スレッド No.194


[194] 花織のアトリエ
投稿者名: 須坂稔 (ホームページ)
投稿日時: 2001年7月9日 13時01分
 ズィーベ王国ツルガオカの職人通りにある工房からその声は聞こえた。
「出来たあ。」
声の主である少女はそう言って目の前にある釜の中から薬を取り出す。
 彼女の名前はカオリ・アイハラ。ツルガオカにある錬金術師養成専門マジック・アカデミーの生徒である。本来生徒はアカデミーの寮で暮らすことになっているのだが彼女は補欠合格のためアカデミーの工房で暮らしながら生活をしているのである。
「後はこれを持っていって・・・そうだアカデミーで買い物もしないとね。」
などとつぶやきながら彼女は工房を出ていった。
 ツルガオカの中でも最大級の酒場「西宝亭」にカオリは入ると、そこの主人であるタロウスケ・シチリの所へ行く。
「はいタロウスケさん、依頼されていたものです。」
と言ってカオリは商品を渡す。
「相変わらずいいできだな。ほらよ。」
と言ってカオリにお金を渡す。
「ところで依頼がまたあるけどどうするんだ。」
「明日から採集に出かけるんで今回は遠慮しておきます。じゃあ。」
と言ってカオリは西宝亭を出ていった。
 アカデミーにやってきたカオリは売店に向かい、売り子のリカ・スズキに声をかける。
「こ、こんにちはカオリさん。お買い物ですか。」
「うん。」
と答えるといくつかの商品を買う。そしてそこを去った。
「あ、ありがとうございます。」
のリカの言葉を背に受けて。
「あれ、カオリ。」
「こんにちは、カオリさん。」
との声に振り向くと彼女の2人の友人がいた。
「こんにちは、シャオ、タスケ。」
とカオリが2人の友人、タスケ・シリーとシャオ・ゴーシュにあいさつする。その後3人はしばらくの間話をし、分かれた。
 カオリは城へ行くと門番をしている人物に話しかける。
「こんにちは、タカシ。」
「何だ、お前か。何のようだ。」
とタカシ・ノムラが言う。
「あのさ、明日から採集に出かけるから護衛お願いできるかな。」
「ああ、いいぜ。お前1人だと危なっかしくてしょうがないからな。」
といつものように答える。
「じゃあ明日ね。」
とだけ言ってカオリはタカシの前から去っていった。

 そして翌日カオリとタカシはツルガオカから片道6日ほど離れた採取場所へ向かった。
「到着。さてと、探そーっと。」
と言って材料を探し出すカオリと無言でその後をついていくタカシ。それを2時間も続けていただろうか。突如タカシが、
「下がれ、カオリ。」
と叫ぶとカオリの前に立つ。それとほぼ同時に怪物がタカシに襲いかかる。だがタカシの一撃により倒れた。
「たくさんいやがるな。」
その言葉通り野犬の群に2人は囲まれていた。
「ここから動くなよ、カオリ。」
そういうとタカシは野犬にきりかかる。それと同時に野犬もタカシに向かって襲いかかる。だが聖騎士のタカシに野犬がかなうはずもなく野犬は次々と倒されていく。一方カオリは荷物の中から1つの爆弾を取り出すと、
「えい。」
というかけ声とともにそれを野犬の群に投げる。それは破裂したとたんにガスを発生させる。そのガスによって野犬は次々と倒れていく。そして野犬達と戦っていたタカシも巻き添えをくって倒れてしまう。
「思っていたよりも効果が高いわ。さすがあたし。」
などと独り言を言いながら再び爆弾を取り出して倒れている野犬を倒す。
 タカシが目覚めたのはそれからまもなくのことだった。
「あ、気がついた。」
とカオリが言う。
「ああ。それはそうとさっきのは何なんだ。」
「あれ、爆弾に睡眠薬を入れて睡眠爆弾を作ってみたんだけど・・・」
「あのな、それで味方も眠らせちまったら何の意味もないだろうが。」
「ごめんね、思っていたよりも効果が強すぎて・・・」
「まあいいや。採集が終わったんなら帰るぞ。」
とだけ言って歩き出すタカシ。そしてカオリもタカシの後に続く。
 工房に帰ったカオリは睡眠爆弾の改良に取りかかっていた。
「効果は問題なかったからあとは量かな。えっと、このぐらいで何とかなるかな。」
と言いながら睡眠薬を取り出す。
「あとはこれとこれでとさて調合開始。」
と調合を開始する。そして数日後、
「出来たあ。」
と完成したばかりのものを掲げながらうれしそうに花織が言う。

 その日の夜カオリは夜空を見上げながら、
「タカシ・・・」
とつぶやくように言う。初めて採集に出たときから護衛につきあってくれた人、いつも彼女を守ってくれた人、彼が自分を守ってくれるように、自分も彼を助けてあげたい。
「そのためにはもっとがんばらないとね。」
そう夜空に向かってつぶやいた。

     花織のアトリエ 完


<後書き>
 月天とマ学のキャラでアトリエシリーズでも作っちゃえってことで作りました。
当初はギャグ系のはずだったんですがいつの間にかシリアスかつラブラブチックに・・・
ついでに言うと最初は月天だけだったんですが、キャラが足りないことと魔法系なのにマ学を入れないのは変ってことでマ学も追加しています。
 石はもちろんのことフラムやクリームなんて投げないでください。
それじやあ、また。

 花織のアトリエの設定です。興味があったらみてください。ちなみに裏もあります。
http://homepage2.nifty.com/KOYA-N/Atlie-character1.html

[199] アトリエ・・・なる
投稿者名: 空理空論 (ホームページ)
投稿日時: 2001年7月12日 15時35分
完・・・ってことはこれで終わりなんですか?
それだと、設定がいやに凄い分あっさりし過ぎという気がしますが。
それにしても、味方を、護衛を堂々と巻き込む睡眠爆弾はさすがですね(笑)
やっぱりこの辺が花織だってことでしょうか。

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