[161] KINONの世界へようこそ(仮題)第二話
投稿者名: グE
投稿日時: 2001年6月15日 16時55分
作者注: この小説は悪戯をイズピーにしている状態の楊明が
     モデルになってますので性格が極悪化しています。
     (下手したらそれ以上…というかそれ以上にたちが悪いです)(爆)
     というか全体的に毒素をプラスしています。 (性格が悪くなっているということ)(核爆)
    
     キャラの呼び方はKanonを優先しています。
    (例えば名雪役の楊明は『楊明』ではなく『名雪』と表記してある)
    

     この二つを踏まえてお読みください。    
*****************
今までに判明しているキャスト
名雪………………楊明

*****************


        夢 


     夢をみている


   

   これは毎日見ている夢の一つだと


    俺は信じたかった…。


<一月七日>
バタンッ!
遠くから、勢いよくドアの閉まるような音が響く。
そのまま、あたりはまた静かになった。
「………」
まだまだ深い眠気に包まれながら、どこか夢の続きのようにぼんやりと布団にくるまる。
「……」
今日はまだ冬休みだから、もっと寝ていてもいいはずだ…。
無意識にそう結論を出して、その考えを早速実行する。
目を閉じて、このままもう一度眠りの中に…
バタン!
そう思ってると誰かが部屋に入ってきた。
誰だ…、こんな朝早くに?
「あらあらまだ寝ているんですか、おねぼうさんですねぇ…。
仕方ないですね。来たれ…」
その声で俺は跳ね起きた。
「なんだ起きちゃったんですか。」
残念そうに名雪(楊明)は言った。
「朝っぱらから雷浴びたらたまらないからな。」
俺は思いっきりいい笑顔でそう答える。
「安心してください、雷は浴びませんよ。
…なんたって、朝の目覚めには落石を呼ぶのが一番ですから。」
…俺はその言葉に冷や汗を書かずに入られなかった。
下手したら死ぬだろ、それって。
(雷を浴びても死にそうな気がするが)(作者談)
「安心してください。たとえ死んでも 私には万象蘇生がありますから」
にっこりと笑顔で名雪はいった。
その笑顔が俺には非常に怖く見えた。


「そろそろ朝御飯を作りますので早く着替えて降りてきてください。」
そういって名雪(楊明)はドアを閉め、下に下りていく。


寝ぼけているせいか頭が働かない。
ここは…、一体どこなんだ?
いつもの朝よりかなり寒いし、ここは見知らぬ部屋だ。
一体俺は…。
「…そうだ。」
俺はカーテンを開け放った。
カシャッ!
不意に、真っ白な光が網膜に飛び込んでくる。
穏やかな朝の日差しと、目を閉じても瞼を突き抜けてくる銀色の光。
「寒いわけだよな…」
思わずそんな言葉が口をついて出る。
四角い窓の外には、一面の雪景色が広がっていた。
庭木の上も、向かいの屋根もその向こうも、視界に飛び込んでくるもの全てが、白一色に覆われていた。
吐き出した言葉も白く染まって、もやのように視界を遮る。
住み慣れた街と両親、そして友人に別れを告げて、俺はひとりこの街にやってきた。
やってきたと言うよりは、帰ってきたと言った方が正解かもしれない。
7年前までは、俺は確かにこの白く染まった光景を見ていた。
雪。
そして、7年ぶりに再会した、従姉妹の少女。
………………のはずだが俺の思い出の中にある少女とは明らかに違う。
たしか、俺の従姉妹は紫色の髪の毛をしていて…。
眼鏡はかけてなくて…。
「早くこないと、雷ぶつけますよ〜。」
色々思いをめぐらせているうちに、
下から名雪の声が聞こえてきた。
俺は雷を浴びないよう、急いで着替えて下に向かった。


