144 Reply 『5月23日の・・・』 ふぉうりん MAIL URL 2002/05/23 15:49
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 放課後、その日の授業も終わり、部活動の無い者は帰宅する時間となった。因みにルーアンは職員会議だ。シャオは、心配そうに太助に言った。

「翔子さん。今日、とうとう来ませんでしたね。」

「そうだな。山野辺のやつ、このところちゃんと学校に来てたからな。」

「なにか悪い病気かなにかに、掛かってなければいいんですけど。」

「シャオは、山野辺のこと心配?」

「ええ。大切なお友達ですから。」

「そっか。」

 太助は、軽く微笑みながら、シャオにここまで親身に心配されている翔子のことを少々うらやましく思った。

「じゃあ、見舞いにでも行ってみる?」

「はい!」

 こぼれるような満面の笑みで、シャオは答えた。

「主殿。どこへ行かれるつもりだ?」

 教室を出ようとする太助達を、キリュウが呼び止めた。

「今日の試練は、これからだぞ。」

「ごめん。キリュウ。今日はこれからシャオとふたりで山野辺の見舞いに行くんだ。」

「翔子殿の?」

「ええ。」

「はて? 翔子殿なら、今日ここへ来る途中、商店街を歩いているを見かけたが。」

「「え?」」

 太助とシャオの声が重なる。

「いかがされたふたりとも。私はそんなに不思議な事を言ったか?」

「いや、そんなことはないけど・・・キリュウ。教えてくれてありがとう。」

「では、主殿。今日の試練だが・・・。」

「あの・・・太助様。私翔子さんのこと、探してきます。」

「ああ。俺も後から行くから。」

「はい。」

 シャオは教室の出口付近で、太助達の方に一度振り返ってから、教室を後にした。

「さて主殿。そろそろ良いかな?」

「ああ。どんと来いだ。」

 太助は胸を張り、ガッツポーズをとった。

「そうか。良い意気込みだ。」

 キリュウは軽く、フッと笑った。

「今日の試練は、だな・・・・。」

 そして、太助の試練は始まった。




「翔子さん。一体どこへ行ったのかしら。」

 シャオは、日頃翔子と、ふたりで買い物をしたりした場所などを回っていた。天高などの星神を使えば簡単にみつかるはずだが、主以外の為に星神の力を使うのは守護月天としては、あまりほめられたことではなかったことと、自分の友達なのだから、星神の力を借りずに探したいと思ったので、シャオは星神を使うことを控えた。

