スレッド No.186


[186] After Kanon  May 5
投稿者名: シグ
投稿日時: 2001年7月4日 23時44分
 約束をした……
 3人でいると……
 ずっとそばにいると……
 その願いはかなう……
 ……そして 

      After World of Kanon 
     ―――birthday on May 5―――


 ―――5月3日 商店街

 緑に溢れた道を、祐一と舞は歩いていた。
 少し歩いたところで、祐一は話を切り出す。
「舞、覚えてるか?あさっては、何の日か。」
 こくり
 と舞はうなづく。
「で、今年はどうするんだ?」
「……お花。いっぱいのお花。」
「舞らしいな。俺もいっしょにしてもらっていいか?」
「……いい。」
「それでさ、俺……もう一つ考えがあるんだ。」
「……聞かせて。」
「おうっ。実はな……」


 ―――5月4日


「こんにちはー。」
「あ、祐一さん。こんにちはーっ。」
「……こんにちは。」
 そんなには大きくないマンションの一室。
 舞と佐祐理は、ここに住んでいるのだ。
 二人共近くに実家もあるが、今は二人で暮らす日々を楽しんでいる。
 家に入ると、祐一は舞にこっそりと耳打ちをする。
「明日の打ち合わせは、昨日の通りな。」
「はちみつクマさん」
 口に不敵な笑みをたたえて、うなづく。
「お前な……いや、最初に言ったのは確かに俺だけどさ。」
 いきなり真顔で冗談を言われると、つい困ってしまう。
「ふぇー。二人で何を話してるんですか?佐祐理にも教えてください。」
「「え?」」
「ねえ、教えてください。」
「……まだ駄目。」
「もう少ししたら、教えるから。」
 佐祐理は残念そうな顔をしている。
「分かりました。でも、絶対教えてくださいよ。」
「ああ、約束するよ。」
 そう言って、居間に入る。
 そこには可愛い―――1.5メートルの体を誇り、
 ぶっとい腕の大きな爪で小さいアリの巣を掘り起こし、
 尖った口からミミズのごとく細い舌を出してアリや白アリをぺろぺろむしゃむしゃ仰山食べる―――
 オオアリクイのぬいぐるみが置いてある。
 そして、祐一はそこで1日を過ごすのだった。


 ―――5月5日


 祐一は、朝早くから二人の家の前に立っていた……両手いっぱいの花束を抱えて。
 と、少しすると家のドアが静かに開く。
「おはよう、舞。」
「……おはよう。」
 二人共、声を潜めている。中に居る人、今日の主役を起こさないためだ。
「準備は?」
「今やってる。……祐一も手伝って。」
「おぅ。良し、手早く終わらせようぜ。」
 元気良く、だが、最小限の声で答える。


「ふぁーっ。」
 欠伸をしながら、佐祐理が居間に続く扉を開ける。と、
 ぱんっ!
 と、いきなりクラッカーが鳴り響く。
「佐祐理さん。誕生日おめでとう。」
 祐一の声が上がる。
「ふぇ!?」
 そして、大きな花束が歩いてくる……ように見えたが舞だった。
「佐祐理……誕生日おめでとう。」
「舞、もうちょっと右だぞ。」
「……前が見えない。」
 少し照れたようだ。が、言われた通り少し右に体を動かし、改めて言う。
「……誕生日、おめでとう。」
「舞……祐一さん……ありがとうございます……嬉しいです。」
 あまりの驚きに、言葉が途切れ途切れになる。
「それじゃ、お祝いを始めようぜ。」


 朝食をすませて、しばらくした所で祐一が切り出す。
「ねえ、佐祐理さん。出かけようか、舞と3人で。」
「あははーっ、いいですね。舞もそれでいい?」
「……決めてあったから。」
「ふぇ?」
「……あ。」
「ささ。佐祐理さん、行きましょう。」
「あ、そうですね。」


 家を出て、少しすると、
「私は先に行くから……ゆっくり来て。」
 そう言って、舞は駆け出していった。
「あ、舞。」
「……相変わらず、気を使うのが苦手だな。」
「ふぇ?」
「あ、こっちの話。それじゃ、舞の行った通りゆっくり行こうか。」
「そうですね。」


 二人で、道を歩く。周囲には草木が生い茂り、人の手が入っていない事を思わせる。
「この道は始めてですけど、何があるんですか?」
「それは着いてからのお楽しみさ。」
 祐一は、いたずらっぽく笑って言った。
「あははーっ、楽しみです。」
 さらに進むと、ほかよりも背の高い草が生えていた。
「おっ、着いたな。」
「ふぇ―。まるで扉みたいです。」
 言い勘だなぁ。と内心思いながら、祐一はその草に手を掛ける。
「じゃ、行くよ。」
「はい。」

 バッ!

 草を掻き分ける。すると、その先には青々とした草原が広がっていた。
「……すごいです。」
 視界一杯に広がる草原。と、そこに、ちょこんと可愛い耳が顔を出した。
「あ、祐一さん。ウサギさんが居ますよ。」
「えっ、ほんと?」
 耳だけが見えるウサギ、それが段々と近づいてくる。
「あはは−っ、近づいてきてくれます。ウサギさーん。」
 声をかける。と、

 ぴょこん

 ウサギが跳ねる。
 そのウサギは、長い髪を束ねて、切れ長の目をした、可愛いウサギだった。
「あ、舞だったんだ。」
「お前、いったい何がしたかったんだ?」
「……ウサギさん。」
「ウサギ?」
「ぴょん。」
 手を頭につけて、少しジャンプする。
「……まあいいけど。じゃあ、今日はここで遊びまくろう!」
「……ぴょん。」
「あははーっ。舞、可愛いーっ。」
「よぉし、始めようぜ。」


 日が暮れ、家路に着く途中、佐祐理が口を開いた。
「今日は佐祐理の為にありがとうございます。」
「何言ってんの。せっかくの誕生日なんだから、これぐらいはしなくちゃ。」
「……」
 舞も、こくこくとうなづく。
 しばらく行くと、二人の家が見えてきた。
「それじゃ、俺はここで。」
「……さよなら。」
「あははーっ。それじゃまた明日ですねっ。」
「おう。また明日なぁ。」


 終わり

 後書き
はい、私のお気に入りのお話、舞&佐祐理エンディングの続きです。
カノンを買って、とても面白かったので勢いに任せて書いてしまいました。
なんか……全然まとまってませんね。その上分かりにくいし。
しかも何が書きたいのかよくわからないような……(汗)
とまあ、……小説はまだまだ未熟ですけど、ずっと書いて行ければなぁと思います。
それがカノン小説になるかは分かりませんけど。(苦笑)
……それでは。

[187] ほのぼの
投稿者名: 空理空論 (ホームページ)
投稿日時: 2001年7月5日 15時47分
誕生日のお話、いいですね〜(好きです、こういうの)
花束をかかえてる時の舞がかわいー。
二人の心のこもったプレゼントに、
佐祐理さんもさぞかし嬉しかったことでしょうね。

小説は、思うがままに書ければそれでいいと、私は思ってます。
なんといっても、書きたい、というのが一番、でしょうしね。
これからもお互い頑張りませう。

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