キッチンに入るといい匂いが漂ってきた。
ちょうど今、名雪が目玉焼きを作っていたところらしい。
名雪が目玉焼きを皿に移すなりこういった。
「運がよかったですねぇ、もう少し遅かったら
ほんとに雷ぶつけてましたよ?」
名雪の顔はマジだった。
もう少し遅かったら本当に雷をぶつけられてただろう。
「あしたもこんなに遅かったら雷ぶつけますから。
…と思いましたけど、明日からは学校ですね。留年したかったら
ゆっくり寝ててもいいですよ。」
にっこりした顔で楊明は行った。
…明日から早く起きた方がよさそうだ…。
俺はしみじみとそう思った。


「とりあえず、早く残りの朝御飯を作りましょう。」
一呼吸おいて名雪がそういった。
「ああ、わかった・・・ってちょっとまて。秋子さんはどうしたんだ?」
俺は聞いてみた。朝食は秋子さんが作ると思ったからだ。
「お母さんははめんどくさがりですから。」

…めんどくさがり?
あの秋子さんが?


ひょっとして、名雪だけでなく、
秋子さんも俺の思っている秋子さんと違うのか?

ガチャ


そんなことを考えていると、キッチンに誰かが入ってきた。
「お母さん、おはようございます。」
「ふぁーあ。おはよう。名雪」
俺の嫌な予感は見事に的中した。
キッチンに現れたのは俺の思い出の中にいる秋子さんでなく…。
「あら、おはよう、相沢君。」
ルーアンだった。
(まぁ言うまでもなくここでは秋子さんだが)

はぁ…、どうももう甘い期待をもっちゃいけないな。
これから出てくるキャストもすべて変わっているとみて間違いないだろう。
早めにこの作品の雰囲気に慣れといた方がよさそうだ…。

「名雪、今日の朝御飯は何?」
秋子さん(ルーアン)が名雪に聞く。
「今日は目玉焼きと野菜をトーストにはさんでみました。」
「結構おいしそうね。私は十個頂くわ。」
「はい、分かりました。じゃ、私はパンを焼きますから…、
相沢さんは足りない分の卵を焼いてください。因みに私は3個食べますから」
「はい…。」
俺はしぶしぶ返事をする。
テーブルの上を見ると
いま焼いてある卵が3個だから…
「あ、一つのパンにはさむ卵の個数は0.5個ですよ」
考えている最中に楊明が言った。
てことは…俺も3個食べるとして…。
5個俺が焼けばいいのか。
そんなことを考えながら俺はフライパンに油を引いた。
そういえば俺はここ数年フライパンを使った料理をしたことがないが
大丈夫か…?


十分後……


案の定、失敗した。
目の前にある卵はかなりぐちゃぐちゃになっている。
「何ですか?これは?」
冷ややかな視線で楊明が俺を見つめる。
「あゆさんに料理が下手だという資格がありませんよこれじゃぁ…。」
いや、クッキーを焼いたら碁石になるあゆほどはひどくないと…、
というかこの時点でなぜおまえがあゆを知っている?(←おまえもな)

……そういえば今日はあゆが登場するんだよな。
…このままいくとすると、あゆのキャストは誰になるんだろうな?
(早くもこの世界に慣れてくれる祐一君に感謝)(by作者)

「本来ならここで雷をぶつけてもいいんですが…、
お母さんは味さえよければ文句はないですし、
これはパンにはさむので形に問題はないでしょう。
だから今回は免除しておきます。」
とりあえず雷を浴びることはないようだ。
俺はとりあえずほっとする。