「あれ? シャオちゃん。こんなところでどうしたの?」

「あっ、たかしさん。」

「夕飯の買い物? もしよかったら手伝うよ。」

 たかしは、太助の居ないうちにシャオの心象を良くしようと、ここぞとばりに点数稼ぎに出た。

「あの、たかしさん。買い物じゃないんです。」

「ん?」

「翔子さんを探してるんです。」

「山野辺を?」

「はい。今日翔子さんが、学校をお休みして、でもキリュウさんが商店街で見たって言って。」

「そっか。なら俺も手伝うよ。」

「ほんとですか?」

「おう! 俺に任せろ。『人探しがもっとも似合う男』野村たかしは伊達じゃないぜ。」

「ほう。しかし野村君には、人探しは向いてないと私は思うのですがね。」

「げっ、宮内出雲。」

「出雲さん。」

「野村君、ひとの顔を見て『げっ』とは、いくらなんでも失礼ですよ。」

「うるせいやい。」

「それに私はこれでも目上なんですから、敬語のひとつでも使って欲しいものですね。」

「あの、出雲さん。」

「ええ。わかってますとも、翔子さんを探すのを手伝えばよろしいんですね?」

「はい。助かります。」

「おいおい、神主が盗み聞きかよ?」

「野村君。なにを人聞きの悪いことを言っているんですか。私はあなた達の会話をたまたま聞いたので、シャオさんのお手伝いしようとしているだけですよ
。」

「たかしさん。出雲さん。ありがとうございます!」

 シャオはにっこり笑って、嬉しそうにお礼を言った。ふたりはシャオの後ろに、つぼみは花開く幻を見たような気がした。

「あ、ああ。」

「いえ。礼には及びませんよ。」

「おふたりとも、翔子さんのことが心配なんですね。」

「「え?」」

「翔子さんの事が心配なのは、私と太助様だけじゃなかったんだ・・・・。よかった。」

 ふたりは、シャオの汚れの無い笑顔に対して、自分達のあさましさに胸が少々痛んだ。

「お、おう。」

「そ、そうですよ。翔子さんは、シャオさんのお友達ですから、私も心配です。」

 こういうときは、たかしより口の達者な出雲は、自らの言葉に良心の呵責を覚えた。

「では、手分けをして探しましょうか?」

「おう。そうだな。その方が早く見つかりそうだしな。」

 本来なら、出雲の言葉に反対するはずのたかしだったのだが、今シャオのそばにいると、自分がみじめで汚れた存在のような気がしてくるので、出雲の意見に頷いた。

「そうですね。では、商店街の公園に30分後に一端集合ということでよろしいですか?」

「はい。では、公園で、」

「30分後な。」

 シャオが駆け足で、翔子を探しに、たかし達から離れていった。

 たかしと出雲の間に、どちらともなくため息が漏れた。

「なぁ、出雲。シャオちゃんの後、追いかけなくていいのか?」

「野村君、呼び捨ては止めてください。何度言えばわかるんですか? 野村君こそシャオさんの後を、いつもみたく訳のわからない大声で叫びながら追いかけなくて良いのですか?」

「なんか、今シャオちゃんと一緒だと、俺の熱き魂に嘘をついてるみたいで、なんだか気がすすまないんだよ。」

「そうですか。私も似たようなものです。さて、我々も翔子さんをさがしましょうか。」

「そうだな。約束しちまったしな。」

 たかしと出雲は、ふたりしてため息をついた。





 ここは公園。翔子は、買い物袋を隣に置き、ひとりベンチでくつろいでいた。

「はぁ〜。」

 翔子は憂鬱に深いため息をついて、今日の出来事を思い返した。



 いつも通りの一人きりの朝食、テーブルの上に置かれたそれを見て、いやがおうでも今日がその日であったことを、無理やり思い出さされる。


『翔子、お誕生日おめでとう。・・・・・・・母より。』


 正直、忘れていたかった。でも、キッチンに置かれたラッピングされた箱、その隣りも書置き。それらが今日という日を強烈に主張していた。

 どうせ顔も見せないなら、いっそのこと放っておいてくれたらいいのに、どうしてそうやって、物だけ与えて済まそうとするんだろう。プレゼントなんかよりも、顔を見せて祝いの言葉の一つでもくれればいいのに・・・。


 くそっ!!


 不愉快な気分が心一杯に泡立つ、しかしながら翔子なりに、顔も見せられないから、せめてプレゼントだけでも・・・との親心という考えにはとっくの昔に思い至っていた。彼女はそのことを頭では理解しているつもりなのだが、それでも、心のどこかが納得していなかった。年間行事なので、慣れてしまえばよいものなのだが、いつまでたっても慣れることが出来ない。そんな風に今ひとつ大人になりきれて居ない自分自身に翔子は更に不愉快な気分になった。


 その日、翔子は学校をさぼることにした。


 商店街をうろつき、適当に目に付いたよさそうなものを買い、適当にぶらぶらする。いつもならそれで十分気が晴れるのだが、今日だけは、それが叶わなかった。

「はぁ〜。」

 再び翔子は深いため息をついた。

「あたし、なにやってるんだろ?」

 翔子は空を仰ぎ見て、独り空しく自問した。





 太助は、商店街に向かって疾走していた。これが太助に今日与えられた試練だった。太助は、突然巨大化する足元の小石をかわして前に進む。太助はその最中、キリュウに申し渡された試練について、思い返していた。



「今日の試練は、シャオ殿よりも早く、翔子殿を見つけることだ。」

「はい?」

 太助は思わず聞き返した。

「ん? 気に入らないかな? 今日の主殿にはうってつけの試練だと思うのだが。」

「なんでわざわざ、そんなことをするんだ?」

「どうせ試練を受けるなら『試練と仲良くしたい』と言ったのは主殿だろ? ならば、与たえる私も、主殿が仲良くできるような試練を考えるも私の役目だろう?」

 キリュウは軽く微笑んだ。自分自身の言葉に少し照れたのか、こころなしかほほがうすく染まっているようにも見えた。

「それにな、主殿。あなたの気持ちに心配事があると、試練に集中できないだろう? 集中せずに試練を受けるのは危険だからな。」

「サンキューな、キリュウ。」

「なに、礼には及ばん。」

「それより今日の試練の詳細なのだがな。主殿が商店街にたどり着くまでは、私は万象大乱で妨害をする。あなたが商店街に入ったら、万象大乱は止まる。商店街だと他人を巻き込んでしまうからな。だから主殿。あなたは商店街までは、なるべく人通りの少ない道を選んで欲しい。それが今回の試練の決め事だ。良いかな?」

