356 Reply 風物語 夢物語(前編) 須坂稔 2004/01/31 23:17
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     風物語 夢物語(前編)

 同窓会も終わりにさしかかった頃、乎一郎は友人2人に会場の隅に連れてこられた。
「どうしたの、2人とも?こんな所に連れてきて」
 そう2人、たかしと翔子に抗議するようにたずねる乎一郎だが、
「なあ、このまま終わるのもつまらなくないか?」
 と逆にたかしにたずね返される。
「え。うん、まあ、確かに」
 一瞬とまどいながらもそう乎一郎が答えると、2人の顔から笑みが漏れた。それを見て乎一郎は全てを察した。この2人は何かをたくらんでいて、自分もそれに巻き込もうとしていることを。
「それで、何をやる気なの?」
 とりあえず2人のたくらみを聞いてみる乎一郎。
「ああ、この後どこか…って言っても多分太助の所だろうけどで2次会でもやろうかって」
「2次会は別にいいと思うけど、太助くんに許可はもらっているの?」
「多分って言っているんだからまだに決まっているだろ。大体2次会の計画したのついさっきだし」
「ついさっきって…」
 ため息をつきながら、もし太助にだめだと言われたらどうするんだろう、そんなことを思わず考える乎一郎。
「まあ、だめだったら別のところでも探してみるさ」
 乎一郎のため息の意味を察したのか、そう翔子がフォローする。
「とりあえず太助くんに話した方がいいよね」
 その言葉に従いとりあえず太助を探すことにした3人だった。

 2次会のことを太助に話すと、意外にもあっさりと許可が下りた。
「何か思っていたよりもあっさり許したよね、太助くん」
 少し驚いたように言う乎一郎に、
「ああ、そうだな」
 とたかしも素直に答える。
「ま、いいんじゃないか」
「そうだね」
 あえて考えるのをやめるのをやめにした2人だった。

 今、乎一郎は太助の家に向かって歩いている。
 しばらく歩いていると、不意に後ろから声をかけられたので立ち止まって振り返ると、とたんに乎一郎の顔が輝く。
「あ、ルーアン先生」
「こんにちは遠藤君。遠藤君も太助君の家に行くところかしら」
「遠藤君も…ってルーアン先生も太助くんの家に行くんですか?」
「そうよ。遠藤君と同じ理由でね」
「え、じゃあルーアン先生も」
「ええ、そうよ」
「でも、どうして…」
 と不思議がる乎一郎にルーアンは、
「アンタたちが話しているのを立ち聞きしたからよ」
 とあっさり答える。
「でも、勝手に来て大丈夫ですか?」
「ちゃんと太助君には電話で言ってあるから大丈夫よ。それに…」
「それに、何ですか?」
「それに他の2人も誰か連れてきているでしょうし」
「そうですかね」
「そうそう。行きましょう」
 そう言って先に行くルーアンとあわててその後を追う乎一郎。

 2人が途中でたかしと出会うと、ルーアンの予想通りたかしもちゃんと1人連れてきていた。
「ね、あたしの言ったとおりだったでしょ」
 ルーアンが乎一郎の耳元に顔を近づけながらささやく。
「ええ、まあ」
 それに対し曖昧に答える乎一郎。そんな2人の様子を不思議に思ったのかたかしが、
「2人とも何ぶつぶつ言っているんだ?」
 と聞いてくる。
「いや、たかしくんがやっぱり花織ちゃんを連れて来たってルーアン先生と話していただけだよ」
 そう答える乎一郎に、
「たかし先輩が行くって言うんで、ついて来ちゃいました」
 そう答える花織であった。

 そして、乎一郎たちが七梨家の前で翔子たちと出会うと、翔子もきっちりと2人連れてきていた。
「やっぱりお前らも誰か連れてきたのか」
 開口一番、そう言う翔子に、
「まあな」
 とたかしは短く答える。
「キリュウは来るとは思っていたけど、おにーさんが来ているのは意外ね」
 翔子の2人の連れを見ながら言うルーアン。
「いえ、用事があって太助君の所へ行く途中で翔子さんたちと会ったのですが…」
「翔子殿が『あたしたちをエスコートしろ』と言って無理矢理連れてきたのだ」
 この出雲とキリュウの言葉に思わず吹き出す乎一郎たち。
「よけいなことを言うな、2人とも。早く入るぞ、七梨の家に」
 そう言って翔子は太助の家のチャイムを鳴らした。

 そして約1時間後、
「えーとこれから、2次会を始めたいと思う。わかっているとは思うが、あまり大騒ぎしないように」
 この太助の一言で2次会は始まった。

     風物語 夢物語(前編) 完


<後書き>
 というわけで、『月物語 星物語』の裏話、というより本編です。

”月星”でも予告したように、この時代の他メンバーの設定を公開しておきましょう。

 出雲はまだ独り身です。

 たかしと花織は今現在両思いの中です。

 ルーアンとキリュウは1度元の世界に戻って、とある理由によりこっちの世界に来ています。
 よって、太助は今はルーアンやキリュウの主ではありません。(ルーアンが太助のことを太助君と呼んでいるのはこのため)

 2人が戻ってきた理由については今は話せません、ご了承下さい。(ちゃんと理由は作っています)

 そして今、ルーアンは1人暮らし(乎一郎との関係はご想像にお任せします)、キリュウは翔子の家にいます。

 では、後編でお会いしましょう。
それじゃあ、また。
357 Reply いつもの風景 空理空論 MAIL URL 2004/02/02 00:21
cc9999
二次会に太助の家…いつもの風景ですね。
お約束どおりのメンバーが集まって、太助もそれを普通に受け入れて。
時が移り変わろうとも、変わりなく動いてる面々が、とってもいいなと思いました。
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