そんなこんなで朝食が終わる。
時計を見ると、もう十時を回っていた。
しかし…、眠い。
冬休み、ということで体がなれているからだ。
もう一眠りするかな…。


俺は部屋に戻り再び眠りにつく。
ぐ〜


「まだ寝ているんですかぁ?もうお昼終わってしまいましたよ。」
その声で俺は目を覚ました。
「あの、俺の分は…?」
「お母さんがぜんぶたべてしまいましたよ。
せっかくのおいしいトロとかうにとかいくらとか全部。」
はい…?
「昼食寿司だったのか?」
「ええそうですよ。それも特上寿司ですよ。」
なんてこった…。俺も食べたかった…。
「名雪、どうして起こしてくれなかったんだ?」
「すみませんねぇ。まさか寝ているとは思わなかったんですよ。」
楊明はそういっているが
妙にいい笑顔を浮かべてるような気がするのは
俺の気のせいだろうか?
ひょっとしてこいつは統天書で知ってたんじゃないのか?
ふと、そんなことが思い浮かぶ。
そう思いながら楊明の顔をみると…。
……楊明の顔がまだにやけていた。
どうやら間違いはないらしい。
はぁ……。こいつは…。
大体よく考えれば朝言っていたことを考えれば
こんな展開くらい予測できてたじゃないか。
もうちょっと注意すべきだった…。


…そういえば、とふと気になることがあった。
「秋子さんって、何の職業なんだ?」
「フリーターですよ。」
「じゃあなんで、そんなに豪華な昼食が食べられるんだ?
どこからそんな大金を引っ張ってこれるんだ?」
俺は当然の疑問を聞く。あの秋子さんならかなりすごい金額になったのではないだろうか?
「それはですね…。この統天書を使えばあっという間ですよ。」
名雪が笑顔でそう答える。
「あっという間?」
かなりいやな予感がしつつも俺は聞いてみた。
「まずですね、わたしじゃ年齢的に買えない
スピードくじをうっている宝くじ売り場に
お母さんといっしょに行って…。統天書であたりくじがどこにあるのか調べて…。」
「…をい。そんなことをしていいのかっ!?」
俺は思わず大声を上げてしまう。
「いいんですよ。」
思いっきりいい笑顔で答える。
「……流石にやばいだろう?」
道徳的にもネタ的にもやばいような気がする。
どのくらいヤバイかというと、このネタのせいで
この小説が楊明の生みの親であるKさんのお怒りによって消されやしないだろうか?
という不安さえ覚えてしまうくらい…
「大丈夫ですよ。私はKさんの小説の中でも似たようなことを
本編第十二話の『れっつごーしょっぴんぐ!』でやってましたし。」
そういや、やってたな…。
て、まてい。
あれはまだ、かわいらしいような気がするぞ。
「そんなことを気にしちゃだめですよ。」
気にするなつっても…、

……そういえばさっきから…
「何で俺の思ってることが分かるんだ?」
俺は聞いてみる。さっきからまるで俺の心の中が
見透かされているかのような会話だったからだ。
「だって、心で思っていることさっきから小声でつぶやいてますよ。」
そうだったのか…、不覚だ…。
「それはいいとして夕飯の買出しに行きましょう」
そういいながら楊明は部屋を出て行った。
俺はそれについていく。
…というか俺は昼飯ほんとに抜きですかい?


階段から降りたところでちょうど秋子さんに出会う。
「名雪、いってらっしゃいね。夕飯、期待してるわよ」
「いってきますね、お母さん。」
ふと見ると、玄関先に俺の荷物が届いていた。
ひょっとして、と思い、荷物を見る。
差出人の名前に相沢祐一とあった。
あ、もうとどいたのか…。
「名雪、あとで部屋に片付けるの手伝ってくれないか?」
「…なんで私が手伝わなきゃいけないんですか?」
「統天書の中に一旦収めればらくだろう?それに原作では
ちゃんと手伝うじゃないか。」
それに従姉妹なんだからそれくらい協力してほしい。
「試練です、一人でがんばりましょうね。」
……体よく断られる。
まぁ無理だとわかっちゃいたけどね…。

はぁ…。しょうがない…。
あとで一人でやるか…。


玄関から出るとすごい寒気が押し寄せてくる。
コートを着ているとはいえ、なれない人間には寒い。
ふと周りの風景を見る。
七年前も俺はこの風景を見ていたのであろうか?
「名雪、この辺、七年前と比べて変わったか?」
俺は名雪に聞いてみる。
「ちょっと待ってください。」
そういっておもむろに統天書を調べ始めた。
「ないですね。特には。」
「そうか…、て、をい、何でわざわざ統天書で調べたんだ?」
「…くせです。」
まぁこの少女らしいな。と俺はふと思った。