「ああ。それでいこう。じゃあ、スタートは校門のところからでいいか?」


 

 太助には、商店街までが遠く感じたが、それでも前に進まなければならなかった。疲労の為か太助の足取りは遅々としてなかなか前に進まなかった。

「主殿。どうした? そんなことでは、日が暮れてしまうぞ?」

「なに、ちょっとした息抜きだよ。キリュウこそ手を抜くんじゃないぞ。」

「ふむ、それだけ言えれば上等だ。」

 再びキリュウは、太助の前から姿を消す。

「それにしても、私も随分と主殿には、甘くなったものだな。」

 つぎの目標物に万象大乱を掛けまがら、キリュウはひとり自嘲気味に呟いた。




 シャオは再び、思いつく限りで、商店街を回っていた。しかし翔子は見つからず、待ち合わせ時間も迫ってきたので、公園にいくことにした。

「あら? 翔子さん?」

 シャオは私服で、買い物袋を隣において、公園のベンチに座っている翔子を見つけた。 

「おう、シャオ。どうした?」

「『どうした?』じゃ、ないですよ。」

「どうして今日、学校を休んだんですか?」

 翔子は、シャオの言葉に正体不明の不快感を覚えた。

「・・・。そんなの、あたしの勝手だろ?」

「・・・でも、」

「・・・・。」

 翔子は、シャオに『そんなこと、シャオには関係ないだろ!』と、思わず当たってしまいそうになる衝動をどうにか抑えた。

「翔子さん。一体どうしたんですか? なにかあったんですか?」

「・・・・。なんにもないよ。ただ、サボりたくなったから、サボっただけだよ。」

「・・・・。」

 翔子の言葉にシャオが一瞬、真剣な表情になる。翔子の前で、シャオがこんな顔をするのは、割と珍しいことだ。

「・・・・・。嘘。」

「え?」

 翔子は、シャオの一言にドキッとして、思わず出た驚きの言葉を、必死で飲み込もうとした。

「翔子さん。なにか辛そうな嘘をついてますね。私、翔子さんが辛そうだと、私も心が辛いくです。翔子さんが悲しいそうにしてると、私も悲しいです。」

「・・・シャオ。」

 翔子は、シャオの言葉に胸を打たれたが、それでも素直になることはできなかった。が、衝動的にシャオの反応を試してみたくなった。






「シャオ。今日は何の日か知ってる?」

「? 今日はなにかあるんですか?」


 《今日のあたしは、絶対変だ》

 翔子は次から次へと出てくる言葉とは裏腹に、自分自身、コントロールしきれていない気持ちにそう思った。

「・・・あのさ、シャオ。今日あたしの誕生日なんだ。」

「まぁ。それはそれは、お祝いしなくちゃいけませんね」


 《・・・シャオにそんなこと言ったら、こういう風に返してくるって分かってただろうに・・・あたしはどこかでシャオに甘えている・・・・》


 翔子は、そんな自分は嫌だと自己嫌悪に陥った。

 
 そんな甘えは 捨ててしまえ!

 こんなの違う、あたしがあたしでなくなってしまう。そんな脅迫観念めいた気分になった。


 くそっ!


