんてものを引き起こして!(笑)
特殊工作員として大活躍できるんじゃなかろうか。

私的に、お買い物〜の場面が好きです。
八穀の目がキラーン!って・・・やっぱ人が既にもってるのはやばいってば(笑)
ここはかなりやられた気分でした。(くう、なんか悔しい)

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