そんなこんなで歩いていると商店街に着く。
商店街から百メートルほど言ったところにスーパーがあった。
「じゃ、買い物をしてくるのでここで待っててくださいね。
どこかにいったら凄い事が待ってますよ。」
俺のほうを向いて名雪がそういう。
「ああ、分かったよ。」
「じゃ、すぐ終わりますのでここで待っててくださいね。
そういって、名雪がスーパーに入っていく。

いくはずがないだろう?
そんな赤文字で強調されなくっても分かってるぞ。俺は。


そんなことを思いながら、俺はあたりを見回した。
所々に雪の残る商店街の通りを、買い物帰りの人が思い思いの方向へ歩いていく。
陽がゆっくりと傾いて、落ちる影が石畳に伸びる。
7年前にも、この景色を俺は見ていたんだろうか。
記憶の奥底にある、雪の思い出。
目を閉じてゆっくりと記憶を掘り起こす。
白い雪。
街並み。
七年ぶりに会った従姉妹の少女。
(想像にある従姉妹と違うが)(泣)
そして…


「どい…」
色々な思いをめぐらせていると、後ろから何か声が聞こえた。
そうおもった次の瞬間…。
俺は何かにぶつかった。


ドン!


俺の体が宙に浮いた。


一秒…
二秒…
三秒…
まだ俺の体は宙に着かない


四秒…
五秒…
六秒…

まだ俺の体は宙に着かない。
永遠とも思える時間が自分の中ですぎていく。


十秒後…


ドン!


ようやく俺の体は宙についた。


運良くかなり積もった雪の上に尻からおちたおかげで何とか怪我はない。
…流石に少し痛いけどな。
あたりを見回すと、商店街の入り口だった。
ということは百メートルほど吹っ飛ばされたって事か。
しかし…、何にぶつかったんだ?
「うわぁ、ごめんねぇ。」
そんなことを考えていると、後ろからほんとにすまなさそうな声が聞こえて来た。
「いつもは人を見かけたらよけるんだけどよけられなかったんだよ。」
よけられなかったってなぜだよ。
なぜよけられなかったんだよ…。
そう思いながら後ろを向くと、
そこには茶髪でサングラスをかぶった(目にかけているわけではない)少女がいた。
活発的な、少女という感じを受ける。
確かこいつは…、そうだ、
鈴問水天・亞凛だ。(麻衣さんのオリジナル精霊)
今ここに出て来たってことは…こいつがあゆ役か。
「だいじょうぶ?だいぶ吹っ飛んだみたいだけど。」
「ああ…、なんとかな。…ところで何で、よけられなかったんだ?」
「超高速で世界一周をやってたんだよ。」
そうだ…、こいつは5秒で世界一周ができるんだったな。
しかしもうちょっと安全なルートを通れよ。
「いつもと違うルートをとおってたらー、街中にはいちゃってぇ、
スピードを下げてたところにー、ぶつかっちゃったんだよ。」
ということはもう少し当たるのが早かったら俺は1000メートル
ほど飛ばされて死んでいたんじゃないのか?
危ないところだった…。
そんなことを思いながらふとあゆ(亞凛)の方を見る。
ふと見るとあゆの手には袋が握られていた。
「ところでその袋はなんだ?」
「え?ああ、スピードを下げてる最中にどこかにあった袋を
偶然つかんじゃったみたいだね。」
そういいながらあゆが袋をあける。
その袋をのぞいてみるとたいやきが入っていた。
「うわ、あゆの大好物のたいやきだよ。」
そういってあゆが喜びながらたいやきを口にする。
「こういうのを窃盗というんじゃないのか?」
「いいんだよ。たまたまあゆの手に入っただけだから☆それに原作でも
食べたしね☆あ、君も食べる?」
そういいながらあゆはたいやきを俺に見せた。
俺はとりあえず頂くことにする。
「……そういえば君の名前まだ聞いてなかったね。」
食べている最中にあゆは聞いてきた。
「俺は相沢祐一だ、あゆ。」
「えっ、何であゆの名前、知ってるの?」
その言葉に俺は苦笑する。
「だって自分で、あゆって言ってるじゃないか。」
「あーそうだね☆。」
そういいながら原作どおり二人でたいやきを食べた。