 でも・・・
 
 ・・・・それでも、あたしはシャオの言葉が心から嬉く思えた。それは彼女の言葉に偽りが無く、心からあたしの誕生日を祝ってくれようとしているからだとう。


 あたしは甘える相手を探していただけかも知れない。なんだか、そんなことに気がついたら、自分が酷く小さく幼い存在に感じた。でも、なぜだろう。あたし自身の求めていたもの存在と自分のちっぽけさにきがついたら、不思議と今日ずっと抱いていた不快感が少しずつ消えていったような気がする。

「・・・・。」

「翔子さん?」

「なんだ?」

「大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だよ。」

 どうやらあたしにまだ残っていた、煮え切らない部分が顔に出ていたらしい。シャオにこれ以上心配かけちゃまずいよな。これ以上心配かけたら、これから先、『シャオに心配かけるなよ』なんて偉そうに七梨を突付けなくなっちまうしな。翔子は苦笑気味に心の中で呟いた。

「でも、翔子さんのお顔が、曇ってたから・・・」

「心配かけたね。シャオ。」



『どわ〜!!』

 そんな、彼女達のやりとりとは場違いな、聞き覚えのある叫び声が、遠くからこちらへ近づいてくるの二人は耳にした。


 ずっしゃーん!!


 盛大な音ともに砂煙が舞い上がる。砂煙が晴れた跡には砂場から、人間の下半身が生えているような謎のオブジェが現れた。それは空から落下してきた人間だった。

「た、太助様!」

 シャオは突如公園に降ってきた(飛ばされてきた)太助を助け起こそうと、必死に砂場の砂を掘り出した。翔子も黙って見ているのもどうかと思ったので、シャオを手伝った。

「うえっ、ぺっぺ。口の中に砂が入っちまった。」

「太助様。大丈夫ですか?」

「シャオ? それに山野辺? ってことは、」

「主殿。どうやら、今日の試練は失敗に終わったようだな。」

 彼らの後ろからキリュウが声を掛けた。

「ああ、そうだね。」

「今日の試練はこれで、終いだ。今日は十分に休まれよ。」

 キリュウは早々に、その場を後にしようとした。
 
「太助様。キリュウさん。大事なお話があるんですけど。」

「シャオ。」

 翔子はシャオの言葉を止めようとした。やっぱり人前で、言われるのは気恥ずかしい。

「今日は翔子さんの誕生日なんですって。みんなでお祝いしましょう。いいですよね?」

「ああ。そうだな。」

「そうか。それはめでたいな。」

 太助は立ち上がろうとしたが、足に来ていたので、よろめいた。

「太助様!」

 よろめく太助をシャオが支える。そんなふたりの様子を見て。翔子とキリュウはお互いを顔を見合わせ、

「さて、邪魔者は消えようか。」

「そうだな。翔子殿。」

「あっ、そうだ。シャオ。七梨をベンチにでも寝かせて休ませてやれば?」

「それは名案だな。私は一足先に帰って皆に今日のことを振れまわって来るとしようか。」

「キリュウ!」

「ん? なんだ。不都合でもあるのか? 翔子殿。」

 翔子とキリュウは、なにか言い合いながらシャオ達の前から姿を消した。その場に残される形となった太助とシャオは顔を見合わせ、

「・・・・。」

「・・・・。」

「歩けますか? 太助様。」

「ああ、なんとかね。」

「ベンチでやすみましょうか?」

「そうだな。ちょっと疲れて眠たくなってきたし・・・。」








「なんだか良い感じだな。」

「翔子殿。覗き見よくないぞ。」

「なんだよ。そんなこといいながらしっかりキリュウだって見てるじゃんか。」

「いや、それはその・・・。」

「おっ、この場に似つかわしくない邪魔者が、」

 それは、公園から大きな音が聞こえたので、不審に思いやってきた(待ち合わせもあるのだが)たかしと出雲もだった。太助達の現場を目撃し、ダッシュでふたりの状況を阻止(?)しようとした。

「待たれよ。」

 たかし達の前に立ちふさがるキリュウ。

「邪魔しないでください。キリュウさん。」

「残念だかそれは出来ない。どうしてもというなら、私を越えていかれよ。太助殿は試練を越えてあの場所にたどり着いたのだ、ならばあなた達もそれに殉ずるべきだ。」

「「なっ!?」」

「では、行くぞ。万象大乱!!」


 公園で再び、爆音が上がった。





エピローグ


 翔子のお誕生会。ばんそうこうだらけの太助。なぜかたかしや出雲にも生傷が(笑)

