125 Reply 忘却の淵より、思い出とともに去来せしもの・・・・ ふぉうりん MAIL URL 2002/04/01 14:40
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忘却の淵より、思い出とともに去来せしもの・・・・


「あっ!」

 太助は、急になんの脈略もなく頭の中の記憶の回路が通電して、LEDランプ(電球と思ってねん)が点灯した気分を味わった。いわゆる閃く瞬間に頭の電球はパッと光るあれである。今回は閃きでは無く、忘却の淵からの記憶の去来なのだが・・・

「いままで忘れてた俺も俺だけど、思い出したんだから、やっぱりそのまま放っておくのは、良くないよなぁ。」

「太助様? 大きな声を上げて、難しいお顔をして、一体どうしたのですか?」

 御盆にお茶を乗せて、キッチンから現れたシャオが太助に尋ねた。

「いや、大したことじゃ・・・・。いや、ある意味、大したことかも知れない・・・。」

「??」

 太助の言葉の意味を理解しかねたシャオは首を傾げた。そんなシャオを見兼ねて、同席していたキリュウが助け船をだす。

「主殿にとって、それは軽視できる事は出来ないしろ、それほど重視すべきものでも無いかも知れない。微妙なことなのだろう?」

「うん。『微妙』って言ったら多分怒られそうだけどね。」

「無視も出来ない事柄なんだろう? 我々で相談に乗れるようなことなら、言って欲しいものだな。な? シャオ殿。」

「そうですよ太助様。キリュウさんの仰るとおりですよ。」

「シャオ。キリュウ。」

 太助は彼女達の言葉を心から嬉しく思った。自分がちょっと悩んだだけでも、心から心配してくれる彼女達に、これ以上要らぬ心配を掛けてはいけないと、太助は強く思った。

「ありがとうな。嬉しいよ。」

「太助様・・・。」

「・・・主殿。」

「と、当然の事を言ったまでだ。お礼を言われるようなことは言ってはいないぞ。な? シャオ殿。」

「そうですよ。キリュウさんの仰るとおりです。当然の事なんですからお礼なんて・・・・でも、太助様の言葉、私とても嬉しく思います。」

「なぁに、まっぴるまっから、甘ったるい空気流してるのよ? 春なのに、暑いったらありゃしない。」

 リビングに現れたルーアンは、宿直明けのせいか、それともこの場の空気のせいか不機嫌丸出しでやさぐれていた。

「あんた達、ラブコメなんかやってないで、肝心のたー様が思い出したこととやらを相談なさいよ。」

「ラブコメって・・・・随分な言い様だな・・・ルーアンも話に参加してくれよ。」

「あら、なんでかしら?」

「なんでってことは無いだろう? ルーアンだって無関係じゃないんだぞ。」

「知ってるわよ。そんなこと。」

「? ならなんで?」

「たー様が、これから話そうとしていること、しようとしていること、今回ばかりは、全てあたしはお見通しってことよ。」

 ルーアンは余裕の笑み答えた。

「だから、あたしは話に加わるんじゃなくて、話をたー様と進めるのよ(はーと)」

 言葉の終りと同じにルーアンは太助に後ろから飛びついた。

「ルーアンさん!?」

 シャオの悲鳴っぽい声を皮切りに いつも通りに七梨家のリビングが騒がしくなった。 









 ピンポーン

 七梨家備えつけのチャイムが鳴る

「は〜い。」

 中からシャオの元気な返事と、ドタドタと玄関まで走ってくる音がドアの外までよく聞こえて来た。

ガチャ

「はい。お待ちしてましたよ! さぁ、どうぞ。」

 招かれた者は、少し目を細め、彼女に声と一緒に玄関まで走る足音も聞こえた事を苦笑気味に言った。

「私の足音まで、外に聞こえちゃましたか? あらやだ。恥かしい。」

 シャオは恥ずかしそうに、少し舌を出して照れ笑いを浮かべていた。

「みなさん。お待ちかねですよ。」

 彼女のその言葉に、招かれた者は少し首を傾げる。一瞬まさかと思う考えが過ったが、すぐに『それは無いだろう』と首をかすかに横に振りその考えを打ち消した。

 シャオに通されてリビングの扉を開けると、彼を出迎えたのは盛大な炸裂音だった。


パン!パン! パッパーン!

 いろとりどりの紙テープと紙片が彼に浴びせら


『お誕生日おめでとう! 乎一郎!!』


 口々に、祝辞の言葉を投げられる。じゃっかんの謝罪も混じってはいたが。

「一体。どうして?」

 乎一郎は嬉しかったが、同時に不思議にも思った。去年までは、こんなことは無かったのに・・・・。

「ルーアン殿と主殿が思い出してな。『一日遅れで申し訳ない』と主殿が言っていたぞ。」


 今日は4月1日、一日遅れの彼の誕生パーティが七梨家で行われた。



忘却の淵より、思い出とともに去来せしもの・・・・
〜終幕〜


あとがき とか 解説とか
大層なタイトルの癖に、不釣合いな内容かも知れません。
私もつい3時間ほど前に思い出したので
『あっ、今日はエイプリルフールかぁ』って思い出したのと同時に、小説版守護月天!第9巻『いつの日か、あなたと』の第一話「ハッピーバースデー」をふと思い出し、引き合いで乎一郎の誕生日を思い出しました。一日遅れで御免、乎一郎。そんな訳で、冒頭の太助君の言葉や、急に思い出すのは、全て私です(笑)ルーアンのおかげで無事に思い出しました。

そんな訳で、このお話のルーアンは、去年の忌まわしい(?)エイプリルフールの嘘と共に、彼の誕生日を思い出します。


では、今回はこれにて

2002年4月1日 ふぉうりん
初版なんで、もしかしたら、私のHPには、後日改訂版があがるかも・・・
128 Reply こっちも忘れていた(汗) グE 2002/04/11 09:51
cc9999
太助の誕生日忘れていたのはいいとして、(<をい)
人気投票で乎一郎に投票したのに忘れていました(核爆)


乎一郎誕生日祝ってもらえて良かったですね。
去年のエイプリルフールも意味があったことでしょう。
(まぁたしかに太助のいう通り、
14歳ともなれば誕生日なんて微妙なことかも知れませんね)

では
129 Reply そうだよ、そうなんだよ 空理空論 MAIL 2002/04/18 07:54
cc9999
言われてみれば、ってことで私忘れてました。
微妙にナイスな思い出し方ですね、太助(謎笑)
しかしながら、ルーアンがしっかり覚えていたということに、
私は非常に親しみを感じました。
何故ってそりゃーあーた、言うまでもないっすよぉ←なにもんだ
非常に遅れたけど(爆)誕生日おめでとう乎一郎!
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