パク。

けっこううまい。
原作と同じところのたいやき屋だろうか?
そんなことをふと考えた。
あゆは続けて二個目を取り出した。
もちろん俺もそれに続く。
「おいしーねー。」
「ああ。」
この幸せな時がしならくは続くと…、
その時の俺は信じて疑わなかった…。


「いけませんね、ドロボーは。」
あゆといっしょにたいやきを食べていると不意にあゆの後方から声が聞こえた。
「はい?」
声の聞こえてきたほうをよくみるとエプロン姿の宮内出雲がいた。
……ひょっとしてたいやき屋の役か?こいつ。
「うちのたいやき屋からたまたま袋に包んでいた
10個のたいやきを盗むなんて、いい度胸してますね。そこの男。」
やはり間違いない。こいつがたいやき屋の役だ。
そういう配役ですか…。
「いや、俺が盗んだんじゃなくて…、」
「ごめんねー。たいやき屋のおにーさん。あゆが間違ってこのたいやき盗んじゃったの。」
俺が弁明しようとしたとき、あゆが後ろを振り返り、謝る。
一応、反省しているようだ。
「お嬢さん。たいやきを盗んだのはあなただったんですか?
あまりにも早くて誰が盗んだのか見えなかったんですが。」
おそろいた顔でたいやき屋の人はあゆを見る。
「うん。」
あゆが泣きそうな顔で謝ってる。
この男は女ったらしだからきっとあゆは許されるだろう。
(それに初犯だし)


「そうですか…。この男が盗ませたんですね。」
「はい?」
俺はおもうわず素っ頓狂な声をあげてしまう。
「こんなかわいらしいお嬢さんが自分で物を盗むはずがないじゃないですか。
君が盗むよう命令したんでしょう?」
むちゃくちゃひどいことを言われる。
俺のなかに怒りがふつふつと込み上げて来た。
「あんたなぁ!」
そうして飛び掛ろうとしたときである。
たいやき屋の人の後方から名雪がやってきた。
そうだ、名雪なら統天書で調べて俺が無実だと証明してくれるだろう。
「祐一さん、こんなところにいたんですか。」
「おお、名雪いいところに来た。俺の無実を証明してくれ。」
俺は名雪に懇願する。
それに反応して名雪が統天書を調べ始めた。

よかった。これで俺の無実が証明される。
こっちの名雪でよかった……。


「無実ってどういうことですか?こんなかわいらしい女の子
に盗みを働かせておいてそれはないんじゃないんじゃないですか?」
…………………………………はい?今何とおっしゃりました?名雪さん?
「やっぱりそうですか…」
たいやき屋の人が納得している。

いや、ちょっとまてい。

「以前は私にまで同じようなことをしたのに…。
無実だなんて…ひどすぎます…。」
名雪の声がだんだんと涙声になっていく。
「ええっ!?あなたも似たような被害にあってたんですか?」
たいやき屋の人が驚きの声を上げる。
「はい…。もうほんとに私は辛かったです。
毎日のごとく色々なものを私に盗ませて…。
いまでも…、あのときの事を思い出すと涙が…。」
そういってついに名雪は泣き出してしまった。
無論嘘泣きである。
「こんなかわいらしいお嬢さん二人を悪の道に引きずり込むなんて
本当にキミは人間のくずですね(ふぁさぁ)」
そういって、たいやき屋の人はため息をつく。
「いや俺はほんとに盗んでないぞ、な、あゆ。」
あせって俺はあゆの方を向く。
「うん。ほんとに、あゆがこのたいやきを…。」
そういってあゆは必死に事情を説明しようとしている。
ほっ、これで何とかなりそうだ…。