「ん〜。宮内その傷はどうしたんだ?」

「なんでもありません。わたしとしたことがちょっと転んでしまっただけですよ。」

「野村先輩。その怪我どうしたんですか。」

「ほんと、酷い怪我だよ。たかし君。まるで、ボクシングが、なにかやったあとみたいだよ。」

「ふっ、これは男の勲章だ。」

 たかしはどこか誇らしげに言った。

「「ふーん。」」

 乎一郎と花織は、特に感心した様子もなく、たかしの言葉を聞いていた。

 
 この後、たかしと出雲に妙な友情が芽生えたとか芽生えなかったとか・・・




「ただいまぁ。」

 職員会議も終わりようやく帰宅したルーアン。声にもすこし疲労が伺えた。リビングに現れた彼女は片手に箱をぶら下げていた。

「みんなそろってどうしたの? 職員会議で、むしゃくしゃしたから、ケーキでも買ってきたんだけど・・・。」

「タイミングよすぎだぞルーアン」

「え?」

「今日は翔子さんのお誕生日なんですよ!」

「で?」

「そのケーキをわざわざ買ってくるなんで、随分気が利いてるなぁ。」

『ええっ!?』

 と驚きの声を上げそうになるのをどうにか飲み込んだ。 

 ほんとは、ひとりり丸ごと食べるつもりだったのに・・・・

 しかし、これは、ある意味チャンスだった。そして彼女はそのチャンス最大限に活かそうとした。

「まぁ、そんなところよ。私だって一教師として、自分のクラスの生徒の誕生日くらい憶えてるわよ、ほーっほっほっほっほっほ!!」

 ここぞとばかりに、大きく胸を張り、高笑いを上げていた。が、多数の疑のい眼差しが彼女に向けられる。

「・・・。」

「・・・・嘘よ。嘘。ただの偶然よ。格好つけさせてくれてもいいじゃないのよ。まったくもう、さ、みんなで食べましょう。」

「その前に、キリュウ。」

「なんだ?」

「あんたの能力で、このケーキを大きくしてちょうだい。」

「何故だ?」

「なんでって、あんた。元々あたしが独り占めしようとしてたケーキなんだから、みんなで分けたら、少なくなっちゃうじゃないのよ。」

「だいだい、ここに何人いると思ってるの? この人数で分けたらあっという間に無くなっちゃうでしょ?」

「ふむ、確かにルーアン殿の言い分も分らなくも無いが・・・。」

 実はキリュウはケーキなどの甘い洋菓子は、結構好きだったりする。

「そうだな。今日は、めでたき日だ。よかろう。特別だ。それにこれは、私からの祝いでもあるしな。」

「そうそう、あとこんなのもタダだから貰ってきたわよ。」

 と、ルーアンは、チューブのチョコクリーム(ケーキに文字書く為やつね)を出した。

「丁度良いから、不良お嬢ちゃんの名前でも書いてあげなさいよ。ね? シャオリン。」

「はい!」




 こうして翔子の誕生日会が七梨家で盛大に開かれた。






「いくらなんでも・・・やりすぎだよ・・・・。」

 翔子の正直な言葉だった。

「嬉しいけどさ。でも、正直言って、照れくさい。」

「何行ってるんだよ。俺たち、仲間だろ?」

 仲間。シャオや太助を中心とした、彼らを取り巻く環境、人間関係。どうも、彼らの間柄をあらわすには、友達というより、仲間の方がなんだかしっくり来た。

「・・・仲間ねぇ・・・。」

 翔子は、その言葉を口にしながら。なにか想いを巡らせた。

「でも、まっ、みんな。ありがとな!」



終わり


あとがき
どうにか、当日に間に合いました。しかし、ながら我が借家の方にアップする時間がありませんでした(苦笑)一応、これは投稿版です。多分、借家のほうには、もう少し書き足されたものがあがることでしょう。

 翔子様お誕生日おめでとう!

2002年5月23日 ふぉうりん
146 Reply Re:『5月23日の・・・』 グE 2002/06/03 13:43
cc9999
いまいち大人になりきれない翔子さんの様子が
伝わってきてよかったです。
それにシャオに甘える翔子さんがいい感じでした。



では
149 Reply 誕生日はやはりいいものですね 空理空論 MAIL URL 2002/06/14 22:21
808000
翔子さんを取り巻く環境。
それをふと考えさせられました。
微妙ってわけでもない、いい関係があるな、って。
シャオ自身の影響力もありながら、
やっぱり翔子さん自身の影響力ってのも、
どこか見えないところで働いていそうな、そんな感じがしました。
20日も遅れたけど(爆)誕生日おめでとうっ。
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