「あゆさん、そういわないとこの後この男によって殴られる
とおもって本当の事がいえないんですね。
私もそうだったからその気持ち十分分かります。
しかし大丈夫ですよ。
この男は今から遠いところに言ってしまいますから。」
嘘泣きをしながら名雪はそういい、
あゆに正面からぎゅっと抱きしめ、無理やりあゆを黙らせた。

……をい。何しやがるんだ、名雪。


「なんてかわいそうなお嬢さんたちですか。安心してください。
今から私がこの男を警察に引き渡しますから。
辛いでしょうが…いっしょについてきてもらえますか?証人として。」
たいやき屋の人は名雪のデマを信じ込んで泣きだしそうだ。
だからなんでおまえは名雪の言うことはすぐ信じるんだ。
「いえ、犯罪者とはいえ、実はこの男、私の従兄弟なんです。だから、どうしても憎みきれなくて…。
この男の罪は窃盗だけにしといてください…、そうすれば、たとえ少年院に預けられたとしても
早くまたあえますから。いいですよね、あゆさん。」
そういって名雪が自分が抱いている(というか黙らせている)あゆの方を見る。
「ちが…、ほんとはあゆが…。」
あゆは苦しみながらも必死に真実を伝えようとしている。
しかし、声が小さいため(名雪がきつく抱きしめているから)
俺ですら注意深くしていないとあゆの声は聞こえない。
だからたいやき屋の人に聞こえるはずもない。
「あゆさんもそれでいいって言ってます。」
相変わらず嘘泣きをしながら楊明はたいやき屋の人に告げる。
言うまでもないがあゆはもちろんそんなことを言っちゃいない。
「なんて心やさしいお嬢さんですか、私は涙が出てきましたよ。」
そういっていやき屋の人はついに流し始めた涙をぬぐう。
俺が泣きたいぞ。畜生。
「じゃ、いきますよ。そこの交番に。」
そしておれはたいやき屋の人にがしっと手をつかまれ交番に…
ってまてい。
「まてまてまてぃ!名雪、俺に何か恨みでもあるのか!」
俺はたまらず大声で叫んだ。
すると名雪がいい笑顔を浮かべて
俺にだけ聞こえる声でこういった。
「商店街に来たとき、私が言ったこと覚えてますか?」
何か言ったか…?
俺は記憶を巡らせる。
そして不意に浮かんできたのは…。
『じゃ、買い物をしてくるのでここで待っててくださいね。
どこかにいったら凄い事が待ってますよ。』


     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・
     ・

……………しまったぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!
あゆに百メートル吹っ飛ばされたせいで
すっかり忘れてたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!
「この程度で済むことを幸運に思ってくださいね♪本来なら
もっとひどい目にあわせていたはずなんですから♪」
これ以上の事って何があるというんだ…。
それにしても名雪…、おまえは統天書で状況を読み込んですぐ
こういう展開に持ってくか…。
もうここまで来ると怒りを通り越して尊敬の念すら浮かんでくるぞ。
……一瞬だけどな。
「この期に及んでまだそんなことを言うなんて…、
最低ですね、キミは。(ふぁさぁ)」
最低なのはかわいらしい女の子が盗みを働かないと思っている
おまえの方だと思うぞ…。


そんなことを思いながら、
俺はたいやき屋の人に交番まで連れて行かれた。
…俺これからほんとにどうなるの?


数時間後、秋子さんがしぶしぶ迎えに来た。
かなり運良く、説教だけで済まされることになったのだ。
でも、当然のごとく罰として晩飯抜き。
(因みに松坂牛のステーキだった)

ああ・・・、これからほんとにどうなるんだろう。


*****************
今までに判明しているキャスト
名雪………………楊明
秋子………………ルーアン
あゆ………………亞凛
たいやき屋………宮内出雲

*****************
後書き
グE(以下グ)「亞凛の口調って祐一より難しいね。祐一も含めて
        全然雰囲気がでてないよ。」
愚E(以下愚)「それより先にいうことがあるだろう?」
グ「…はい。」
愚「これ、楊明?」
グ「ここまで性格悪くなるとはなぁ…。当初の予定では今回は宝くじネタあたりが
  一番たちが悪かったはずなのに」
愚「たいやき屋の親父を気まぐれに出したら(はじめは出さない予定だった)
  いきなりこの話が浮かんできたんだよな。」
グ「すらすら書ける自分が恐ろしかったぞ(だいぶ手直ししたけど)いや、マジで。」
愚「それにしても麻衣さんに正解されたね。」
グ「見事だね、うん。(過去掲示板参照)」
愚「後、一言いっとこうか。」
グ「空理さん、これ以上楊明が変になっていくのをみたくなかったら言ってください。
  (これ以上たち悪くならないと思うんだがなぁ…自信がない)
  すぐ止めますので(落ちに持ってくということ)」
愚「もちろん麻衣さんも文句があったら言ってくださいね。
  (口調についてはもう少し我慢してください。」
グ「他の人も文句があればぜひ言ってください(他にもこの文章を直したらいいとかがあったら言ってください)」
グ&愚「それでは!」


PS
愚「それにしてもおまえ***、楊明が外伝二話で泣いたことは忘れてたのに
  本編お菓子ネタは覚えて立ってどういうことやねん。」
グ「うぐぅ***。」

この記事に返信する [ 引用なし返信 | 記事編集 | 記事削除 ]


子記事
[162] おもしろすぎ・・・・。麻衣
[163] あ、憐れな・・・(笑)たけ
[165] 彼女はまああんなもんですよ(爆)空理空論

[ このスレッドを最初から読む ]

KINONの世界へようこそ(仮題)第二話 [ グE ] 2001.06.15 16:55 No.161
おもしろすぎ・・・・。 [ 麻衣 ] 2001.06.15 18:12 No.162
あ、憐れな・・・(笑) [ たけ ] 2001.06.15 18:42 No.163
彼女はまああんなもんですよ(爆) [ 空理空論 ] 2001.06.16 13:02 No.165

[162] おもしろすぎ・・・・。
投稿者名: 麻衣
投稿日時: 2001年6月15日 18時12分
わーい、亞凛がでできたぞぉ!しゃべり方は「だよ」とか「だね」が有れば十分ですから。やっぱあゆ役ですか。
楊明・・。あなたって人は・・。ってか、鯛焼きのお兄さんの方がいやだぞ、これは。
しかし・・・世界一周五秒って今思えばすごいなあ・・。ふつう、できんな。
しかし、ルーアンも出てきたし、つつぎが楽しみです♪次でで来るのはいったいなんでしょう?

この記事に返信する [ 引用なし返信 | 記事編集 | 記事削除 ]


[163] あ、憐れな・・・(笑)
投稿者名: たけ (ホームページ)
投稿日時: 2001年6月15日 18時42分
もう、凄まじい、の一言ですな(笑)
亞凛(あゆ)のタックルで百メートルも吹っ飛ばされる祐一・・・
楊明の的確な状況判断(?)も素晴らしいです。
出雲は鯛焼き屋の親父・・・一見ちょい役かと思われるけど、奴の事だしなあ〜(笑)
残りのキャストも楽しみにしております!
それでは!!

この記事に返信する [ 引用なし返信 | 記事編集 | 記事削除 ]


[165] 彼女はまああんなもんですよ(爆)
投稿者名: 空理空論 (ホームページ)
投稿日時: 2001年6月16日 13時02分
らしいと思いながらも、言われて見ればひどいかも(笑)
でもまあ、楊明ならこういうもんでしょうという気はしますから。
クジうんぬんに関してならまったく問題ないですよ。
統天書を作った奴はこういう事に使われるのを望んでいたはずですから(謎)
私的にひっかかりを感じたのは後半ですねえ。アリンを押さえていたのは・・・
よく飛ばされなかったなあ、とか。
それは置いといて面白かったです。祐一君はますます悲惨ですが(笑)
とにかく、とことん突っ切りましょうや。祐一君のためにも(爆)

この記事に返信する [ 引用なし返信 | 記事編集
SEO [PR] !uO z[y[WJ Cu